No.2 第8話の感想

 続きです。


>第8話 自律多脚戦車、発進!


 例のクモ型ロボットが動くのでしょうか?

 どう動くのか期待です!



> ブチ切れたアリソンが倉庫と倉庫の間を馳せる。積み上げられたコンテナが行く手を阻めばステップを踏むようにリズムよく駆けあがり、フォークリフトが眼前を塞げば軽く手を添えて身を翻して飛び越える。

> ポニーテールに束ねた銀髪が尻尾のように右に左に上に下に、勢いよく跳ねる。


 軽快に相手へ迫るシーン。

 止まっているコンテナやフォークリフトを「動く」よう、アリソン視点で描いているのが良いですね!

 読んでいる側がアリソンの視界を共有できます。



> 遠巻きにして警告してきた一群は、まだ十分距離があると考えていたところ、あれよあれよと距離を詰めて迫りくる深紅のチャイナドレスの姿に呆気にとられ、あまりに素早い状況の変化に対して慌てて態勢を泥縄で整え始める。


 前もそうでしたけれど、相手方の対応が遅いというよりアリソンが速いんでしょうね。



> 中央で待ち構えるのはスパイダー・デストロイヤー。つまりアリソンたちが依頼で運んできたものと同型モデルの自律多脚戦車。

> 胴体前面の二列八個の眼らしきものは、上から下へ順々に発光しながら明滅を繰り返し、八本の脚は複雑な関節を器用に動かしてガシャンガシャンと不規則な足踏み。左右の30㎜ガトリング砲は獲物を探すかのように小刻みに動いていた。


 おっと、相手側にクモ型ロボットがいました!

 わざわざ出撃してきているというのは、こちら側に同型がいるのを知っているわけですね。 



>「こっちにも化け物、あっちにも化け物……どうしてこうなるんだよっ」


 アリソンにも化け物扱いなのですね、クモ型兵器。



> スピードを稼ぐため大股で駆けているアリソンは、チャイナドレスの裾からリズムよくハリのある太腿を覗かせながら駆け、飛び、跳ねる。

> スラム街では男を寄せる誘蛾灯のような蠱惑的なそれは、いまこの瞬間は決して止まらない奔流となってアリソンを運び続ける。足を止めればあっという間に蜂の巣になることは間違いない。


 アクション描写の視点が第三者ではなくアリソンにクローズアップしているところが秀逸ですよね。

 読者目線の誘導が良いです。



>「戦車の右に装甲兵員輸送車……左にあるのは、なんだよ、あんなものまで持ち出してきてるのかよ……」

> トップスピードで警告が聞こえた方へと走り抜けていくアリソンの碧眼に入ってきたのは、一つだけやたら背が高い自律多脚戦車の左右に展開する車両や兵士たち。

> 右には優に十人の兵士を乗せることができるだろう装甲トラックがあり、左には十六門多連装ロケットを装備した砲撃用に改造されたピックアップトラック。その車両たちの間を二十人近い兵士が展開しているのがわかる。その上には何機かのドローンも飛んでいるようだった。


 多連装ロケット砲弾まで出てきているなんて、過剰戦力にも思えます。

 が、輸送中の団体様を壊滅したわけですからそのくらいの武装もしそうです。



> パレットにバラ積みされた巨大な段ボールの山の間に一瞬映り込んだ光景からおおまかな相手の戦力を見極めたアリソンは、右手に迫ってきた倉庫に飛び込む。


 このアリソン視点も良いですね。駆け抜けたところにあった段ボールの隙間から見える一瞬で把握したわけです。

 身体能力に判断能力がついてきている証です。



>「見づらい、これ!」

> 人口筋肉の力を最大に引き出して走り続けたアリソンは、倉庫の暗がりに入って初めて、眼鏡にサングラスシートが貼付されたままだと気づいて苛々を募らせる。

> 視界を悪化させるそれを勢いよく剥がして丸めてポイっと捨てたが、まさか眼鏡をはずせと言われた原因がサングラスシートで実際に顔が見えないことにあったとは、知る由もない。


 走りながら外せるなんて器用ですね(笑

 なるほど、外せ発言はこれが原因。納得。

 そういえば隠れた二人は?




>    *

> アリソンが勢いよく飛び出ていく直前に、港寄りの倉庫の一角にシャオヘイとともに身を隠したジョージは、携帯端末を立ち上げると急いで認証コードを入力し始めていた。


 いました、隠れた二人。

 ジョージ。クモ型兵器を起動しようとしてます。

 気持ちはわからんでもないです、相手側にも同型がいるわけですし。



>「それ、止めておいた方がいいと思うなー、わたし」

> いまにもエンターコマンドを送ろうと緊張気味な表情を浮かべていたジョージを見て、シャオヘイは申し訳程度に止めさせようとする。

>「でもなぁ、お嬢さん。シャオヘイさんだったか。ここでアイツを壊されたり奪回されたりしたら、せっかくお嬢さんたちに報酬を払った意味がなくなっちまうだろ?」


 アリソンを知らないジョージからすれば、真っ当な判断なんですよね。

 それも加味してのシャオヘイの言葉。どうなるやら。



>「まあそれはそうなんだけどさ、同じことになっちゃうんじゃないかなー」

> ジョージの言うことも常識的に考えれば道理ではあったが、シャオヘイはそれを聞いてもなお反対した。

> 反対するだけの理由があるからではあったが、それをうまく説明する術をシャオヘイは持ち合わせていない。ただ漠然と「そうなるだろう」という直観を相手に伝えることは、聡いシャオヘイでも難しい問題だった。


 おっと、作者様が同じことを考えてました。

 シャオヘイも常識が異なる相手に、簡潔に説明はできないようで……。



>「それに、シュバ……なんだっけ? あの傭兵のお嬢さん、アリソンさんはたった一人じゃないか。少しでも助けが必要なんじゃないか?」

> いかにもそうだと一人合点して大きく頷いたジョージは、なおも何か言いたげなシャオヘイを横目に見つつ、えいっと勢いよくエンターコマンドを送った。


 ジョージ、男前!

 なんですが、どうしてか「単に動かしてみたかった」という動機が見えなくもないです(笑



> トレーラーのジェネラル・ロボティクスの大きなロゴの描かれたコンテナの中からブーンと重低音が響き、次いでギシギシという音とともにまるで紙を引き裂いていくが如く次々にコンテナから硬質な機械の脚が八本生え、程なくしてズーンとコンテナの上部が吹き飛んだ。

> スパイダー・デストロイヤーが起動し、突き破った脚に引っ掛かったコンテナの残骸を振り払うようにガタガタと小刻みに脚を動かす。キュルルルとガトリング砲が回転して動作確認も最終段階へ。

> そして屈伸でもするかのように胴体を落とした後、八本の脚を勢いよく伸ばして十メートルほどの高さに跳躍し、倉庫の屋根にドシンと着地した。


 クモ型兵器、起動。

 図体に似合わず軽快ですね。

 ドシン、どころが、ずごん、という音がしていそう。

 ああ、でも8本足と関節で衝撃を調整できそうです。



>「ところで、アリソンさんはなんであんなに怒ってたんだ?」

>「おじさんは運が良かったね。眼鏡のこと褒めたでしょ? あの眼鏡、アリスは命よりも大事にしてるの。あそこで『はずせ』とか『取れ』とか言ってたら、いまごろその太い首の上に頭は残ってなかったはず」

>「そんなに……大事……なのか?」

>「そんなに大事……なの」


 愕然とするジョージに、半分呆れ要素?も入ったシャオヘイ。

 シャオヘイでさえ「そんなに?」と思うくらいに共通認識っぽいですね。



> シャオヘイとジョージがアリソンの眼鏡についての価値認識を揃えている間に、スパイダー・デストロイヤーは標的を探し始めてドンドンと大きな多数の足音で林立する倉庫を震わせていたが、不意にその動きを止めた。

>「おじさん、認証コードを送る時に、おじさんたちの集団コードを味方に設定したでしょ?」

>「それはもちろん。アレはもう俺たちの物なんだし、俺たちを襲わないようにするのは当然じゃないか。ウォルター港湾労働組合の集団コードは設定したし、それで俺たちは標的にはならない、だろ?」

>「“俺たち”がおじさんたちのことなら、そうだね。でもわたしやアリスはそのコードを持ってない……、でしょ?」

>「あっ」


 ジョージ……。

 というかシャオヘイもそのくらいは起動前に伝えられたでしょうに!



>「……まあそういう反応になるよね」

> ジョージが起動したスパイダー・デストロイヤーは、前方に動き回る標的が倉庫に駆け込んだことを識別すると、けたたましい連射音を奏でながら雨霰と30㎜ガトリング砲の射撃を一番近距離で捕捉した標的――アリソンに向けて送り込み始めた。


 ああ、始まりました。

 というか、ジョージ。起動後に制御できないんかい!




 以上が第8話です。

 戦闘シーンで区切られると引きが強いですね!

 続きが気になります。




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