第7話 じゃがいもの焼酎
〜多月サイド〜
引き続き私の出番やす。
まぁ竹千代様は鞍馬はんにしごかれているだけなので、代わり映えせんしなぁ。
さてさて、管夫はんが増えました。
いつの間にか増えると聞いてはりましたが、今度は女の子が増えてはり、管夫はんと管狐の狐子はんはいつの間にか夫婦になってはりました。
……自己分裂した訳では無いと思いますが、夫婦になってええんやろか?
妖怪だから深く考えてもしゃぁないな。
とりあえず私は竹千代様に任されてはる農作業を頑張りっしゃろ。
水撒きを毎日行い、時々雨乞いをしたりして米の様子や作物の様子を確認しながら生活を行っていくが、収穫に向けての準備も怠らない。
竹千代様にまた酒のおねだりをして三吉はんに働いてもらって、土蔵を幾つも作ってもらいんした。
ただ保存する器を作れる人物が居ない事を話し、更に保存するのに酒にした方が良いと竹千代様は考えたらしく、新たに2人の神を召喚された。
「オオゲツヒメ! 神話時代ぶりだね! またこうして会えて嬉しいよ」
「ええ、こちらもまたお世話になりますなぁスクナビコナはん」
「今の俺は少名古根だよ少名でも古根でもどちらで呼んでも良いよ」
「じゃあ少名はんで」
小柄な少年は酒を主とし、農業、交易、医薬等の知識を持つ神スクナビコナ。
酒の作り方を日ノ本で最初に広めた神である。
「なになに! 二人知り合いだったわけ! おもろ!」
「そちらの方は?」
「ああ、土の神であり陶芸を主にし、鍛冶師の側面も持つハニヤスさんだよ」
「どもども! ハニヤスこと埴安ちゃんでーす! よろよろ!」
「元気な方ですなぁ」
「一応うちも農神の側面も持っていて、特に肥料系に強いから多月ちんの役に立つと思うよ! これからよろしく!」
「はい、よろしくお願いします。早速なんやけど、もう少しでじゃがいもの収穫が始まるんやけど、保存するのに食料分以外は酒にした方がいいんじゃないかとおもってぇな。交易の神である少名はんはどう思います?」
「うん、じゃがいもをいきなり普及させるのは難しいと思うから、酒にした方が良いね。じゃがいもは焼酎にしてしまいましょうか。埴安さん、僕と焼酎の製造設備を作ってはくれないかな」
「もちのろんだよ! あとは酒を保存する壺や樽も必要だよね! お、三吉鬼もいるじゃん! 酒やるから木を切り倒して木材にしてよ」
「ええ、まぁいいけど、酒ちゃんと造ってよね」
「もちもち! 少名も良いよね?」
「ああ、僕の腕によりをかけて最上の酒を振る舞うと約束するよ」
こうして頼もしい仲間が増えて村は更に活性化するのだった。
〜竹千代サイド〜
「おお! こんなにじゃがいもが収穫できたのか」
俺は俵に詰められたじゃがいもを見て収穫量に驚いた。
俺が出したじゃがいもは10キロだったが、収穫されたじゃがいものキロ数は約250キロにもなる。
単純計算で25倍もの収穫量だ。
「今は私が住民分の食料を生み出しているから賄えでいるけど、これだけじゃちょっと物足りんよねぇ」
いつの間にか横に立っていた多月にそう言われる。
「とりあえず100キロは来年の種芋に、残りは酒にしてしまいましょうかと」
「酒か……まぁそういう話だったからな。少名はじゃがいもの酒は本当に造れるのか?」
「神様を舐めないでください! ちゃんと作れますし、試作品は市場に流すのでよろしいでしょうか」
「ああ、鞍馬が岡崎城下で物品の販売の権利の一部を確保したから、鞍馬名義で売ってくれ。そうでないと座とかが煩いからな」
「仕方がないね。利権団体が煩いのはいつの時代もそうだし……それこそ神話の時代からある問題だよ」
少名が言うようにこの時代は特に利権団体が煩いのである。
各商品に座と言う組合が存在し、座に加入しないと商品が基本売れないのである。
領主権限でどうにかしたいが、俺はまだ幼少で権限も無く、代わりに鞍馬に商人達と交渉してもらって販売の権利を確保してもらったのである。
「他の作物の実りも上々に思えるけど多月から見てどうなの?」
「そうですなぁ……肥料の投入が出来てないので作物そのものの生命力で育ってますからなぁ。肥料を用意できれば、さらなる増産も可能となるんじゃなかろうかと」
「ふむ……三河に行き渡らせるにはまだまだ時間がかかるか」
「そうですねぇ……今年と来年は種の増産、そして育て方を知る人物を増やし、各地に広める……10年はかかるんじゃありませんかねぇ」
「10年か……」
恐らくその頃は今川への人質になっている頃だろう。
「多月」
「はい、なんでっしゃろ?」
「俺が三河から居なくなっている間はお前がここの指揮を執ってくれ、鞍馬を使ってなるべく指示は飛ばすが」
「ええ、わかりんした。まかせてくだされ」
〜多月サイド〜
転生者である竹千代様はご自身が今後どうなるのか先を知っているらしく、その中に自身が三河から離れる運命にあるのだと分かっているらしい。
そうなると召喚された私達は指示の無い状態で動くことになるだろう。
「ふむ、少々やっかいやね」
別に自分達で考えて動いても良いが、それが竹千代様にとって良い方向に働くかは分からない。
「まぁ、竹千代様はいつかは三河に戻られるから、それまでに三河の民が飢えない様にするのが先決やね」
それを広めるよう指示したのを竹千代様だと言っておけば、竹千代様の名声も上がるだろうし。
さてさて、じゃがいもの収穫も終わったことだし、少名はんの酒造りでも見学しましょうかね。
「蒸留酒は酒を蒸発させて冷やし、液体に戻すことで酒気を強くするんだ。その時に使うのがこれさ」
そう言って彼が見せてきたのは陶磁器で作られたランビキと呼ばれる道具である。
3層構造になっていて、一番下に蒸留する液体を入れ、火をかけると、蒸発して中層に蒸気が移動する。
上層には冷えた水を入れておき、そこで冷やされた中層の蒸気は再び水分になって下に落ちる。
この水滴を中層にある受け皿で受け止めて、下向きの蛇口の様な部分から排出される。
排出された液体が蒸留酒となるのである。
このランビキを10個ほど埴安が用意してくれたので早速じゃがいもの焼酎を作っていく。
まずは発酵させるための麹を作っていく。
私の神としての力で用意した米を蒸した後に発酵させることで麹が出来上がる。
次にじゃがいもを蒸し、崩してドロドロに溶かした後に麹を投入して二次発酵。
これでにごり酒が出来上がる。
これも酒であるが、雑味が多く、美味しく無い為、蒸留を行って酒気を強めていく。
それで使うのが先ほどのランビキである。
酒好きの三吉はんも燃料となる薪割りをやったり、管狐達も一生懸命働いて、じゃがいもの焼酎が完成した。
埴安はんが作った壺に入れて、少名はんと管狐の管夫はんが町に売りに行くと、最初は売れなかったが徐々に良さに気がついた商人達が目をつけて一ヶ月もすると三吉用に残した分以外は完売となった。
これでお金が多少手に入ったので、農具を揃えたり、塩や味噌等の調味料類を購入したりする。
それに竹千代様が労働力を増やすように言われていたので、孤児を拾ってきて、村に住まわせることで、将来作物の育て方を広める時に広報要員兼、普段は食料生産に従事させるのであった。
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