第11話
リリスの残像が消え、森に再び静寂が戻った。
俺は、手に握りしめたエレノアのスケスケレースのパンティーを見つめながら、未だに震えが止まらない。あれほど強大な魔力を持つ敵を、俺は本当に倒したのか?いや、正確には、リリスは逃げただけだろう。だが、俺が発動したあの光の力は、間違いなく彼女を驚愕させ、一時的に撃退するほどの威力を持っていた。
「……勇者様。大丈夫ですか?」
エレノアが、静かに俺の隣に歩み寄ってくる。彼女の声は、普段よりも少しだけ震えているようだった。
「あ、はい……俺は大丈夫です。それよりも、エレノアさん……」
俺は、彼女の顔を見て、自分の手に持っているものを思い出した。
「これ……ありがとうございます。おかげで助かりました」
俺は、パンティーをそっと差し出す。エレノアは、一瞬戸惑ったような表情を見せ、すぐに真剣な眼差しに戻った。
「いえ、結構です。それは貴方の力。そして、わたくしが貴方に授けたものです。それに……」
彼女は、少しだけ俯き、頬をかすかに赤らめた。
「貴方が持っていないと、わたくしは……」
そこまで言って、エレノアは口を閉ざした。だが、その言葉の続きは、俺にも痛いほどわかった。
(騎士団長が、今ノーパンだってことを、俺が一番よくわかってる……!)
俺の顔も、つられるように熱くなる。このままパンティーを返すわけにはいかない。だが、このまま持ち続けるのも、あまりにも気まずい。俺は、まるで爆弾でも持っているかのように、手に持ったパンティーをどうすればいいか分からず、ただただ、あたふたするばかりだった。
そんな俺の様子を見て、エレノアは小さくため息をつくと、真剣な表情に戻り、周囲を警戒しながら言った。
「ここで立ち止まっていては危険です。リリスは、おそらく王女様の刺客。彼女が、王女様に連絡を取れば、すぐに次の追手が来るでしょう」
「……王女様が、俺を?」
俺は、信じられない思いで、エレノアを見た。
「はい。貴方が王女様の部屋に侵入した時、王女様は、貴方がただの変態ではないと気づいたのでしょう。そして、貴方の力が、彼女の秘密に関わることを知った。だからこそ、彼女は、貴方を危険な存在と見なし、抹殺しようとしているのです」
エレノアの言葉は、まるで冷たい水を浴びせられたように、俺の心を冷やした。
「じゃあ、王女様は、俺に魔王を倒してほしい、なんて思ってなかったんですか?」
「いえ、最初はそう思っていたでしょう。ですが、貴方の力の秘密が、王女様の秘密に関わるものだと分かった時点で、彼女は、魔王討伐よりも、自身の秘密を守ることを優先したのでしょう。それが、王族というものです」
エレノアの言葉は、冷徹で、そして、納得させられるものだった。
俺は、再び手に持ったパンティーを見つめた。
「この力……やっぱり、変な力ですよね」
「変、ですか?いいえ、勇者様。貴方の力は、この世界のどんな魔法よりも、興味深く、そして、奥深いものです」
エレノアは、そう言うと、俺の隣に座り込み、静かに語り始めた。
「貴方は、先ほど、リリスの言葉を、そして、わたくしのパンティーの力で、彼女の攻撃を跳ね返しました。それは、貴方と、わたくしの『経験』が融合した結果です」
エレノアは、ゆっくりと、語りかけるように続けた。
「貴方が最初に力を得たのは、王女様の『赤いTバック』でしたね。あれは、王女様が特別な日に身につける、いわば『勝負下着』。その下着には、彼女の『決意』や『情熱』といった、強い感情が込められていました。だからこそ、貴方は、破壊的な力を得たのでしょう」
俺は、エレノアの言葉に、ハッとした。
「そして、貴方が見た『ブルーのTバック』。あれは、王女様が普段から身につけている、安らぎや落ち着きを求める色。だからこそ、貴方は、癒しの力を得た」
エレノアは、さらに、俺の手に握られたパンティーに視線を落とした。
「そして、わたくしのこの『スケスケレース』のパンティー。これは、わたくしが、騎士団長として、常に身につけていたものです。そこには、わたくしが経験してきた、あらゆる戦いの記憶。そして、この国を守るという『使命感』が込められています。だからこそ、貴方は、身体能力を向上させる力を得たのです」
エレノアの言葉は、俺の頭の中を、まるで霧が晴れるように、クリアにしてくれた。
「つまり、俺の力は、パンティーの**色**、**形状**、そして持ち主の**経験**と、俺自身の**感情**が組み合わさって発動する、ということなんですね!」
俺がそう言うと、エレノアは、静かに頷いた。
「おそらく、それが、この力の真実でしょう。そして、リリスが言っていた『サイズ』や『使用済みか未使用か』という要素は、その『経験』の濃さや、持ち主との『距離』に関わるものかもしれません」
俺は、その言葉に、深く納得した。
王女様の新品のパンティーは、彼女の強い感情をダイレクトに反映した。一方、エレノアの使用済みのパンティーは、彼女の長い経験を、俺の力として与えてくれたのだ。
「なるほど……!じゃあ、俺たちは、この力を使って、魔王を倒すことができるんですね!」
俺が興奮してそう言うと、エレノアは、静かに首を振った。
「いいえ。貴方の力は、まだ未完成です。この力には、まだ、わたくしたちが知らない秘密が隠されているはず。そして、その秘密を解き明かす必要があります」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
俺が問いかけると、エレノアは、北の空を指差した。
「この世界の北には、あらゆる知識が集まる場所があります。『叡智の城塞(Wisdom Citadel)』。そこには、古代の文献や、失われた魔法の知識が眠っています。貴方の力の秘密を解き明かすには、そこへ行くしかありません」
「叡智の城塞……」
俺は、その言葉を、心の中で反芻した。
「道のりは険しいでしょう。魔物が跋扈し、魔王軍の刺客もいるでしょう。ですが、この国を救うには、それしかありません」
エレノアは、そう言うと、俺をまっすぐに見つめた。
「さあ、勇者様。貴方の力を、この世界の運命を救うために、わたくしに託してください」
俺は、エレノアの言葉に、深く頷いた。
「はい!騎士団長……いえ、エレノアさん!俺、頑張ります!」
俺がそう言うと、エレノアは、小さく微笑んだ。
「ありがとう、悠斗」
彼女が、初めて俺の名前を呼んでくれた。そのことに、俺は、少しだけ照れてしまった。
こうして、俺とエレノアの、二人きりの旅が始まった。
王都から北へ。叡智の城塞を目指して、俺たちは、夜の森を歩き続ける。
しばらく歩くと、遠くから、不気味な獣の鳴き声が聞こえてきた。
「…魔物です。警戒してください」
エレノアは、静かに剣を構える。
俺も、エレノアのパンティーを握りしめ、心の中で、力を引き出すイメージを思い描く。
(そうだ、俺は、エレノアを守る!そして、この世界を救うんだ!俺の力よ、目覚めろ!)
俺の心の中の感情が、パンティーに流れ込んでいく。
次の瞬間、俺の全身に、熱い力が漲った。
それは、身体能力の向上だけではなかった。
俺の視界が、まるでスローモーションになったかのように、ゆっくりと動く。そして、耳には、エレノアが剣を振るう音、そして、魔物が草を踏みしめる音まで、はっきりと聞こえてきた。
(これが、エレノアの『騎士としての経験』の力か……!)
俺は、その力に、驚きを隠せない。
「ここです!」
エレノアが、俺の死角から現れた魔物に向かって、剣を振り下ろす。その剣は、正確に魔物の急所を捉え、一撃で仕留めた。
「見事です、エレノアさん!」
俺がそう言うと、エレノアは、静かに剣を鞘に収めた。
「この程度、当然です。それよりも、勇者様。貴方の力は、やはり、ただの身体能力の向上だけではないようですね」
エレノアは、俺の様子を見て、そう言った。
「はい。エレノアさんの『経験』が、俺の力になっているようです。そのおかげで、魔物の動きが、まるで止まっているように見えました」
俺は、自分の力の成長に、驚きと喜びを感じていた。
だが、エレノアは、複雑な表情で、俺を見つめている。
「……そうですか。わたくしの『経験』が、貴方の力になる……」
エレノアは、そう言うと、少しだけ、悲しそうな表情を浮かべた。
「どうしたんですか?」
俺が問いかけると、エレノアは、静かに首を振った。
「いえ、何でもありません。さあ、行きましょう。夜が明ける前に、少しでも先へ」
俺は、エレノアの言葉に頷き、再び歩き始めた。
その夜、俺たちは、安全な洞窟を見つけ、そこで野営をすることにした。
焚き火を起こし、簡単な食事を済ませると、エレノアは、静かに俺の隣に座った。
「……勇者様。貴方にお願いがあります」
エレノアは、そう言うと、俺の手に握られたパンティーを指差した。
「それは、わたくしの、唯一の『経験』が詰まったものです。どうか、大切に扱ってください」
彼女の言葉に、俺は、胸が熱くなるのを感じた。
「はい!もちろんです!俺、絶対に、このパンティーを、大切にします!」
俺が力強く答えると、エレノアは、ふっと、安堵したように微笑んだ。
「……ありがとうございます。貴方なら、きっと、わたくしの『経験』を、この世界を救うために役立ててくれるでしょう」
彼女は、そう言うと、静かに目を閉じた。
俺は、エレノアの寝顔を見つめながら、心の中で誓った。
(俺は、必ず、この力で、この世界を救ってみせる。そして、エレノアを、この世界のすべての苦しみから、解放してみせる)
俺の異世界での旅は、まだ始まったばかり。だが、俺は、もう一人ではない。
俺の隣には、かけがえのない仲間がいる。
そして、俺の手には、彼女の『経験』が詰まった、大切なパンティーがある。
俺は、そのパンティーを、まるで自分の命のように、強く握りしめた。
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