正義の手記
神童要
プロローグ
その部屋には黒髪の青年と水色の綺麗な少女二人が会話をしていた。
「遼さん。それはなに?」
「……これか」
時雨 遼は、目の前の少女が指差した一冊の本に視線を落とした。
それは、彼の人生の記録――「正義の手記」だった。
「俺の後輩が、俺の部屋から見つけてきたものだ。俺がどんな任務をしたか、戦況の分析、そしてお前に出会う前のことが書かれている。俺が後輩のために残そうとした手記みたいなものだ。後輩が正義の手記って名前を付けたんだ」
大人びたその少女は、かわいらしく微笑んだ。
「その後輩さんもあなたについてきたんですね」
遼は何も答えなかった。ただ、静かに本のページをめくる。
そこに記されているのは、彼が正義を信じ、自ら武器を手に取った、遠い過去の出来事だった。
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