第2話 修道士マイ
「ふぅ、やっぱりすこぶる調子が良いな」
ここは街から東に少し離れた森の浅部だ。
「お、ついてるぅ♪」
何から話すべきか困るが、思いつく順に説明しよう。
まず、この森全体が開放型の
あー、
魔物は
さらに生物の命を奪うということは、それが蓄えていた
それを如実に物語るのが
つまり、魔物は
「次は
それなりに素早い魔物だが、
基本的に魔物同士連携して戦うことはないので偶々挟撃されないよう位置取りに注意すれば個別に撃破することは容易い。今の状況はたまたま居合わせただけということだろう。
特殊個体でないことを確かめるため、魔物の
名前:角兎
階位:14
等級:3
名前:蛮鼠
階位:13
等級:3
魔物同士で戦わないのは何故か、については次のように考えられている。
魔物は
魔物は突如
これは幼生体が確認されていないことからも妥当だとされている。
よって各個体には親子とか仲間みたいな関係性はないので、戦闘方法は本能的に刷り込まれているものである。
その行動原理は
僕たち、人間はさっきも言ったように
よって、異物ではない魔物同士で争いはしないが、戦術的に共闘する知性もない。
大きな矛盾もなく間違っているとは思わないが、個人的には何となくすっきりしない思いを抱えている。何か引っかかっているんだよなぁ。
だが今は目の前の
「ちょっと槍も鍛えるか。」
ちょこまかと動き回るのを難なく薙いで捌き、怯んだところで連撃の発動を念じる。すると、自分の意図した通り、もしくはそれ以上に滑らかに体が動き出し、
一瞬の後、光に包まれ魔石が落ちたので、
また説明が必要ですよね。
装備一式はもちろん余程の大物じゃなければ一日の狩りの成果が普通に収まるし、日用品や食材、料理もそれなりの量を入れているので1ヶ月ぐらい遭難しても生き延びられる備えがある。
ただ、この時の僕は
連撃はその練度に応じて攻撃回数を追加補助してくれる
どんな状況でも連撃を使用すれば攻撃が当たるわけではなく、逆に
他の
「はっけ~~んっ」
声のした方を振り返ると二人組の探索者がいた。
多分、声を出した方の黒髪ショートヘア、琥珀の瞳で吊り目の活発そうな
もう一人の茶髪ポニーテールで剣装備の女性が膝に手をついて息を切らしていることからそれなりの距離を走って来たのだろう。
「ちょ…走りすぎだよぉ…。」
「だって、探知で引っかかったんだもん…しょうがないじゃないか。」
「しょうがなくないっ、普段は獲物を発見したらこっそり近づいてるでしょうがっ。」
どうやら探知の
「絶対に逃がしたくない感じだったし…、この機会逃したら後悔しそうだったし…。」
「なら、尚更気付かれないよう注意するのが正解だと思うんですけどぉ。」
じっとり睨まれてたじろぐ
「しかも、魔物じゃなくてどう見ても人間なんですけどぉ。」
と、僕の方を剣で指し示しながら更に睨む剣士。
「君ぃ、魔物じゃないよねぇ。」
剣士が僕の方に向き直り問いかけてくる。
「あぁ、見ての通り人間だ。」
人そっくりの魔物が発見されたことはないが、万が一にも攻撃されては堪らないので応答する。
そう言えば、この森には出ないはずだが、人間に擬態する魔物がいることはいる。ただし、姿は映しとれるが、発声はおろか意志の疎通はできっこない。なので僕の声を聴いて、二人とも近づいてくる。
「私は剣士のエミだ。……こっちは
「よろしく、僕は戦士のカナタだ。」
「…どうした?マイ?さっきまでの元気はどうした?」
俯きがちに潤んだ瞳を僕の方に向けてくるマイ。
まさか、ね。
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