一章04話 公地公民によって、中世が確立す

[newpage]#01 所有権の明確化

 古代は、所有権が明確化されておらず、言霊ことだまを根幹とする、記憶文明によって、口約束が最上位の契約となります。だからこそ、日本では、虚言が、最も忌むべき行為となります。


 しかしながら、国外からの亡命者の増加、記録に無いことを無視することで、縄文晩期から争いごとが増加していきます。これは、大陸より諸子百家が伝来し、縦横家等によって、「理屈」や「言い訳」が増加、言霊ことだまを根幹とする記憶文明が、徐々に限界を迎えていきます。


 日ノ本のすべては、主上おかみのモノであり、主上おかみを祀ろう民に、主上おかみより与えられるモノである。海外からの法律を引用して、公地公民制度という形で、後付けで律令体制を確立していった。


 日本では、アメリカ大陸の先住民と異なり、所有権を明確化することで、土地に対する侵略を防ぐ、根幹が確立されたことになります。


[newpage]#02 記録文明は「漢字」によって確立する

 記録文明を万葉仮名を含めて、「漢字」による記録文明へ遷移するのが、7世紀以降の歴史となります。


 これは、古代の文字体系が、神社に伝承される、しるしであり、刺突ハヂチと呼ばれる、入れ墨による文様として、記憶の補助機能であり、文字体系として明確化されていなかったことにあります。記憶文明を形成する過程で、アメリカのWampumも同じで、記憶を想起させるための、しるしとして機能していました。このため、日本の古代文字は、記録用に用いられる、「文字」としての機能を持たせることができなかったのです。


 「漢字」は、秦帝国から漢帝国の流れの中で、「文字」として確立していった、外来字であり、記録するための機能を基準に開発された文字体系となります。漢字の音韻を使うことで、和音を記録する「万葉仮名」として用い、漢文ではない、記録する文字体系を確立します。「万葉仮名」を確立したことで、日本の記録文明化が、一気に加速していきます。


[newpage]#03 風土記によって、封印されていく、記憶文明

 記録文明の怖さは、教育によってそれぞれの地域固有とした、神話伝承を塗りつぶしていくことにあります。温羅の鬼退治伝承が、桃太郎伝説として伝わるように、記憶は徐々に塗り替えられていきます。


 各地の「風土記」には、各地方を記録していくことが目的であり、様々な事柄が記録されています。記録によって、封印するという意味合いも、風土記にはあります。


 記憶から記録へと移行すると、火災や地震等によって、記録が消滅すれば、内容も消えてしまいます。「風土記」の記録が、古老等による伝承の記録であるが、「風土記」そのものが残っていなければ、記録と記憶が潰えることになります。


[newpage]#04 中世の確立 日本は主上おかみの国である

 天智2年8月663年10月白村江の敗戦から、日本国の統治体制の刷新が、畿内ヤマトによって図られます。天智帝が崩御し、天武帝が即位したことで、最後の倭国大乱が収束します。

 国分寺・国分尼寺の建立による、教育システムの構築は、GHQによる「War Guild Information Program」と同じように、日本全国各地に、畿内ヤマトの神話伝承を浸透させ、公地公民を確立することにありました。


 各地で土地の神々を、封印していく流れは、神社のフランチャイズ化によって、古墳期に確立していきます。氏神氏子という縄文からの統治体制を、氏とかばねという制度によって、地縁血縁制度を上書きしていった形になります。


 







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