本格UMA小説群
弍乃盆
*奇妙なイルカ
カナダ人の留学生から聞いた話。彼の故郷はカナダの太平洋側に位置しネイティブアメリカンの文化も色濃く残る小さな港町だったと言います。住民のほとんどは何かしら漁業に携わり、ネイティブアメリカンアートやカヌーなどの木工品でも有名な街でした。彼は地元の友人とよく釣りに出かけていたそうです。古くは捕鯨で栄えた海域だったので、釣りの最中(小さなカヌーで)ザトウクジラやイルカなどの海生哺乳類に出くわすことは珍しくありませんでした。
毛の生えたイルカは地元の漁師の間ではよく知られていて、それが現れるとぱったりと釣れなくなるのでその日は漁をやめるのだそうです。彼らも何度かその毛の生えたイルカに遭遇し間近で観察することができたと言います。既知のイルカより吻が長く、赤褐色の硬そうな毛に胸鰭の先まで被われていたのだそうです。数頭の群れに囲まれたこともあったと言います。地域によりその呼び名は“毛深いやつ” “ドッグ”などと呼ばれていました。
「とにかくそいつが出ると一匹も釣れなくなるんだ」
彼はコーヒーを飲みほし笑いながらそう言うのでした。
既知の生物で毛の生えたイルカを私は知らない。
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