第3話 愛と奉仕
みつ子にあの世を案内されて、色々見て回って驚きの連続だった。
行きたいと思った場所に瞬時にいけて、欲しいと思ったものが目の前に現れる。
物質がない世界、夢の世界だ。
(だが、どこかー...)
私は自分の葬儀の日。地上に降り立った。
娘夫婦、孫。親戚が集まる。
葬儀の日。祭壇はカラフルな花束。
私が受賞したバトミントンのメダル。執筆した本が飾られた。
「孫の誕生日に逝っちゃうなんて」
涙ぐむ娘夫婦。
親戚が孫の紗枝に話しかける。
「じいちゃん孝行したね」
遺影の私は笑顔だ。
孫の紗枝が写真を撮っていたものだ。
(孫の紗枝は数年前に癌を患って、子どもを望めない身体だ。)
孫の意識が伝わる。
《お祖母ちゃんたちと再会した後、生まれ変わって私がお祖母ちゃんになった時に助けてきてね》
紗枝ー...
葬儀を見届けた後。
あの世の家で、みつ子と彰君と話している。
「あなたの骨、たくさんあったわね」
「バトミントンやっていたから光臣さん、丈夫なんだよ」
「身体は鍛えられたけど、心臓は鍛えようがなかったな。」
ビールを飲みたい。焼き鳥を食べたい。
そう思ったら、目の前に出てくる。
(ビールも焼き鳥も上手いけど、どこか味気ない。夢の中にいるみたいだ。)
孫の紗枝の言っていた私がお祖母ちゃんになった時、助けにきてねという言葉。
私は自分のするべきことが浮かぶ。
「さすがよ。あなた、」
みつ子が関心したように話す。
「死んでから1週間で、もう生まれ変わりたいと思うなんてね」
光臣はみつ子と彰の言葉に頬をかく。
「ここは確かに夢のような世界だが、また、生まれ変わって地上で沢山の経験をしたい。」
「私もよ」
「僕も」
3人は笑いあう。
「私は生まれ変わってもみつ子の妻にしたいし、彰君の友でいたい」
「生まれ変わりには、この世界で愛と奉仕を繰り返して魂を成長させていくことがいいみたいよ?」
みつ子の言葉に彰君も私も頷く。
「やろうか。」
「ああ」
光臣は生まれ変わって、孫娘にもう一度再会したいという願いが生まれていた。
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