生まれ変わったら

Rie🌸

第1話 序章

私は家内に先立たれて、この家に一人暮らしをしている。

四捨五入すれば100歳に差し掛かる。

ゆっくりと、ベットから起き上がる。


(今日はどうも、朝から身体が怠いな・・・)

この時は歳のせいだと思っていた。


昼過ぎ、電話が鳴って手に取る。


『はい』

『おじいちゃん。私は今日誕生日だよ。今度会った時におもてなししてね』

明るい声音に元気をもらえた気がする。

家内が死んでから、何かと私を気遣ってくれた子だ。


『分かった』

来週は孫娘が泊りにくると言っていた。飯を用意しないといけないな。

あと5年。100歳までは頑張りたい。


夕方の4時頃、時刻を見てゆっくりと椅子から立ち上がる。

「そろそろ、風呂でもつけるか」

風呂のスイッチをいれて、家内の仏壇がある場所に差し掛かったころ、突然心臓に釘を刺されたような痛みに襲われた。

「っ痛!!」

思わず心臓を掴んだ。視界がグラリと揺れる。胸が苦しい、、倒れた瞬間に床の間の角に頭をぶつけた感じがしたが痛みは感じない。

薄れゆく意識のなか、そこに飾られてる家内と孫の成人式。3人で撮影した写真が目に入った。


『今日、誕生日だよ』


孫の誕生日に私は死ぬのか?

そう脳裏に過ったところで、思考がブラックアウトした。

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