大切なぬるさ

私はネットミームが大好きです。ネットミームが持つ良さってぬるさだと思います。

現実で起きた事実をきちんと捻じ曲げて、この世に存在するとは信じられないような出来事を(一部のネットミームが事実であることもポイントですが)みんなでおもしろく語っていく。

英雄譚や悲劇のような端的な物語しか語られない世界で、端的な物語には決して登場し得ない愉快でしょうもない生き方を選択した人たちの居場所。それがネットミームだと私は感じています。

さらに素晴らしいところが、ネットミームは当事者達が作り上げた物語です。この世は居心地が悪いと感じる人が記名もせずに作り出した居場所です。世の中の多くの人が何も行動せずに救世主を待ちそのまま死んでいきます。でもネットミームを作ったぬるい文化人達はユーモアで自立して日々を飾ります。そんな意識もなく自然に自立しているわけです。

前置きが長くなりました。

この物語はそんなネットミームのぬるさを持ったままテーマを生や死、端的な領域まで拡張しています。ちゃんとあちこちで「そんなわけあるかwww」と大量のコメントが画面を横切ります。思わず笑ってしまうような温度感を失わないままもっと深いところまで降りています。

だからすごく良かったです。良くも悪くも外に向かない閉じたネットミームの世界が世の中に向かっているようで、ネットミームを根にしたまま文学的な形で世の中に向かっていくような感覚。読んでいて楽しかった。

おすすめです。