第2話 ここはどこ?私は誰?
目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。
周りは岩肌で囲まれており、前方には頑丈そうな扉が一つ。
一見するとまるで牢獄だ。
それも、中世ヨーロッパあたりの古いやつ。
「ど、どういうこと?!おれ、何か悪いことしたっけ????」
一気に得た情報が多すぎて、整理が追い付かない。
わかるのはこの状況がおかしいということだけ。
それ以外は何もわからない。
ここはどこ、私は誰といった自問が畳みかけてくる。
それに、おかしいと言ったらもう一つ。
「あれ?俺の手は?足は?」
途中まで気づきもしなかったが、何やら体の感覚がおかしい。
いや、別に不調があるわけじゃない。
むしろ、今までこの体で過ごしてきたんじゃないかってくらいなじんでいる。
なのに、何かがおかしいのだ。
しかし、考えてもわからない。
ならば、今できることを考えるだけだ。
「あ、開くんだ。」
扉に近づくと、扉は勝手に開いた。
どこかにセンサーがついていたのかもしれない。
まあ、そんなことはさておき、これで一つはっきりしたことがある。
「この部屋は俺を閉じ込めるための部屋じゃなかったっぽいな。」
いともたやすく外に出れたことから、この可能性は消えたといっていいだろう。
よく見れば、内側から鍵を閉めれた点からも、牢屋とは別の目的で作られた部屋らしい。
しかし、だからこそ、なぜ自分がこのような場所で軟禁されていたのかが気になるところだ。
一面岩肌でおおわれている部屋など、なかなかないだろう。
そんなことを考えつつ、扉の先にあった通路を進もうとしたとき、あることに気が付いた。
「あれ?ここってもしかして洞窟の中なのか?」
俺がこの場所を洞窟と思ったのも無理はない。
なんと、通路も一面岩肌で覆われていたのだ。
ほかにも、今まで気にならなかったが、照明がない。
普通に光源がないので、なぜ、俺が当たり前のように周りを見渡せるのかははなはだ疑問だが、そんなことをいちいち気にするつもりはなかった。
そして、さらに通路を歩く(と言って浮遊している感じだが)と、開けた場所にたどり着いた。
中央には池みたいなものがある。
俺はその池に近づいてみることにした。
「な、なんだこれ!!」
水面に映る自分の姿を見たとき、俺は思わず悲鳴を上げてしまった。
それはもう人の姿ではなかったのだ。
人でないどころか、それは生物ですらなかった。
なんと形容したらいいかわからないが、その見た目は青白く光る丸みがかった鉱石だったのだ。
例えるならそう、ディスコで使われるミラーボールのような感じだ。
サイズもそれぐらいだろう。
「そ、そんなぁ....」
思わず、膝から崩れ落ちる。
崩れるひざなどないわけだが、そんなことはどうでもいいのだ。
問題は、自分が現在、見知らぬ場所に見知らぬ姿で目覚めたことだ。
そんな感じでショッキングな現実を受け止めている時だった。
コツコツと誰かが近づいてくる音がしてきたのである。
(ま、まずい。なんだかわからないけど、とりあえず隠れなきゃ!!)
わけのわからない状況にわけのわからない人物の登場ときたら、まずは身を隠すのが吉だ。
長年の勘でも、生存本能でもないが、俺の陰キャとしての本質が反射的にそのような行動をとった。
こうして俺は、近づいてくる人物に怯えながら、とっさに岩陰に身を潜めたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます