毎日9時更新『霧の街の挑戦状』ミステリー入門書

湊 マチ

序章 読者へのご挨拶

序章


読者へのご挨拶


本作はミステリー入門書であり、「挑戦型推理小説」です。

1話ごとに――

•犯人は誰か?

•動機は何か?

•トリックはどう仕組まれたのか?


を読者の皆さん自身に予想していただきます。

物語は 前編/中編/後編の3回構成。

中編の終盤には必ず「挑戦状」が登場し、

手掛かり一覧とともに読者に推理を促します。

後編で探偵が真相を解き明かし、最後に「フェア照合表」で

すべての手掛かりと答えの対応を示します。


目標は、ただ読むだけでなく、読者が探偵として参加できる物語。

さあ、あなたは真実に辿り着けるでしょうか。



物語の序章


霧の街ロンドン。

石畳を叩く馬車の音も、朝の霧に溶けて遠く霞んでいた。

私はカーター、元軍医にして、とある探偵の友人である。

人は彼を奇人とも呼ぶが、その観察眼と推理は常に真実を射抜く。


その日、私の診療所のベルが鳴った。

朝9時を少し過ぎたころだった。

黒いヴェールをまとった未亡人が立っていた。

彼女の顔は霧よりも蒼白く、声は掠れていた。


「……遺言状が、忽然と消えたのです」


こうして、私たちの挑戦すべき最初の事件が幕を開けた。

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