天野純一とは何か?

天野 純一

第1話 自分はどんな作風?(by 発芽様)

①あなたが特に大切に書いているのはどの部分?(心情か構成、アイデア? その他)


 第一にアイデアですね。トリック、論理、どんでん返し云々。核となるアイデアを元に構成や描写を広げていきます。

 ミステリに限らず、小説においてはアイデアは命だと思います。いまだに人間がAIに勝てるのは「アイデアを創造すること」なんじゃないかな。


②普段、好んで読んでいるジャンルは?


 完全にミステリ専門ですね。むしろミステリ以外で読んだものが思いつかないです。中でも本格ミステリが主です。社会派とかはあまり読まないですね。

 この間友達の薦めで『海と毒薬』を読んでみましたが、文学の楽しみ方は難しいのだなと思わされました。


③主人公の心の成長は、書く時に計算していますか? 物語の展開重視しますか?


 そういえば心の成長とかほぼ書いたことないな(爆)

 物語の展開もといプロットに沿って文を紡いでるだけですね。ただの長ったらしい推理パズルになっている可能性が……(泣)


④リアルでは口にするより、書く方が楽ですか?


 書く方が楽です。LINEくん、神か何かなんですかね。電話は苦手な民です(ただのコミュ障)。


⑤キャラと物語の行方について二者面談することはよくある?


 キャラと面談ってどうやるんですか……??

 よく分かりませんが、物語の行方に関してはプロットが全てを握っているので、キャラの影響で変わるということは滅多にないですね。


⑥キャラが勝手に動く時はできるだけ動かす?またはやりたくないって言われたら無理にやらせない?


 キャラが勝手に動くときは動かします。面白キャラが勝手に動く時は解決編を書いてる時の次に楽しいかもしれない。自作で言うと『密室大戦』に登場する吉野桜や『神嵐館の連続殺人』に登場する町谷などは楽しいですね。

 やりたくないと言われたらもちろん無理にはやらせないですが、「展開上やむを得ない」かつ「短編」の場合は、キャラそのものを丸ごと変更することはあります。


⑦整合性や矛盾は気にしてしまう?矛盾がないようにしたい派? 誤魔化す?伏線作るのが好き? 気づいたら伏線になってる?


 基本的に本格ミステリなので、整合性や矛盾には細心の注意を払う必要があります。矛盾の箇所があると、読者にとっては「何かを示唆する手がかり」になってしまうからです。なので誤魔化すことなく徹底的に潰します。

 伏線を作るのは大好きです。読者にバレるかバレないかの境目を綱渡りしているゾクゾク感がたまりません(笑)

 気づいたら伏線になってるってことも案外ありますね。解決編で論理を成立させようとするときに初めて「この描写使えるやん」となった経験は何度もあります。それすなわち、解決編における論理展開をプロット段階で詰められていないことを意味するんですけど。


⑧ヨムときは、キャラに憑依しながら読みますか?没入しやすいですか?


 基本的に憑依しながら読みます。誤字脱字や不自然な描写、余計な性描写とかがあると現実に引き戻されるので困りますね。

 ただ同時に、「作者の都合」も俯瞰しています。ウザい読者である自覚はありますが、小説に限らずアニメなども含めて「ここは作者がこうしたいからやってるんだな」とか「ここあんま推敲してないな」とかはどうしても思っちゃいますね。なのでご都合主義が排されたものはかなり好印象になります。


⑨カク時は、キャラが憑依しますか? 監督型で書きますか?


 一人称の地の文やポップな会話では憑依してると思います。そのキャラだったらどんなことを思うか・どんな会話をするかを考えるというよりはそのキャラの気持ちになって書いている感じです。

 描写や構成は当然ながら監督型で書いてます。監督型での執筆はなかなか筆が進まず、結構疲れます。


⑩あなたは、エッセイまたは作文を書いたときにどう感じましたか?

エッセイと小説は違いますか?

同じ(似ている)だと感じたことはありますか?

(例えばですが、現実にある事件が自分の身に起きて、それをエッセイ風にも書けるし小説にもできそうだなって思うか?


 難しい質問ですが、根底にあるものは同じだと思います。作中で描かれるのが自分の人生か登場人物の人生かというだけの違いかなと。

 僕は圧倒的にエッセイの方がスラスラ書けます(誰でもそうなんかな)。伏線を張ったりする必要がないからですかね。とにかく思いついたことを書き連ねるだけでそれっぽいものができるからか。

 現実の事件はエッセイにも小説にもできると思います。現実なんですからエッセイの方が向いてるとは思いますが、小説にするなら「隠された真実」や「人物たちのその後」などを創造および想像して書けるので幅が広がりますね。どうしても自分が投影されてしまうのであまりやりませんけど。


⑪書きたいのは、物語の複雑性? 人間関係? 内省? 心をさらけ出して書くのは好きですか?


 書きたいのは――いかにして読者を驚かすか。膝を打たせるか。心を動かすか。ただそれだけです。そのためなら何でもやります。『純然たるフーダニット』参照(?)

 小説中で心をさらけ出すのは滅多にやりません。僕自身ヨム側の時に、作品に対して作者が投影されているのを感じると現実に引き戻されるので嫌なんです。ご都合主義にせよ作者の投影にせよ、「現実」を意識させられるのはまっぴら御免です。


⑫あなたの書きたいメインジャンルは自分で分かっていると思いますが、サブジャンルはなんですか?


 メインジャンルはミステリですが、サブジャンルは……強いていうなら青春やラブコメ? ただの個人的好みというだけですが。


⑬ 書くときに一番大事にしているのは“読者の気持ち”ですか? それとも“自分の気持ち”ですか?



 ペンネームの「純一」には「純粋に一番面白いと思える小説を書く」という思いを込めています。したがって「自分の気持ち」です。

 正確に言うと「自分が読者だったらどんな展開を望むか」ですね。なので「読者の気持ち」なのかもしれないです。

 もともと物書きになりたいと思ったきっかけが、商業小説を読んでいて「自分だったらこういう展開にするのになぁ」と思わされたことなので、必然的にそうなってしまいました。


⑭ あなたはハッピーエンドすき? バッドエンド? 伏線回収や落とし所は考えている?



 ヨム方は基本的にはハッピーエンドが好きです。単純に鬱になりたくないっていうそれだけです。まぁ夕木春央のアレも遠坂八重のアレも大大大好きですけど。

 カク方はなぜか今のところバッドエンドばかりですが、意識してそうしているわけではありません。物語として自然な結末を選択した結果そうなっているだけです。


⑮ 書きたい衝動は、どんな時に一番強く湧きますか?


 面白い/面白くない作品に出会ったときです。

 面白い作品に出会ったときは、「自分ならどうするかなぁ」「ここのアイデア上手いなぁ」と書きたい欲を掻き立てられます。

 一方で面白くない作品に出会ったときは、「自分ならこうするのに」「題材はいいのにこう使うのはもったいないなぁ」から「それなら自分で書いてやれ」となりますね。


⑯ 物語のアイデアは、現実から拾うことが多いですか? それとも空想から?



 これはどちらもありますね。どっちが多いんやろ。分かんないです。

 寝る前にアイデアが無性に広がることがあります。それは空想から得てますね。

 旅先や日常生活で刺激を受けて手に入る場合もあるのでどっちともいえませんね。


⑰ キャラクターの“外見”と“内面”、どちらから先に浮かびますか?



 常に内面です。そもそも外見は大して気にしないので、描写することすら多くないかもしれません。キャラクターは絶対に性格や話し方から入ります。

 少し話が逸れますが、キャラクターは「一人称」や他のキャラをどう呼ぶか(=「二人称」)が地味に重要だと思っていて、これでキャラ分けすることもあります。

 あと、キャラの名前に含まれる漢字はなるべく被らないようにします。基本中の基本ですが。


⑱筆は遅い?早い?


 遅い(確信)。


⑲あなたにとって小説とは?(書く燃料になるものなど)

エンタメ?非現実的な世界への旅を味わうこと? 心の消化(昇華)?


 作者からの挑戦状。

 挑戦状というと推理に限定されそうですが、他ジャンルでも同じです。作者渾身のアイデアやキャラを読者にぶつけ、心を動かそうと模索するものです。そこに妥協は許されません。


⑳読まれるため(公募のため)に、人気ジャンルを自分の中で落とし込み書きますか?それとも我が道を歩みますか? 間を取りますか?


 「人気ジャンル」が何を指すのかによりますが、「密室」「首切り」「クローズドサークル」とかを指すなら乗っかりまくってますね。

 「ラブコメ」「異世界」「ホラー」とかを指すならあまり意識して落とし込むことはしません。個人的に青春ラブコメは好きなので恋愛を絡めることはありますが、あえて人気を取ろうという目的ではないので少し話が違うかなと。結局「純粋に自分が一番面白いと思えるもの」を常に目指しています。

 ついでにいうと、僕は新規性・オリジナリティーを追い求めているので、そういう意味でも人気ジャンルに落とし込もうという意識は特にないですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る