第2話〈開戦〉

再び鍵を挿し、今度は反対に回す。


 カチャッ…


2回目であるはずのこの音は、似ているようで少し異質で、あまりにも不気味であった。


 よし…。開けよう…!


治まることを忘れ、僅かな震えを見せ続けていた彼の手は、ようやくドアの取手まで辿り着いた。そしてその震えを強制的に止めんばかりの力で取手を握るとほぼ同時に、強風を起こす程の勢いをもってその扉をこじ開けた。


 バーン!!


彼の目に瞬時に飛び込んできたのは、家の中に広がるどことなく不穏をまとった暗闇。ただ、それだけであった。直後、極限まで凝らされた両の眼をさておいて、彼は全身を通して直感した。そこには誰もいないことを。


 ふう…。ひとまず耐えたか…。ただまだ安心はできない…。中にいる可能性、そして隠れている可能性が、拭えない限り…!

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