富岳バスケットボール・デイズ

第5幕

### **第1話：初詣**

　富岳市に初雪が降ったのは、大晦日の夜だった。しんしんと降り積もった雪は、一夜にして街全体を無垢な白い絨毯に変え、家々の屋根や木々の枝にまで降り積もって、まるで別世界のような静謐な美しさを創り出していた。新しい年の光が、雪面に反射してキラキラと瞬く。それは、これからの日々に待ち受ける、希望と予感のきらめきのようにも見えた。

　柊一真は、由季と雄宇、そして父の誠一郎と母の佳代子とともに、近所の富士見神社へと初詣に向かっていた。真新しいダウンコートを羽織った一真の隣には、由季がぴったりと寄り添い、その長い黒髪が風に揺れて、彼の肩を掠めるたびに、甘く柔らかなシャンプーの香りが鼻腔をくすぐった。由季の頬は、冷たい空気にほんのり赤く染まり、その澄んだ瞳は、冬の朝の光を宿して静かに輝いている。

　一方、彼のもう片方の腕には、雄宇が遠慮なく自分の腕を絡め、由季に対抗するかのように、一真の腕に体重を預けている。雄宇の吐く白い息が、一真の耳元で弾ける。「ねぇ、一真。由季も私も、どっちが本命か、神様にお伺いしてきちゃおっか？」悪戯っぽい声で囁く雄宇に、一真は苦笑いを浮かべながらも、その温かな体温を心地よく感じていた。雄宇のストレートな感情表現は、いつだって彼の心を揺さぶる。

　参拝の列は、新しい年を祝う人々で賑わっていた。手袋をはめた手で、由季と雄宇が彼の両手の指を絡めてくる。その二つの温もりが、一真の心にじんわりと広がる。由季の指は、繊細で滑らかだった。雄宇の指は、彼女自身の快活な性格を映すかのように、少しだけごつごつしていた。どちらの温もりも、彼にとってかけがえのないものだった。

　神社の石段をゆっくりと上りながら、一真は二人のことを思った。由季とは、小学校からの幼馴染で、互いの全てを知り尽くした関係。雄宇とは、たった数ヶ月前、家族になったばかりだが、血の繋がりを超えた、深く強い絆で結ばれている。どちらも、彼にとって特別な存在であり、どちらのことも、手放したくなかった。

　ようやく列が進み、本殿の前に立つ。一真は、由季と雄宇が静かに目を閉じ、手を合わせる姿を見つめた。二人は何を願っているのだろうか。由季は彼の隣で、そっと目を閉じる。その姿は、まるで絵画のように美しく、静謐な祈りの力を感じさせた。雄宇は、きらきらと輝く好奇心に満ちた瞳で一真をじっと見つめ、その唇が「一真とずっと一緒」と動いたように見えた。

　一真は、由季と雄宇、そして自分自身が、この先もずっと、幸せでいられるようにと心の中で強く願った。

　参拝を終え、おみくじを引いた。由季は「大吉」、雄宇は「中吉」だった。雄宇は「由季には負けないもん！」と不満げに口を尖らせる。その子供っぽい仕草に、由季は静かに微笑み、雄宇の頭をそっと撫でた。

　「雄宇、大吉も中吉も、どっちもいい運勢だよ。大事なのは、おみくじの結果じゃなくて、これからの一真と私たちの気持ちじゃない？」

　由季の言葉は、雄宇を落ち着かせ、彼女の持つ大人びた包容力を見せつけた。一真は、由季の穏やかさと雄宇の情熱、その両方を愛おしく感じた。

　初詣から帰宅すると、誠一郎と佳代子は「疲れたからもう寝る」と早々に布団に入ってしまった。リビングで二人きりになった一真と由季は、温かいお茶を飲みながら、静かに語り合った。由季は、一真の隣に座り、彼の腕に頭を預ける。

　「ねぇ、一真。私、一真と雄宇が、これからもずっと一緒にいてくれたら、それだけでいいかなって思ってる」

　由季の言葉に、一真は胸が締め付けられるような思いがした。由季の寛大さに甘えすぎているのではないか。一真は、由季の頭を優しく撫で、その不安を拭うように言葉を紡ぐ。

　「由季……ありがとう。俺も、由季と雄宇を、一生大切にするよ。この関係が、家族以上の、もっと特別なものだって、そう思ってる」

　由季は微笑み、一真の言葉に安堵した様子で、彼の胸に顔を埋めた。

　窓の外では、雪が静かに降り続いていた。それは、新しい年に始まる、彼らの物語を祝福しているようだった。雪明かりに照らされたリビングには、三人の間に育まれた、複雑で、しかし深く温かい絆が満ちている。一真は、由季と雄宇、二人の愛を、それぞれの愛し方で受け止め、守り抜くことを、心に固く誓った。

### **第2話：姫始め　由季**

　家族での初詣から帰宅し、誠一郎と佳代子が早めに就寝した後、リビングには一真と由季だけが残された。テレビからは、正月特番の賑やかな笑い声が流れている。しかし、二人の間には、その喧騒とは対照的な、静かで、しかし確かな温かさが満ちていた。一真は由季の隣に座り、彼女の肩をそっと抱き寄せる。由季は、一真の腕の中にすっぽりと収まり、彼の胸に耳を当てた。ドクン、ドクンと規則正しく響く心臓の鼓動が、彼女の心を安らがせる。

　「ねぇ、一真」

　由季が、静かに顔を上げて一真を見つめる。その瞳は、何かを決意したかのように、強く、そして潤んでいた。

　「今日ね、初詣で神様にお願いしたの。一真と、ずっと一緒にいられますようにって」

　一真は、由季の言葉に胸が熱くなる。

　「俺もだよ。由季と雄宇、二人の幸せを願った」

　「ありがとう。でも、それだけじゃなくて。私、一真と、もっと一緒になりたい。家族としてだけじゃなくて、もっと、深く」

　由季の言葉は、一真の心に深く響く。彼女の言う「もっと深く」が何を意味するのか、一真は理解していた。それは、彼女との身体的な結びつき、そして魂の結びつきを意味していた。

　一真は、由季の頬に手を添え、優しくキスを落とす。由季は、目を閉じて、そのキスを静かに受け入れた。まるで、これから始まる二人の親密な時間を、祝福しているようだった。

　一真は、由季の部屋へと彼女を誘う。由季は、静かに頷き、一真に手を引かれ、彼の後に続いた。部屋に入り、ドアを閉めると、そこは二人の世界となる。

　一真は、由季の体を優しく抱きしめ、彼女の髪に顔を埋める。甘い香りが、一真の心を蕩けさせた。由季は、一真の背中に手を回し、その強靭な筋肉を指先でなぞる。一真の体温が、彼女の指先から全身に伝わり、由季の体を熱くしていく。

　二人は、お互いの服をゆっくりと脱ぎ始めた。由季は、恥ずかしそうに顔を伏せ、一真は、由季の白い肌に、思わず息をのむ。彼女の肌は、雪のように白く、滑らかで、触れると溶けてしまいそうなほど柔らかい。

　一真は、由季の体にキスを落としながら、彼女の豊満な胸へと手を伸ばす。由季は、小さく息をのんだが、一真の手を拒むことはなかった。一真は、由季の乳房を優しく揉みしだき、指で乳首を刺激する。由季の体は、一真の愛撫に反応し、乳首は硬く尖り、由季の口から甘い喘ぎ声が漏れた。

　「由季……本当に、いいのか？」

　一真は、もう一度由季に確認した。由季は、顔を上げて、一真の瞳をまっすぐに見つめる。

　「うん。一真と、もっと、深く、繋がりたいの」

　由季の言葉に、一真は、彼女の体をベッドに横たえる。一真は、由季の体の上に覆いかぶさり、彼女の唇に、深く、情熱的なキスを落とす。由季は、そのキスに身を委ね、一真の愛を全身で受け入れた。

　由季の体は、一真の愛撫に反応し、熱を帯びていく。一真の指が、彼女の敏感な部分に触れるたびに、由季は、甘い声を漏らした。由季の愛らしい喘ぎ声が、一真をさらに熱くさせる。

　一真は、由季の愛を確かめるように、ゆっくりと、彼女の中へと入っていく。由季は、少しだけ体を震わせたが、すぐに一真の愛を受け入れ、彼の動きに合わせて、腰を動かし始めた。

　二人の愛は、熱く、激しく、そして深く、交わされていく。由季は、一真との愛を全身で感じ、彼との絆が、さらに強いものになっていくのを実感した。そして、絶頂に達し、由季は甘い声をあげた。

　由季は、一真の腕の中で、幸せな余韻に浸っていた。一真の温かさが、彼女の心を優しく包み込む。

　「一真……私、今、すごく幸せ」

　由季が、一真の胸に顔を埋め、囁く。

　「俺もだよ。由季、愛してる」

　一真の言葉に、由季は、さらに深く、彼の胸に顔を埋めた。窓の外では、雪が静かに降り続いていた。二人の愛を祝福するように、静かに、そして美しく。

### **第3話：姫始め　雄宇**

　由季との静かな夜が明け、新しい朝の光が窓から差し込んでいた。一真は、温かい布団の中で、由季の柔らかな髪に顔を埋め、幸せな余韻に浸っていた。彼女はまだ夢の中のようで、穏やかな寝息を立てている。その無防備な寝顔に、一真はそっとキスを落とした。由季との愛が、二人の絆をさらに強くしたことを実感し、一真は胸の奥から湧き上がる温かい感情を抱きしめた。

　部屋を出て、由季との時間が終わりを告げたことを知ると、雄宇が、待ち構えていたかのように、一真を自分の部屋へと招き入れた。雄宇の瞳は、由季とはまた違う、情熱的な光を宿しており、一真の心を激しく揺さぶる。

　「一真、私にも『姫始め』して？」

　雄宇は、少し拗ねたような、しかし真剣な口調で言った。彼女の言葉には、由季への対抗心と、一真への一途な想いが込められている。

　「雄宇……」

　一真は、雄宇の率直な言葉に驚きながらも、彼女の熱意を受け止めることにした。雄宇の真っ直ぐな感情は、一真の心を強く惹きつける。

　雄宇は、一真の体を優しく抱きしめ、彼の体温を全身で感じようとする。由季とは違う、活発で情熱的な彼女の愛撫に、一真は心を奪われた。雄宇の体は、由季のそれとは異なり、アスリートらしく引き締まり、しかし同時に女性らしい柔らかな曲線も持ち合わせていた。

　一真は、雄宇の体にキスを落としながら、彼女の引き締まった胸へと手を伸ばす。雄宇は、小さく息をのんだが、一真の手を拒むことはなかった。一真は、雄宇の乳房を優しく揉みしだき、指で乳首を刺激する。雄宇の体は、一真の愛撫に反応し、乳首は硬く尖り、雄宇の口から甘い喘ぎ声が漏れた。

　一真は、雄宇の体に優しくキスを落としながら、彼女の身体の曲線に沿って指先を滑らせる。雄宇は、由季とは違う、大胆で積極的な愛撫を求めて、自ら一真の体に絡みつく。一真の愛撫が、彼女の敏感な部分に触れるたびに、雄宇は、由季とはまた違う、情熱的で、少しだけ荒い声を漏らす。彼女の愛らしい喘ぎ声が、一真をさらに熱くさせる。

　一真は、雄宇の愛を確かめるように、ゆっくりと、彼女の中へと入っていく。雄宇は、少しだけ体を震わせたが、すぐに一真の愛を受け入れ、彼の動きに合わせて、腰を動かし始めた。

　二人の愛は、熱く、激しく、そして深く、交わされていく。雄宇は、一真との愛を全身で感じ、彼との絆が、さらに強いものになっていくのを実感した。そして、絶頂に達し、雄宇は甘い声をあげた。

　雄宇は、一真の腕の中で、幸せな余韻に浸っていた。一真の温かさが、彼女の心を優しく包み込む。

　「ねぇ、一真。由季より、私の方が気持ちよかったでしょ？」

　雄宇は、悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。一真は、雄宇の言葉に答えず、ただ彼女を優しく抱きしめた。由季と雄宇、二人とも大切な存在であり、どちらかを選ぶことはできなかった。一真は、二人の愛を、それぞれの愛し方で受け止めることを決意した。

　「一真……私、今、すごく幸せ」

　雄宇が、一真の胸に顔を埋め、囁く。

　「俺もだよ。雄宇、愛してる」

　一真の言葉に、雄宇は、さらに深く、彼の胸に顔を埋めた。窓の外では、雪が静かに降り続いていた。二人の愛を祝福するように、静かに、そして美しく。

### **第4話：柚希との一日**

　初詣の翌々日、一真は道路を挟んで向かい側にある、幼馴染の東雲柚希の家を訪れた。凍てつくような冷え切った外気から一転、温かなリビングの空気が一真を包み込む。柚希は、彼の来訪を心待ちにしていたかのように、満面の笑みで彼を迎え入れた。彼女の髪は、風に軽やかに揺れるボーイッシュなショートヘアで、活発で少し生意気な光を宿した瞳が、一真をまっすぐに見つめている。

　「いらっしゃい、一真。ほら、早く上がって。外、めちゃくちゃ寒かったでしょ？」

　「ああ、お邪魔します。今日はありがとう、柚希。お前も外にいたんじゃないのか？」

　「んー、ちょっとだけね。一真が来るのを待ってたんだから」

　柚希は照れたように笑い、一真のコートを優しく受け取ってハンガーにかける。リビングに入ると、窓からは冬の柔らかな日差しが差し込み、部屋全体を温かく照らしていた。床にはクッションがいくつか並べられており、一真はそこに腰を下ろした。

　二人は、中学時代のバスケ部の写真を見ながら、思い出話に花を咲かせた。そこには、真剣な表情でボールを追いかける一真と、その隣で楽しそうに笑う由季と柚希が写っている。由季との関係をめぐって張り合っていた中学時代が、昨日のことのように思い出された。

　「ねぇ、一真。由季のこと、どう思ってるの？」

　柚希は、由季への対抗心を隠さずに、真剣な眼差しで一真に尋ねた。由季がバスケでは自分のライバルであり、恋愛においても最大の恋敵であるという複雑な感情が、その問いには込められている。

　「由季のことも、雄宇のことも、もちろん柚希のことも、みんな大切だよ。みんな俺にとって、特別な存在なんだ」

　一真は、言葉を選びながら、正直な気持ちを伝えた。彼の言葉は、柚希の胸に響き、彼女の心を揺さぶり、そして彼女の競争心をさらに煽った。

　「そっか。まあ、由季に負ける気はしないけどね」

　強気な口調で言いながらも、柚希の胸には由季一択ではないという一真の言葉に安堵が広がっていた。由季に対する嫉妬や焦り、そして一真を独占したいという強い独占欲が、彼女の心の中で渦巻いていた。

　やがて、二人の会話は途切れ、静寂が部屋を支配する。一真は、柚希の肉感的な体つきと、Dカップの豊満なバストラインに目が留まる。その身体は、彼女の正直で独占的な感情を映し出すかのように、一真の心を強く惹きつけた。

　「一真、私と、もっと、深く、繋がりたいの」

　柚希は、一真の瞳をまっすぐに見つめ、由季とは違う、情熱的で、少しだけ荒い声を漏らす。一真は、柚希の言葉に、由季とは違う、情熱的な愛を感じた。

　一真は、柚希の部屋へと彼女を誘う。部屋に入り、ドアを閉めると、そこは二人の世界となる。

　二人は、互いの服をゆっくりと脱ぎ始めた。柚希は、由季とは違う、大胆で積極的な愛撫を求めて、自ら一真の体に絡みつく。一真は、柚希の肉感的な体つきとDカップの豊満なバストラインを優しく揉みしだき、指先で乳首を刺激する。柚希の乳房は、一真の愛撫に反応し、硬く尖り、彼女の口から甘い喘ぎ声が漏れた。

　「一真……もっと、私を、感じさせて」

　柚希は、由季との対抗心を隠さずに、一真にそう囁いた。その言葉は、一真の心に火をつけた。由季と柚希を比べているのは柚希だけではない。前回の由季との行為の後、「由季の方が良かった」と柚希に言われたことを、一真は決して忘れていなかった。その悔しさと、今度こそ柚希を心から満足させたいという強い思いが、彼の内側から込み上げてきた。「由季なんかじゃ、こんなに柚希を満足させることはできない」と、心の奥底でつぶやくように。一真は、由季への遠慮をすべて捨て去り、柚希の快感だけを求めて動き始めた。

　一真は柚希を仰向けに横たえ、自らの体で彼女を覆う。二人の肌が重なり合い、その間に生まれた熱が、部屋の空気をさらに温める。一真は、柚希の女性器を舌と指で丁寧に愛撫し、彼女の快感を高めていった。柚希は身をよじり、甘く、情熱的な声を漏らす。彼女の愛らしい喘ぎ声が、一真をさらに熱くさせる。一真は、柚希が由季との比較を口にするたびに、もっと強く、もっと深く、彼女を満たそうと必死になった。

　「ねえ、一真。由季よりも……？」

　柚希は、快感に震えながらも、一真の耳元でささやいた。その問いに、一真は言葉で答える代わりに、柚希の体を抱き起こし、彼女を自分の上に跨がらせるようにして位置を変えた。柚希は一真の瞳をまっすぐ見つめ、主導権を握ったかのように挑発的な笑みを浮かべる。柚希は、ゆっくりと、そして時に大胆に腰を動かし、自らが感じる快感を全身で表現する。その揺れに合わせて、Dカップの豊かな胸が上下し、視覚的な刺激も一真をさらに熱くした。柚希の汗ばんだ肌から放たれる甘い香りが、一真の理性を溶かしていく。

　さらに時間が過ぎ、一真は柚希をうつぶせにし、背後から彼女の体を抱きしめた。柚希は、この予期せぬ位置の変化に、驚きと同時に新たな快感を見出し、小さく嬌声を漏らした。一真は、彼女の背中を優しく撫でながら、さらに深い愛を注ぎ込む。由季では決して与えられなかったであろう、圧倒的な快感。一真は、その確信をもって、柚希の快楽を全身で満たした。

　何度も何度も、二人の体は求め合った。リビングの窓から差し込む光は、いつしか淡い夕焼け色に変わり、やがて夜の帳が降りる。部屋の片隅に置かれた時計の針が、何度かカチリと音を立てるたびに、二人の熱はさらに高まっていった。

　「一真……私、今、すごく幸せ」

　柚希は、一真の腕の中で、幸せな余韻に浸っていた。一真の温かさが、彼女の心を優しく包み込む。二人の間に流れる時間は、まるで止まってしまったかのようだった。

　「俺もだよ。柚希、愛してる」

　一真の言葉に、柚希は、さらに深く、彼の胸に顔を埋めた。窓の外では、雪が静かに降り続いていた。二人の愛を祝福するように、静かに、そして美しく。

### **第5話：練習初め**

　正月休みが明け、街には日常が戻ってきた。冷たい風が吹きつける中、柊一真は、道路を挟んだ向かいにある幼馴染の東雲柚希の家のハーフコートで、バスケットボールを手にしていた。由季、雄宇、柚希、詩織、結季も、それぞれ真新しいジャージに身を包み、コートに立っていた。冬の澄んだ空気は、彼らの吐く白い息をくっきりと描き出し、頬を刺すような冷たさが、彼らの熱意を一層際立たせる。

　「よし、じゃあ始めようか。まずは、1対1で。俺と、誰か」

　一真が声をかけると、由季が一番に手を挙げた。由季は中学時代、女子バスケ部で鍛えられた引き締まった体型をしており、その冷静な判断力と正確なプレイは、一真の心を惹きつける。真剣な表情で一真と向き合った彼女は、力強いポストプレイで一真に挑む。一真は、由季の落ち着いたプレイに感心し、彼女とのプレイを楽しんだ。

　続いて雄宇が名乗り出た。雄宇は由季とよく似た体型をしているが、ボーイッシュなショートヘアが特徴で、活発な光を宿した瞳で一真に挑んできた。雄宇は持ち前の高い運動能力を活かした素早い動きで、一真を翻弄しようとする。一真は、雄宇の素直で活発なプレイに、由季とはまた違う魅力を感じた。

　柚希は、由季と雄宇のプレイを複雑な表情で見つめていた。一真への想いを断ち切れていない彼女は、一真と由季、そして雄宇の関係の深さに、どこか焦りを感じているようだった。

　「次は私だ、一真！」

　柚希が声を張り上げた。一真は、柚希とのバスケが、昔から喧嘩の仲直りの儀式であり、特別な意味を持つことを思い出していた。柚希は、一真の動きを広い視野で見て、素早いパスやドリブルを繰り出す。一真は、柚希のバスケに対する真摯な姿勢に、改めて惹かれていく。

　詩織は、由季たちに巻き込まれる形でバスケをすることになったが、冷静なゲームメイクと広い視野で、一真や柚希の動きを分析していた。彼女は、一真のバスケットボールに対する真摯な姿勢に、改めて惹かれていく。

　結季は、そんな彼女たちの様子を、ただ静かに見つめていた。彼女はバスケの経験者だが、由季や雄宇、そして柚希と詩織にはない、一真や柚希、由季、雄宇、詩織といった彼ら彼女らの複雑な人間関係を客観的に観察することに楽しさを見出しているようだった。

　一真は、6人それぞれのバスケットボールに対する情熱を再認識し、彼らの力になりたいと強く思った。冬の練習は、彼らの技術をさらに磨き、チームとしての絆を深めていくための、重要な時間になっていくことを予感させていた。

　練習の合間に、由季が言った。

　「一真、今日の練習で、私と雄宇、そして柚希と詩織、結季の女子チームは、後半にスタミナ切れを起こすっていう課題が見つかったね」

　由季は、冷静に今日の練習試合の課題を分析していた。

　「ああ、そうだな。男子チームも、試合の後半にスタミナ切れを起こすことが多くて、俺たちもさらなるスタミナ強化が求められている」

　一真は頷いた。一真は、由季や雄宇、そして柚希、詩織、結季と、バスケットボールを通して、これからもずっと一緒にいたいと強く思った。

　「よし、じゃあ、明日からも、みんなで頑張ろう」

　一真が言うと、由季と雄宇は「うん！」と元気よく返事をした。柚希と詩織、結季もそれに続いた。

### **第6話：料理の日**

　3学期が始まる前の、冬の週末。冷たい風が吹く日だったが、一真の部屋の中は温かく、ほのかなバターの香りが漂っていた。由季と二人でキッチンに立ち、一真は料理の腕前を披露していた。由季は、中学時代にバスケで鍛え上げられた引き締まった体型で、エナメルの光沢を思わせる漆黒のワンレンのストレートロングヘアーを、シニヨンにまとめている。彼女は真剣な眼差しで、一真の手元をじっと見つめている。

　「由季、包丁はこう持つんだ」

　一真は由季の手を取り、優しく包丁の持ち方を教えた。由季は、一真の手の温かさと、彼の真剣な眼差しに、胸が高鳴るのを感じていた。一真の優しさと、彼の料理の腕前は、由季の心を掴んで離さない。由季は、一真との将来を真剣に考え始めていた。

　「一真、すごいね。なんでもできるんだね」

　由季が感心したように言う。

　「そんなことないよ。由季だって、バスケの練習メニューとか、すごいじゃん」

　一真が言うと、由季は照れくさそうに微笑んだ。一真と由季は、互いの得意なことや苦手なことを理解し、彼女との関係を深めていく。

　料理の時間が終わり、由季と一真は、テーブルに向かい合った。テーブルの上には、由季が作ったミネストローネと、一真が作ったハンバーグが並んでいる。

　「おいしい！」

　由季が、ハンバーグを一口食べると、目を丸くして言った。

　「よかった。由季にそう言ってもらえると、俺も嬉しい」

　一真は、由季の笑顔を見て、幸せな気持ちになった。由季は、一真の料理をゆっくりと味わいながら、一真との将来を真剣に考える。

　「ねぇ、一真。将来、一緒に住んだら、毎日こんな風に、一緒に料理を作ってくれる？」

　由季が、恥ずかしそうに尋ねた。一真は、由季の言葉に、由季との未来を具体的に想像し始める。

　「ああ、もちろんだよ。由季が望むなら、毎日でも作ってあげる」

　一真の言葉に、由季は嬉しそうに微笑んだ。二人の間に、温かい空気が流れていく。

### **第7話：お菓子の日**

　3学期が始まる前の、冬の週末。由季との料理の時間が終わり、リビングにはお菓子作りの甘い香りが漂い始めていた。一真の隣には、由季とは対照的に、元気いっぱいの雄宇が立っている。雄宇は、風に軽やかに揺れるボーイッシュなショートヘアで、活発で少し生意気な光を宿した瞳で、一真の手元を見つめている。

　「一真、私にも教えて？」

　雄宇が言った。雄宇は、一真の家庭的な一面に触れ、彼への一途な想いを再確認する。一真は、雄宇の積極的なアプローチに少し戸惑いながらも、彼女の気持ちを尊重し、彼女の隣でお菓子作りを楽しんだ。

　「雄宇、生地はこうやって混ぜるんだ」

　一真は雄宇の手を取り、優しく生地の混ぜ方を教えた。雄宇は、一真の手の温かさと、彼の真剣な眼差しに、胸が高鳴るのを感じていた。一真の優しさと、彼の料理の腕前は、雄宇の心を掴んで離さない。雄宇は、一真との将来を真剣に考え始めていた。

　「ねぇ、一真。私と、由季と、一真の三人で、将来、料理教室を開かない？」

　雄宇が言った。雄宇の言葉に、一真は驚きながらも、由季と雄宇、そして自分との未来を、具体的に想像し始めていた。一真は、由季と雄宇、二人の愛を、それぞれの愛し方で受け止めることを決意する。

　お菓子作りの時間が終わり、由季がリビングに戻ってきた。テーブルの上には、由季が作ったミネストローネと、一真が作ったハンバーグ、そして雄宇と一真が作ったクッキーが並んでいる。

　「すごい！　これ、雄宇が作ったの？」

　由季が、クッキーを一口食べると、目を丸くして言った。

　「うん！　一真が教えてくれたの。由季には負けないもん！」

　雄宇は、得意げに胸を張った。由季は、雄宇の言葉に微笑み、一真に視線を送った。由季と雄宇、二人の間に、温かい空気が流れていく。

### **第8話：練習試合**

　休み明けの練習が始まって数日後、体育館は一年生チームと二年生チームによる練習試合で熱気に包まれていた。冬の冷たい空気とは裏腹に、選手たちの体からは湯気のように熱気が立ち上り、バスケットボールの練習着は汗で濡れていた。

　男子一年生チームは、一真を中心に健太、拓海、大樹、良平という布陣で、二年生チームのキャプテン・優介率いるチームに挑んでいた。一真は、持ち前の力強いポストプレイとリバウンドでチームを牽引する。相手のセンター・隆に負けじと体をぶつけ、リング下で強靭な肉体を躍動させた。前半は一進一退の攻防が続き、互角の勝負を展開した。

　しかし、後半に入ると、二年生チームの連携が徐々に精度を増していく。キャプテン優介の指示のもと、翔太と隼人が巧みにポジションチェンジを繰り返すことで、一年生チームのディフェンスは混乱に陥った。一真は必死にリバウンドを拾うが、二年生チームの速攻に追いつくことができない。

　「くそ……！」

　一真は肩で息をしながらも、最後のホイッスルが鳴る直前、相手のシュートをブロックし、そのままリバウンドを奪って自陣へ駆け戻る。試合は終盤までもつれ込み、最後の笛が鳴った時、辛くも一年生チームが勝利を収めた。

　「よしっ！」

　勝利を喜ぶ声が体育館に響き渡る。一真は、床にへたり込み、肩で息をしながらも、充実感に満ちた笑顔を浮かべた。しかし、コーチの表情は険しいままだった。

　「スタミナが課題だな。このままでは、試合後半に失速するぞ。一真、お前もだ」

　コーチの言葉に、一真は真剣な表情で頷いた。自身のスタミナ不足を痛感し、夏の大会に向けて、さらなる強化を誓った。

　一方、女子チームの試合は、男子チームとは対照的な結果に終わった。由季、雄宇、柚希、詩織、結季の一年生チームは、経験に勝る二年生チームに序盤から苦戦を強いられた。由季は持ち前の冷静な判断力と鍛え抜かれた肉体で奮闘するが、周囲との連携がうまく機能せず、由季が孤立する場面が目立った。

　特に、柚希のプレイは精彩を欠いていた。彼女の心は、バスケではなく、結季との関係に囚われていた。ドリブル中にボールを奪われ、シュートはことごとくリングに嫌われる。雄宇は柚希の不調に苛立ちを隠せず、由季はチームの連携が崩れていくことに焦りを感じていた。

　「東雲！　お前、どうしたんだ？　集中できていないぞ！」

　コーチの厳しい言葉が体育館に響く中、女子一年生チームは完敗を喫した。由季と雄宇、そして柚希、詩織、結季は、夏の大会に向けて、チームとしての課題を共有し、決意を新たにした。

### **第9話：バレンタインデー直前の女子会**

　二月も半ばに差し掛かった週末、一真の家では賑やかな声が響いていた。バレンタインデー直前、由季、雄宇、柚希、詩織、結季の五人が集まり、恒例の女子会が開かれていたのだ。リビングには甘い香りが満ち、一真が愛情を込めて作ったチョコレートケーキがテーブルの真ん中に置かれている。

　「すごい！　一真くん、これも全部手作り？」

　詩織が目を丸くして尋ねた。彼女の知的で落ち着いた印象の瞳が、きらきらと輝いている。

　「ああ、みんなが喜んでくれるかなと思って」

　一真は照れくさそうに頭をかいた。その隣で雄宇が、一口食べたケーキを口元につけながら、はにかんだ笑顔を見せる。

　「うん、美味しい！　私、一真くんのケーキが世界で一番好き！」

　雄宇の素直な言葉に、由季は静かに微笑み、柚希は少し不満そうな顔で雄宇を睨みつける。彼女たちの間に流れる、一真をめぐる複雑な感情の空気は、今に始まったことではない。

　「柚希、どうしたの？　そんな顔して」

　結季が柚希の隣に座り、心配そうに声をかけた。結季は、柚希の感情の機微を察するのが得意だ。柚希は、結季の優しさに触れ、少しだけ顔を和らげた。

　「別に、なんでもないわよ。ただ、雄宇がズルいだけ」

　「ズルくないもん！　一真くんのケーキが美味しいのは本当のことだもん！」

　雄宇は、由季に対抗するかのように、一真の腕に自分の頭を預ける。一真は、雄宇の行動に戸惑いながらも、彼女の頭を優しく撫でた。

　「由季も、一口どうだ？」

　一真が由季にケーキを差し出すと、由季は微笑みながらそれを受け取った。由季は、一真の優しさに心を温め、彼との絆が、さらに強いものになっていくのを実感した。

　ケーキを食べながら、彼女たちはそれぞれの近況について語り合った。由季はバスケットボールの練習メニューについて、雄宇は新しい家族との生活について、柚希は結季との関係について、詩織は学校生活について、結季はバスケットボールの試合の分析について話していた。

　一真は、彼女たちの近況を聞き、それぞれの想いの深さを改めて知る。由季と雄宇が、姉妹として、そして一真をめぐる恋敵として、複雑な感情を抱いていること。柚希が、結季との関係に安らぎを見出し、一真への想いを再構築しようとしていること。詩織が、冷静な視点から彼女たちを見守っていること。結季が、そんな彼女たちの関係を客観的に観察し、時にツッコミ役になっていること。

　「ねぇ、一真くん。今年のバレンタイン、楽しみだね」

　雄宇が、悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。その言葉に、由季と柚希、そして詩織と結季は、それぞれの胸の内を隠し、微笑みを浮かべた。

　「ああ、楽しみだな」

　一真は、彼女たちの真剣な想いを受け止め、彼女たちとの関係を大切にしようと決意する。

　女子会が終わり、一真は由季と雄宇、そして柚希、詩織、結季の五人を玄関まで見送った。彼女たちの背中が遠ざかっていくのを見つめながら、一真は、五人との関係が、これからさらに複雑に、そして深く、絡み合っていくことを予感していた。

### **第10話：バレンタインデー**

　2月14日、バレンタインデー当日。早朝の澄み切った冷たい空気の中、一真はいつものようにバスケットボールの朝練に向かうため、家を出た。リビングのテーブルの上には、由季と雄宇が作ったチョコレートが、かわいらしいリボンで飾られた箱に入れられて置かれている。由季からのチョコレートは、繊細な手作り感が伝わる、美しいデコレーションが施されたものだった。雄宇からのチョコレートは、活発な彼女らしさが溢れる、大胆なデザインが施されたものだった。

　「いってらっしゃい、一真」

　由季が、一真に声をかける。彼女の瞳は、いつも以上に優しさに満ちていた。

　「いってらっしゃい、一真くん」

　雄宇が、一真に声をかける。彼女の瞳は、いつも以上に熱を帯びていた。

　一真は、二人の想いが込められたチョコレートを、大切に受け取った。一真は、由季と雄宇、二人の愛を、それぞれの愛し方で受け止めることを決意する。

　学校に着くと、一真は教室で、柚希、詩織、結季から、それぞれチョコレートを受け取った。

　「ほら、一真。由季に負けないくらい、私の方が愛情込めて作ったんだからね」

　柚希は、少し不満そうな顔で、一真にチョコレートを差し出した。一真は、柚希の言葉に微笑み、彼女からのチョコレートを大切に受け取った。

　「柊くん、はい。これ、私からです」

　詩織は、少し照れたように、一真にチョコレートを差し出した。一真は、詩織からのチョコレートを大切に受け取った。

　「はい、一真くん。私からも」

　結季は、由季と雄宇、そして柚希、詩織の様子を静かに見つめながら、一真にチョコレートを差し出した。一真は、結季からのチョコレートを大切に受け取った。

　一真は、彼女たちからのチョコレートを、一つ一つ、大切に受け取った。彼女たちの想いが込められたチョコレートは、一真の心を温かく満たしていく。

　放課後、一真はバスケットボールの練習に励んだ。由季、雄宇、柚希、詩織、結季も、それぞれ女子バスケットボール部の練習に励んでいた。

　練習後、一真は由季と雄宇、そして柚希、詩織、結季の五人を家に招き、彼女たちからバレンタインデーのチョコレートを受け取った。

　「ねぇ、一真くん。来年のバレンタインは、由季と私と、どっちが良かったか教えてね」

　雄宇が、悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。その言葉に、由季は静かに微笑み、柚希は少し不満そうな顔で雄宇を睨みつける。

　「お返し、楽しみにしてるからね」

　由季が、一真にそう言った。

　「ああ、もちろんだよ。楽しみにしててくれ」

　一真は、彼女たちからのチョコレートを、一つ一つ、大切に味わった。彼女たちの想いが込められたチョコレートは、一真の心を温かく満たしていく。

### **第11話：学年末テスト**

　学年末テストが迫る二月下旬、街全体に静かで張り詰めた空気が漂っていた。富岳第一高校も例外ではない。いつもは賑やかな放課後の教室も、今は受験を控えた三年生が引退し、静まり返っている。一真の家では、由季と雄宇、そして一真の三人で、テスト対策の勉強会が開かれていた。由季の部屋には、教科書やノート、問題集が山のように積まれており、由季の完璧主義な一面を物語っているようだった。

　「一真、この問題、どう解くの？」

　由季が、難しい数学の問題を指差して尋ねた。由季は完璧主義な一面があり、わからない問題があると、納得がいくまで一真に尋ねる。一真は、由季の完璧主義な一面に触れ、彼女の努力を称賛した。

　「由季、これはな……」

　一真は、由季の隣に座り、優しく問題を解説する。由季は、一真の真剣な眼差しに、胸が高鳴るのを感じていた。一真の優しさと、彼の頭の良さは、由季の心を掴んで離さない。

　「ねぇ、一真くん。疲れたら、私にマッサージして？」

　雄宇が、一真の隣に座り、少し拗ねたような口調で言った。雄宇は、由季とは違う、活発で情熱的な性格で、一真との親密な時間を通して、彼との距離を縮めようとする。

　「雄宇、今は勉強の時間だろ？」

　由季が、雄宇に注意した。雄宇は、由季の言葉に少し不満そうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。

　「はーい。わかってまーす。でも、由季も一真くんにベッタリじゃん」

　由季は、雄宇の言葉に何も言えず、顔を赤くして俯いた。一真は、由季と雄宇の気持ちの間で葛藤し、どうすればいいか悩む。彼は由季の真面目さ、雄宇の素直な甘え、どちらも大切な彼女たちの個性だと理解していた。

　「由季、雄宇。二人とも、俺にとって大切な存在だ。二人とも俺が守るから、安心して」

　一真が言うと、由季は、一真の言葉に安堵の表情を浮かべ、雄宇は、一真の優しさに心を温めた。

　勉強会が終わり、由季と雄宇は、それぞれ自分の部屋に戻っていった。一真は、一人になった部屋で、由季と雄宇、二人の愛を、それぞれの愛し方で受け止めることを決意する。

　「由季も、雄宇も、頑張ってるんだな」

　一真は、二人の背中を見つめながら、静かに呟いた。窓の外では、学年末テストを前にした静かな夜が深まっていた。

### **第12話：由季の独占と、二人の未来**

　学年末テストが終わり、重く張り詰めていた空気がようやく和らいだ週末。由季と一真は二人きりの時間を過ごすため、デートに出かけた。由季は一真と二人で出かけることに、いつも以上に心を躍らせていた。行き先は、由季が以前から気になっていた映画館。二人は、最新のラブストーリー映画を観に行くことにした。由季は、バスケの練習着ではない、可愛らしいニットのワンピースに身を包んでいた。その控えめで無邪気な姿は、バスケのコートで見せる完璧主義な彼女とは対照的で、一真の心を強く惹きつけた。

　映画館のロビーで、由季が微笑みながら言った。「一真、この映画、前から観たかったんだ。ありがとう」彼女の言葉は、ただの感謝以上の、深い喜びと期待に満ちていた。一真もまた、由季の笑顔に心を温め、彼女との特別な時間を慈しんだ。

　映画が始まり、暗闇の中で、二人の手はそっと触れ合った。由季は、一真の手の温かさに、胸が高鳴るのを感じていた。手のひらから伝わる熱が、由季の心に安堵と幸福をもたらす。一真は、由季の小さな手を優しく包み込み、彼女の指をそっと絡めた。その瞬間、由季は、一真との絆が、家族という枠組みを超えて、さらに強いものになっていくのを実感した。彼女は、隣に座る一真の体温、呼吸、そしてほんのり香るシャンプーの匂いまでも、五感すべてで感じ取ろうとした。

　映画のストーリーは、一真と由季の心に深く響いた。主人公の二人が、様々な困難を乗り越え、二人だけの未来を築いていく姿は、由季の胸に、ある種の焦りにも似た感情を呼び起こした。雄宇と三人で暮らす現在の生活は、温かく、かけがえのないものだ。クリスマスに一真が言った「この家で、三人で生涯ずっと」という言葉は、由季の心に深く刻まれている。だが、同時に、彼女は心の奥底で、一真を独り占めしたいという、より純粋で、本能的な欲望を抱き始めていた。それは、家族としての愛情とはまた違う、一人の女性として一真を愛し、彼との二人だけの空間を求める強い想いだった。

　映画が終わった後、二人は駅前のカフェに立ち寄った。窓の外では、夕焼けが空を鮮やかに染めている。由季は、一真と向かい合い、彼との将来について語り始めた。

　「ねぇ、一真。将来、二人だけで暮らし始めたら、毎日こんな風に、一緒に映画を観たり、カフェでお茶をしたりしてくれる？」

　由季が、少し恥ずかしそうに、しかし真剣な眼差しで尋ねた。一真は、由季の言葉に、一瞬、戸惑いを覚えた。彼女の言葉は、クリスマスに彼が語った「三人で生涯ずっと」という誓いと、わずかに、しかし確実に矛盾しているように感じられたからだ。由季の真剣な眼差しは、家族としてではなく、恋人として、自分と二人だけの未来を真剣に求めていることを示していた。それは、由季の心の中に、家族としての愛情とはまた別の、一人の女性として一真を独占したいという深い想いがあることを物語っていた。

　一真は、由季の手をそっと握りしめた。彼女の指先から伝わる微かな震えが、由季の不安と、この言葉に込めた大きな決意を伝えてくる。一真は、彼女の心の動きを理解しようと、深く、由季の瞳を覗き込んだ。

　「ああ、もちろんだよ。由季が望むなら、毎日でも」

　一真の言葉は、ただの返答ではなかった。それは、由季の独占欲を受け入れ、家族としての絆を守りながらも、由季という一人の女性を心から愛する決意の表れだった。彼は、由季が抱える複雑な感情をすべて受け止め、彼女が望む温かい未来を、二人で築いていこうと誓った。由季は、一真の言葉に、嬉しそうに、そして安堵したように微笑んだ。二人の間に、温かく、しかし、より深い意味を持った空気が流れていく。窓の外の夕焼けは、二人の心を映すかのように、温かく、そして美しく輝いていた。

### **第13話：雄宇の独占と、観覧車での熱情**

　学年末テストが終わり、重く張り詰めていた空気がようやく和らいだ週末。由季との静かで思慮深いデートを終えた一真は、雄宇と二人きりで、街の喧騒から少し離れた郊外の遊園地へと出かけた。由季が選んだ控えめなニットのワンピースとは異なり、雄宇はバスケットボールの練習着を連想させる、スポーティで鮮やかな色のパーカーに、動きやすいショートパンツを合わせていた。風に軽やかに揺れるボーイッシュなショートヘアと、活発な光を宿した瞳が、遊園地の賑やかさに溶け込んでいる。彼女の体からは、まるで今にも走り出しそうな、弾けるようなエネルギーが満ちていた。

　「ねぇ、一真くん。早く行こうよ！　あのジェットコースター、絶対に乗ろうね！」

　ゲートをくぐると、雄宇は一真の手を引いて駆け出した。由季とは違う、遠慮のない、少しだけ子供っぽい無邪気さが、一真の心を強く惹きつける。一真は、由季とはまた違う、雄宇との時間を心から楽しんでいた。彼女との時間は、まるでバスケットボールのコートにいるかのように、常に動きと熱気に満ちている。

　二人は、雄宇が乗りたがっていたジェットコースターや、絶叫マシン、メリーゴーランドなど、様々なアトラクションを楽しんだ。ジェットコースターの急降下では、雄宇は恐怖と興奮が入り混じった表情で一真の腕に強くしがみついた。その度に、一真の耳元で「由季もきっと怖がるだろうな」と、由季を意識した発言を繰り返した。それは、由季の隣でしか見せない自分の姿を一真に見てほしいという、雄宇の独占欲の表れだった。一真は、雄宇の行動に戸惑いながらも、彼女の無邪気な笑顔に心を温めた。

　昼食は、遊園地内のレストランで、雄宇が以前から食べたがっていたハンバーガーを食べた。雄宇は、ハンバーガーを一口食べると、目を丸くして言った。

　「うん！　美味しい！　一真くんも食べてみて！　由季が作った料理も美味しいけど、私のハンバーガーも負けてないでしょ？」

　雄宇は、由季への対抗心を隠さずに、自分のハンバーガーを一口、一真に差し出した。一真は、雄宇の行動に少し照れくさそうにしながらも、ハンバーガーを一口食べた。

　「美味しいな。雄宇が美味しいって言ってくれると、俺も嬉しいよ」

　一真の言葉に、雄宇は嬉しそうに微笑んだ。

　夕方になり、二人は観覧車に乗ることにした。観覧車は、ゆっくりと上昇し、夕焼けに染まる遊園地の景色が一望できた。雄宇は、窓の外の景色を眺めながら、静かに一真に語り始めた。

　「ねぇ、一真くん。将来、私と由季と一真くんの三人で、ここにまた来れるかな？」

　雄宇が、少し寂しそうに尋ねた。一真は、雄宇の言葉に、由季と雄宇と三人でいることの幸せを願った自分の言葉を思い出した。雄宇の真剣な眼差しは、家族として、そして恋人として、自分と由季と雄宇の三人での未来を真剣に求めていることを示していた。それは、雄宇の心の中に、由季への対抗心と、家族としての愛情が混在していることを物語っていた。

　「ああ、もちろんだよ。由季も、雄宇も、みんなでまた来よう」

　一真は、雄宇の手を優しく握りしめ、彼女の不安を拭うように言った。雄宇は、一真の言葉に、安堵の表情を浮かべ、彼の胸に顔を埋めた。

　「一真くん……私、今、すごく幸せ」

　雄宇が、一真の胸に顔を埋め、囁く。

　「俺もだよ。雄宇、愛してる」

　一真の言葉に、雄宇は、さらに深く、彼の胸に顔を埋めた。窓の外では、夕焼けが空を鮮やかに染めていた。二人の愛を祝福するように、静かに、そして美しく。

### **第14話：テスト報告会**

　学年末テストが終わり、ホッと一息ついた週末の午後。一真の家では、由季と雄宇、そして一真、佳代子の四人でのテスト報告会が開かれていた。テーブルの上には、一真が愛情を込めて作った手作りのパスタが並んでいる。パスタソースの香りが、リビング全体に広がり、和やかな雰囲気を醸し出していた。

　「すごい、一真くん。これも全部手作りなの？」

　佳代子が目を丸くして尋ねた。彼女は、由季と雄宇の母親であり、一真にとっては再婚相手となる。

　「ああ、みんなが喜んでくれるかなと思って」

　一真は照れくさそうに頭をかいた。

　「うん、美味しい！　由季が作ったパスタも美味しいけど、一真くんのパスタも最高！」

　雄宇が満面の笑みで言った。その言葉に、由季は静かに微笑む。

　「一真、ありがとう。とても美味しいわ」

　由季もまた、一真の優しさに心を温め、彼との絆が、さらに強いものになっていくのを実感した。

　パスタを食べながら、佳代子は由季と雄宇に、テストの結果について尋ねた。

　「由季、雄宇、テストはどうだった？　一真くんが教えてくれたから、きっと良い点数だったんでしょう？」

　佳代子が尋ねると、由季と雄宇は、一真の指導のおかげで、良い点数を取れたと答えた。

　「一真くんのおかげよ。ありがとう」

　佳代子は、一真に感謝の言葉を伝えた。一真は、佳代子の言葉に、由季と雄宇との関係が、家族公認のものになっていくことに安堵と幸福を感じた。

　「みんな、俺にとって大切な存在だ。みんな俺が守るから、安心して」

　一真が言うと、由季は、一真の言葉に安堵の表情を浮かべ、雄宇は、一真の優しさに心を温めた。

　テスト報告会が終わり、由季と雄宇、そして佳代子は、それぞれ自分の部屋に戻っていった。一真は、一人になった部屋で、由季と雄宇、二人の愛を、それぞれの愛し方で受け止めることを決意する。

　「由季も、雄宇も、頑張ってるんだな」

　一真は、二人の背中を見つめながら、静かに呟いた。窓の外では、テストを終えた安堵感に満ちた静かな夜が深まっていた。

### **第15話：詩織との個別デート**

　学年末テストが終わり、テスト報告会も無事に終えた午後。由季や雄宇とのデートとは違い、少し緊張した面持ちで、一真は御影詩織と二人きりで図書館に向かっていた。詩織は、女子バスケットボール部ではポイントガードを務め、中学時代から一真と同じバスケ部に所属していたものの、当時はほとんど接点がなかった。彼女の身長は165cmで、引き締まった体型が特徴だ。知的で落ち着いた印象の瞳を持つ彼女は、感情を表に出すのが苦手なため、クールな印象を与えがちだった。しかし、文化祭の準備を通して距離を縮め、一真に興味を抱くようになっていた。

　図書館の静けさの中、二人は向かい合って座り、それぞれ参考書を広げた。詩織は、由季のように完璧主義なわけではないが、一度決めたことは最後までやり遂げる責任感の強い性格だ。彼女は、一真にわからない問題を尋ね、一真は、詩織の真剣な眼差しに、胸が高鳴るのを感じていた。

　「柊くん、この問題、どう解くの？」

　詩織が、難しい数学の問題を指差して尋ねた。一真は、詩織の隣に座り、優しく問題を解説する。詩織は、一真の真剣な眼差しに、胸が高鳴るのを感じていた。一真の優しさと、彼の頭の良さは、詩織の心を掴んで離さない。

　休憩時間、二人は図書館のカフェスペースで、お茶を飲みながら語り合った。由季や雄宇、柚希、結季との賑やかな会話とは違い、詩織との会話は、静かで、しかし確かな温かさが満ちていた。

　「ねぇ、柊くん。バスケ、楽しい？」

　詩織が、静かに尋ねた。

　「ああ、楽しいよ。みんなとバスケするのが、俺は大好きだから」

　一真は、由季や雄宇、柚希、結季、そして詩織、みんなとバスケをすることの楽しさを語った。詩織は、一真の言葉に、嬉しそうに微笑んだ。

　「そうだね。私も、みんなとバスケするのが、すごく楽しい」

　詩織は、一真との会話を通して、彼の優しさに触れ、彼に心を開いていく。

　「柊くん、私、柊くんの優しさが、すごく好きだよ」

　詩織が、少し恥ずかしそうに言った。一真は、詩織の言葉に、胸が熱くなるのを感じていた。一真は、詩織の心に寄り添い、彼女との関係を深めたいと強く思った。

　「詩織、ありがとう。俺も、詩織と一緒にいられて、すごく楽しい」

　一真の言葉に、詩織は嬉しそうに微笑んだ。二人の間に、温かい空気が流れていく。窓の外では、夕焼けが空を鮮やかに染めていた。二人の心を祝福するように、静かに、そして美しく。

### **第16話：合同遠征**

　春休みに入り、男子バスケ部と女子バスケ部は、隣県の強豪校との合同練習試合に出かけるため、大型バスに乗り込んだ。バスは、窓の外を流れる春の景色を映しながら、二時間ほどで目的地の体育館に到着した。体育館の天井は高く、窓からは柔らかな春の光が差し込んでいる。床はピカピカに磨き上げられ、新学期を前にした、どこか張り詰めた空気が漂っていた。バッシュのゴム底が床を擦る甲高い音や、ボールが床を叩く鈍い音が、静かな体育館に響き渡る。

　合同遠征は、冬の練習で培った成果を試す絶好の機会だ。男子バスケ部は、一年生チームと二年生チームで紅白戦を行い、その勝者が強豪校と対戦することになっていた。男子一年生チームは、一真を中心に健太、拓海、大樹、良平という布陣で、二年生チームのキャプテン・優介率いるチームに挑む。

　試合開始のホイッスルが鳴り響く。序盤から一年生チームは、一真の力強いポストプレイとリバウンドを起点に、優介率いる二年生チームと互角の勝負を展開した。一真は、相手のセンター・隆に負けじと体をぶつけ、リング下で強靭な肉体を躍動させる。しかし、冬の練習でスタミナ強化に取り組んできたにもかかわらず、試合後半には、彼の重戦車を思わせるがっしりとした体格も、動きが鈍くなっていた。

　「健太、そこ空いてるぞ！」

　「大樹、シュート！」

　一真は、肩で息をしながらも、チームメイトに声をかけ続けた。彼の声に呼応し、健太が素早いドリブルで相手ディフェンスを翻弄し、拓海が鋭いドライブからジャンプシュートを決める。前半は互角の攻防が続いた。

　しかし、後半に入ると、二年生チームの連携が徐々に精度を増していく。キャプテン優介の的確な指示のもと、翔太と隼人が巧みにポジションチェンジを繰り返すことで、一年生チームのディフェンスは混乱に陥った。

　「健太、戻りが遅いぞ！　拓海、パスのコースを切れ！」

　コーチの怒号が響く。一真も必死にリバウンドを拾うが、二年生チームの速攻に追いつくことができない。

　「くそ……！」

　一真は、肩で息をしながらも、最後のホイッスルが鳴る直前、相手のシュートをブロックし、そのままリバウンドを奪って自陣へ駆け戻る。試合は終盤までもつれ込み、最後の笛が鳴った時、辛くも一年生チームが勝利を収めた。

　「よしっ！」

　勝利を喜ぶ声が体育館に響き渡る。一真は、床にへたり込み、肩で息をしながらも、充実感に満ちた笑顔を浮かべた。しかし、コーチの表情は険しいままだった。

　「スタミナが課題だな。このままでは、試合後半に失速するぞ。一真、お前もだ」

　コーチの言葉に、一真は真剣な表情で頷いた。自身のスタミナ不足を痛感し、夏の大会に向けて、さらなる強化を誓った。

　一方、女子チームの試合は、男子チームとは対照的な結果に終わった。由季、雄宇、柚希、詩織、結季の一年生チームは、経験に勝る二年生チームに序盤から苦戦を強いられた。二年生チームのキャプテン・美香の強固なディフェンスと、ポイントガード・沙織の正確なパス回しに、一年生チームは翻弄される。

　由季は持ち前の冷静な判断力と、鍛え抜かれた肉体で奮闘する。巧みなフェイントで相手をかわし、力強いドライブでゴール下へ切り込む。だが、周囲との連携がうまく機能せず、由季が孤立する場面が目立った。

　「東雲、こっち！」

　詩織が声をかけ、フリーになった柚希へパスを出す。ボールは柚希の胸元へ向かってまっすぐに飛んでいく。しかし、その瞬間、柚希の視線はコートの端へと向けられていた。彼女の心は、バスケではなく、一真との関係に囚われていた。思考の波に溺れ、一瞬、集中が途切れる。ボールが手に触れた瞬間、指先から力が抜け、鈍い音を立てて床に落ちた。その隙を逃さず、相手の選手が素早くボールを奪い、そのままゴール下へ走り去る。

　「柚希！　しっかり！」

　雄宇の苛立った声が飛ぶ。由季は慌てて戻り、相手のシュートをなんとかブロックしたが、チームの連携は完全に崩れてしまっていた。

　その後も、柚希のプレイは精彩を欠いた。ドリブル中にボールを奪われ、シュートはことごとくリングに嫌われる。彼女の足は重く、視線は定まらない。

　雄宇は苛立ちを隠せない。「由季、どうにかしてよ！　柚希、全然ダメじゃん！」由季は、柚希の様子を心配そうに見つめながらも、雄宇の負担が増えていくことに焦りを感じていた。

　詩織も、ポイントガードとしてチームを立て直そうとするが、不調の柚希にパスを出すことを躊躇してしまう。その葛藤が、さらにチーム全体の動きを鈍らせていた。

　結季は、そんな柚希の不調を、コートの外から、複雑な表情で見つめていた。柚希を案じる気持ちと、それ以上に、彼女の心を支配していることへの微かな喜びが混ざり合っているようにも見えた。

　ついに、コーチがタイムアウトを要求した。

　「東雲！　お前、どうしたんだ？　集中できていないぞ！　そんなんで由季に勝てると思っているのか？」

　コーチの厳しい言葉に、柚希は顔を赤くして俯く。彼女の心は、バスケではなく、結季との関係に囚われていた。由季は、そんな柚希の様子を心配そうに見つめ、雄宇は悔しさに唇を噛み締めていた。

　結局、女子一年生チームは完敗を喫した。由季と雄宇、そして柚希、詩織、結季は、夏の大会に向けて、チームとしての課題を共有し、決意を新たにした。

　練習試合が終わり、バスに乗り込んだ一行は、帰路についた。バスの中では、疲れ果てた選手たちが、静かに眠りについている。一真は、窓の外を眺めながら、由季と雄宇、そして柚希、詩織、結季の顔を思い浮かべた。彼らの絆は、バスケットボールを通して、さらに強いものになっていくことを予感させる。

### **第17話：結季との個別デート**

　学年末テストが終わり、合同遠征から帰ってきた週末。一真は東雲結季と二人きりのデートに出かけた。結季は、由季と雄宇の双子の従姉妹であり、彼女たちの人間関係を客観的に観察する役割を担っている。彼女の身長は175cmで、由季と雄宇によく似た均整の取れた体型をしている。鎖骨までのミドルヘアを少しだけ内巻きにしており、瞳は少し伏し目がちで、控えめな印象を与える。しかし、その内には男女両方に対する性的な興味を秘めているバイセクシャルな一面があった。

　「一真くん、今日はありがとう。私、映画を観に行くの、久しぶりなんだ」

　映画館のロビーで、結季が微笑みながら言った。一真は、結季の笑顔に心を温める。彼女は、由季や雄宇、そして柚希とは違う、落ち着いた雰囲気を持っていた。

　二人は、静かな映画を観ることにした。映画が始まり、暗闇の中で、二人の手はそっと触れ合った。結季は、一真の手の温かさに、胸が高鳴るのを感じていた。一真は、結季の小さな手を優しく包み込み、彼女の指をそっと絡める。結季は、一真の優しさに心を温め、彼との絆が、さらに強いものになっていくのを実感した。

　映画が終わった後、二人は駅前のカフェに立ち寄った。窓の外では、夕焼けが空を鮮やかに染めている。結季は、一真と向かい合い、彼との将来について語り始めた。

　「ねぇ、一真くん。将来、どうしたい？」

　結季が、静かに尋ねた。一真は、結季の真剣な眼差しに、一瞬、戸惑いを覚えた。結季の言葉は、由季や雄宇とは違う、もっと深い意味を持っているように感じられたからだ。

　「どうしたいって？」

　一真が尋ねると、結季は、少し恥ずかしそうに、しかし真剣な眼差しで、一真に語り始めた。

　「私、由季と雄宇、二人の再会をずっと願ってたの。二人が、一真くんを介して、また一つになれたこと、すごく嬉しい。だけど、それと同時に、私、一真くんと、もっと、深い関係になりたいって思うようになっちゃったんだ」

　結季の言葉に、一真は驚きを隠せない。結季は、由季や雄宇とは違う、一真との将来を真剣に考えていたのだ。

　「結季……」

　一真は、結季の言葉に、どう答えていいかわからなかった。結季は、由季や雄宇とは違う、一真との絆を求めていた。一真は、結季との関係を、より深く真剣なものにしたいと考える。

　「一真くん、私、一真くんのことが、好きだよ」

　結季が、少し照れくさそうに言った。一真は、結季の言葉に、胸が熱くなるのを感じていた。

　「結季、ありがとう。俺も、結季と一緒にいられて、すごく楽しい」

　一真の言葉に、結季は嬉しそうに微笑んだ。二人の間に、温かい空気が流れていく。窓の外の夕焼けは、二人の心を映すかのように、温かく、そして美しく輝いていた。

### **第18話：柚希との個別デート**

　学年末テストも終わり、春の兆しが感じられる休日。一真は、幼馴染である東雲柚希と二人きりの時間を過ごすために街へ出かけた。由季や雄宇と過ごす賑やかなデートとは違い、少し落ち着いた、しかし特別な時間になるだろうと、一真は密かに楽しみにしていた。柚希は、一真の目の前に立つと、美術館の静謐な雰囲気に合わせたかのような、落ち着いた色合いのコートを身につけていた。彼女の身長は170cmで、中学時代から変わらない肉感的な体つきと、Dカップの豊満なバストラインが、彼女が大人へと成長していることを物語っていた。

　「一真、今日はありがとう。私、美術館に行くの、久しぶりなんだ」

　美術館のロビーで、柚希が微笑みながら言った。彼女の髪は、風に軽やかに揺れるボーイッシュなショートヘアで、活発で少し生意気な光を宿した瞳が、一真をまっすぐに見つめている。一真は、柚希の笑顔に心を温める。彼女は、由季や雄宇とは違う、情熱的で、少しだけ荒い雰囲気を持っていた。

　二人は、静かな美術館を歩き回った。抽象画の前で立ち止まり、互いの感想を語り合う。柚希は、一真の隣を歩きながら、彼の腕に自分の頭を預ける。一真は、柚希の髪の匂いを深く吸い込み、彼女の体温を感じることで、安らぎを得た。

　「ねぇ、一真。由季のこと、どう思ってるの？」

　柚希は、由季への対抗心を隠さずに尋ねた。一真は、由季の真面目さや優しさ、そして彼女が抱える秘密について語る。

　「由季のことも、雄宇のことも、もちろん柚希のことも、みんな大切だよ。みんな俺にとって、特別な存在なんだ」

　一真の言葉に、柚希は少し不満そうな表情を浮かべた。しかし、彼女は一真の優しさを知っており、彼の正直な気持ちを尊重した。

　美術館でのデートを終え、二人は駅前の喫茶店に立ち寄った。窓の外では、夕焼けが空を鮮やかに染めている。柚希は、一真と向かい合い、彼との将来について語り始めた。

　「ねぇ、一真。私、一真との関係を、由季や雄宇とは違う、もっと特別なものにしたいの」

　柚希が、少し恥ずかしそうに、しかし真剣な眼差しで、一真に語り始めた。一真は、柚希の言葉に、一瞬、戸惑いを覚えた。柚希の言葉は、由季や雄宇とは違う、もっと深い意味を持っているように感じられたからだ。

　「柚希……」

　一真は、柚希の言葉に、どう答えていいかわからなかった。柚希は、由季や雄宇とは違う、一真との絆を求めていた。一真は、柚希との関係を、より深く真剣なものにしたいと考える。

　「一真、私、一真のことが、好きだよ」

　柚希が、少し照れくさそうに言った。一真は、柚希の言葉に、胸が熱くなるのを感じていた。

　「柚希、ありがとう。俺も、柚希と一緒にいられて、すごく楽しい」

　一真の言葉に、柚希は嬉しそうに微笑んだ。二人の間に、温かい空気が流れていく。窓の外の夕焼けは、二人の心を映すかのように、温かく、そして美しく輝いていた。

### **第19話：ホワイトデーの女子会**

　合同遠征から帰ってきた週末、ホワイトデー直前ということもあり、一真の家では賑やかな女子会が開かれていた。リビングには由季、雄宇、柚希、詩織、結季の5人が集まり、賑やかな声が響いている。窓からは柔らかな春の日差しが差し込み、部屋全体を温かく照らしていた。一真は、彼女たちからバレンタインデーにもらったチョコレートのお返しとして、愛情を込めて作った手作りのチョコレートケーキをふるまう。焼きあがったばかりのケーキは、甘く香ばしい匂いをリビング全体に広げ、彼女たちの心を躍らせた。

　「すごい、一真くん。これも全部手作り？」

　詩織が目を丸くして尋ねた。彼女は、由季や雄宇たちと話す時には少し控えめだが、一真と二人きりでいる時よりも、その表情は明るい。

　「ああ。みんなが喜んでくれるかなと思って」

　一真は照れくさそうに頭をかいた。

　「うん、美味しい！　由季のチョコも美味しかったけど、一真くんのケーキも最高！」

　雄宇が満面の笑みで言った。その言葉に、由季は静かに微笑み、柚希は少し不満そうな顔で雄宇を睨みつける。

　ケーキを食べながら、彼女たちはそれぞれの恋愛観について語り合った。

　まず口火を切ったのは、由季だった。

　「私は、一真との絆が一番大切。家族として、恋人として、ずっと一緒にいられるなら、それだけで幸せ」

　由季は、一真の隣に座り、彼の腕に自分の頭を預ける。その姿は、由季が心の底から一真を信頼し、彼との関係に安らぎを見出していることを物語っていた。

　続いて、雄宇が由季に負けじと、元気いっぱいに語り始めた。

　「私は、一真くんを独り占めしたい！　由季に負けたくないし、一真くんが一番好きなのは私だって思ってほしい」

　雄宇の言葉に、由季は少し困ったように微笑み、柚希は「私だって負けないわよ」と呟いた。雄宇の真っ直ぐな感情は、一真の心を強く惹きつける。

　次に語ったのは、柚希だった。

　「私は、一真と、由季や雄宇とは違う、特別な関係を築きたい。幼馴染だからこそ、由季には負けたくない」

　柚希は、一真の隣に座り、彼の腕に自分の頭を預ける。その姿は、柚希が一真をめぐる複雑な感情を抱いていることを物語っていた。

　次に語ったのは、詩織だった。

　「私は、みんなの恋愛を見ていて、ちょっと複雑な気持ち。でも、私は、柊くんの優しさが、すごく好きだよ」

　詩織は、由季や雄宇、柚希、結季とは違う、冷静な視点で一真のことを見つめている。彼女の言葉に、一真は、詩織との関係を、より深く真剣なものにしたいと考える。

　最後に語ったのは、結季だった。

　「私は、由季と雄宇、そして一真くんの関係を客観的に見ているうちに、一真くんの優しさに惹かれていった。私、一真くんと、もっと、深い関係になりたい」

　結季の言葉に、一真は驚きを隠せない。結季は、由季や雄宇とは違う、一真との将来を真剣に考えていたのだ。

　一真は、彼女たちの恋愛観を聞き、それぞれの想いの深さを改めて知る。由季と雄宇が、姉妹として、そして一真をめぐる恋敵として、複雑な感情を抱いていること。柚希が、一真への想いを諦めきれていないこと。詩織が、一真に心を開き始めていること。結季が、そんな彼女たちの関係を客観的に観察していること。

　女子会が終わり、一真は由季と雄宇、そして柚希、詩織、結季の5人を玄関まで見送った。彼女たちの背中が遠ざかっていくのを見つめながら、一真は、5人との関係が、これからさらに複雑に、そして深く、絡み合っていくことを予感していた。

### **第20話：ホワイトデー**

　三月十四日、ホワイトデー当日。リビングには由季と雄宇が向かい合って座っていた。窓から差し込む春の光が、二人の横顔を優しく照らしている。由季は落ち着いた表情で、しかしどこか緊張した面持ちで一真を見つめている。一方、雄宇は、そわそわと落ち着かない様子で、はにかんだ笑顔を見せていた。一真は、テーブルの上に置かれた小さな箱を差し出した。白いリボンで飾られた箱の中には、由季と雄宇、二人分のお揃いのファッションリングが入っていた。

　「由季、雄宇。これは、俺からのホワイトデーのお返しだ」

　一真は、由季と雄宇に、それぞれ指輪を差し出した。由季と雄宇は、一真から贈られた指輪を、嬉しそうに受け取った。

　「ありがとう、一真」

　由季が、一真に微笑みかけた。

　「ありがとう、一真くん」

　雄宇が、一真に満面の笑みを見せた。

　一真は、由季と雄宇の左手の薬指に、それぞれ指輪をはめる。由季と雄宇は、一真から贈られた指輪を身につけることで、彼との絆がさらに強いものになったことを実感した。

　「由季、雄宇。俺と、ずっと一緒にいてくれないか」

　一真が真剣な眼差しで言った。由季と雄宇は、一真の言葉に、涙を流しながら頷いた。

　一真と由季、そして雄宇は、3つの指輪を身につけることで、彼らの絆が、さらに強いものになったことを実感した。

　一真は、由季と雄宇を優しく抱きしめ、二人の愛を、それぞれの愛し方で受け止めることを決意した。