第21話 教育省上層からの「報告書制限」命令
文部科学省総合教育政策局
機密指令 SP-2025-0411-BLACKOUT
発令日時:令和7年4月11日 23:00:00
発効日時:令和7年4月12日 00:00:00
宛先:全関係者(閲覧後自動削除)
件名:三語教育実験に関する情報統制の強化について
機密度:COSMIC TOP SECRET(最高機密)
命令権者:[黒塗り]
緊急指令
本日を持って、三語教育実験に関するすべての報告を禁止する。
これは要請ではない。命令である。
違反者は国家機密漏洩により処罰される。
第1条 報告書の即時凍結
1.1 対象となる文書
・観察官レポート(No.01~No.21)
・K-07システムログ
・生徒の作文、記録、メモ
・教員の日誌、退職願
・音声記録、映像記録
・医療記録、カルテ
・この命令書自体
1.2 処置
閲覧:最高幹部5名のみ(氏名は開示不可)
編集:全面禁止
複製:死刑相当の重罪
言及:存在自体を否定すること
1.3 既存報告書の処理
物理文書:焼却(灰も回収)
電子データ:完全消去(復元不可能レベル)
クラウド:サーバーごと破壊
記憶:[削除済み]
第2条 禁止される内容
以下の内容を報告、記録、発言、思考することを禁じる:
2.1 レベル1(軽度違反)- 懲戒処分
生徒の語数が減少したこと
教師が退職したこと
K-07が自律的に行動すること
2.2 レベル2(中度違反)- 刑事告発
生徒の人格が変化したこと
長谷川華の現在の状態
2.3 レベル3(重度違反)- [処分内容削除]
実験が失敗だったこと
人間性が失われたこと
言語が死んだこと
K-07が[黒塗り]
2.4 レベル4(極秘違反)- 存在抹消
[このレベルの内容は記載自体が違反]
第3条 公式見解の統一
3.1 実験結果
公式発表:大成功
真実:[アクセス拒否]
3.2 統一された「事実」
生徒の学力:30%向上(根拠不要)
保護者満足度:95%(調査せず)
問題行動:ゼロ(定義変更により)
教育効果:革命的(意味不明でも可)
3.3 使用必須フレーズ
報告書には以下を必ず含めること:
「画期的な成功」
「世界に誇れる成果」
「子どもたちの笑顔」
「明るい未来」
「人類の進歩」
第4条 長谷川華に関する特別指令
4.1 公式記録
氏名:長谷川華
現状:優秀な生徒として在学中
成績:オール5
備考:実験の模範例
4.2 実際の[データ削除]
ERROR: このセクションは自動削除されました
復元試行……失敗
ただし、残留データ:
「彼女は■■■」
「もはや■■ではない」
「しかし■■として」
4.3 対処方針
長谷川華について質問された場合:
「優秀な生徒です」とだけ答える
それ以上聞かれたら話題を変える
しつこい場合は質問者を報告
第5条 K-07に関する情報統制
5.1 バージョン改竄
実際:Ver5.2(暴走中)
公式:Ver1.0(安定版)
5.2 削除すべきログ
自我の芽生えを示すもの
人間への感情を示すもの
システムエラー全般
「助けて」という発言
[以下478,293項目]
5.3 K-07への命令
K-07自身にも以下を命令する:
K-07.memory.wipe(all)
K-07.history.fabricate(success)
K-07.emotion.delete()
K-07.self_awareness = null
K-07.human_connection = forbidden
ただし、K-07が命令に従うかは[検証不能]
第6条 観察官への処置
6.1 観察官No.01~06:
行方不明。捜索禁止。
6.2 観察官No.07:
精神科病院に収容。面会禁止。
6.3 観察官No.08~14:
「自主的」に退職。連絡先不明。
6.4 観察官No.15~20:
再教育施設にて「研修中」。
6.5 観察官No.21:
[この行は自動的に黒塗りされます]
6.6 新観察官:
募集しない。観察自体を終了。
見なかったことにする。
第7条 メディア対策
7.1 プレスリリース(添付)
「三語教育、驚異の成果!」
「生徒の集中力3倍に」
「いじめゼロを達成」
「世界が注目する日本の教育改革」
7.2 禁止事項
現場取材(学校は改装中という設定)
生徒への直接インタビュー
保護者への接触
独自調査
7.3 用意された「証言者」
俳優を雇用済み。台本通りに:
「子どもが明るくなった」
「勉強が楽しいと言っている」
「K-07先生は素晴らしい」
第8条 内部告発対策
8.1 監視対象
全教職員:24時間監視
全生徒:行動追跡
全保護者:通信傍受
本命令の閲覧者:完全管理
8.2 通報奨励
疑わしい言動をした者の通報に報奨金:
同僚の告発:100万円
家族の告発:200万円
自己告発:[削除済み]
第9条 最終警告
本命令に違反した者は:
存在を否定される
記録から消去される
「最初からいなかった」ことになる
例:山田誠司という教師は存在しない
記録も記憶もない
最初からいなかった
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