『声が紡ぐ、短編ドラマ集』
小乃 夜
『雨音と、君の寝息と、私』
登場人物:
* 優(ゆう): あなたの幼なじみ。
* あなた: 本作の主人公(セリフなし)。
(静かな雨音。遠くで、ゴロゴロと微かに雷鳴が聞こえる)
(バタバタと、慌てた足音。やがて、優の息遣いが近くに。)
優: (はぁ…はぁ…、と息を切らしながら)セーフ!滑り込みセーフ!…ふふ、ねぇ、今、私、すごい顔してるでしょ?
(タオルの匂いを嗅ぐ音。クンクンと、可愛らしい鼻息。)
優: …あれ?このタオル…私のシャンプーの匂いがする?…ねぇ、なんで持ってたの?もしかして、私の匂いが恋しかったとか?…ふふ、なーんてね!…でも、ちょっと嬉しかったりして。
(布が擦れる音。カサカサと、着替えているような音。)
優: ふぅ…。あったか〜い。…ねぇ、ココアとか飲みたいなぁ…。あ、ダメ?…ううん、冗談!私が作ってあげるんだもん!…って、え?作ってくれるの?やった!さすがだね。
(ソファーに座る音。クッションが、ふわりと沈む音。)
優: …それにしても、雨、全然止まないね。なんだか、寂しい音。…ねぇ、あなたは、この音、好き?…ふふ、そっか。私も好きだよ。…うん、今だけね。だって、二人きりで、こうして静かにいられるから。
(かすかな息遣い。優があなたに身を寄せる。服が擦れる音。優の心臓のドキドキが、かすかに聞こえる。)
優: (耳元で、さらに小さな声で)…ねぇ、もう少し近くにいてもいい?…ね、いいでしょ?
(ゴロゴロ…と、急に大きな雷鳴が鳴る)
優: …ひゃっ!…ご、ごめん、ごめん!私、雷、苦手で…。
(優があなたに抱きつく音。優の心臓のドキドキという鼓動音が、耳元で響く。)
優: …ふふ、(心臓の音を聞くように、耳を当てたまま)…ねぇ、あなたの心臓、ドキドキしてるね。私のせい?
(布が擦れる音。優が少しだけ離れる。)
優: …え、違うの?…ふふ、嘘つき。…でも、大丈夫。もう少しだけ、このままで。
(雷が遠ざかり、遠くで雨が降る音だけに戻る。静けさが戻る。)
優: …んん…もう、眠くなっちゃった…。(かすかに息を吸い込む音)…ね、私、このまま…ずっと、あなたの隣で、こうしてたいな。
(静かな雨音と、優の寝息が心地よく響く。)
優: (寝言のように、非常に小さな声で)…ねぇ…好き…。
(雨音と、優の寝息が続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます