母と娘が同じ男を愛した夏の記憶

凪野 ゆう

プロローグ 昼下がりの背徳

昼間だというのに、居間のカーテンは重く閉じられていた。


わずかな隙間から差し込む光さえ、熱を孕んだ吐息にかき消されていく。

ソファの上、私は翔太の体に押し伏せられていた。


かつて娘と同じ制服で笑っていた少年が──今はもう十八を過ぎた立派な大人。

逞しく成長した腕と胸板に押さえつけられ、逃げ場のない快感に縛られていく。


「……あぁ、ダメ……もっと、欲しい……」

夫の前では決して口にできなかった言葉が、勝手にこぼれてしまう。

羞恥を知りながらも、求めずにはいられなかった。


翔太の荒い息遣いと若さゆえの激しさが、奥の奥まで突き上げてくる。

痛みと快楽の境目が曖昧になり、頭の中が白くかき消される。

理性の声は遠のき、ただ熱に身を委ねるしかなかった。


「もっと……そこ……強く……!」

自分から腰を揺らし、彼を導いてしまう。


夫のものでは満たされなかった場所が、いま若い衝動に貫かれている。

声を抑えるほど、熱は高まり、身体はますます彼を欲していく。


──娘の元同級生を、自ら抱きしめ、貪っている。

その背徳の事実こそが、私をさらに狂わせていた。

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