No.2 第1話の感想
それでは本文です。
>第1話 いつか「あの人」に会うその日まで
主人公の想いですね。
何がどうなって、そう募らせたのか気になるタイトルです。
> 流麗に風にたなびく銀髪に透き通るように煌めく鋭い碧眼、色白で逞しげな顔立ちに紺青色の丸いフレームの眼鏡をしたいささか背の高い少女は、心底ウンザリしながら大きくため息を吐いた。
冒頭、主人公の描写です。
長い銀髪。碧眼。丸フレームの眼鏡。
良いですね、フェチズムの定番だけあって想像しただけでそそります。
拘りが伝わる内容で、この姿が好きなんだと嫌でも伝わってきます。
> スラム街にしては珍しいモノトーンを基調としたクラシックメイドスタイルの少女の背には、背丈に不釣り合いな大振りの刀が担がれていた。
次の文。
クラシックメイドスタイルです。
長スカートですよ、長スカート!
媚び媚びのミニスカでないところが素敵です。
大振りの刀を担いだメイドさん。
様々な作品のギャグシーンが頭を過りました(ぇ
>「お前! ボクの何が、なんだって? もう一度言ってみろ」
……ごめんなさい。
「俺の名前を言ってみろ」的なセリフにしか聞こえませんでした。
ボクっ子メイドさんなのに物騒な人です。
刀を担いでいる時点でお察しでした。
> 言葉の後半はすっかり消え入りそうな声で、メンテナンスされなくなって久しい亀裂が走った街路を打ち据える大雨で搔き消されんばかりだった。
場面描写がありましたね。
打ち据える大雨。
亀裂が入って放置された街路。
荒廃した人がいなさそうな街中です。
やられ役が、狼狽しながら発した声が聞こえないくらいの状況です。
殺るには絶好のシチュエーションです。
> 言い終わるや否や、少女は跳ねるように地を蹴って走り出す。足首に届くほどに長いボックスプリーツスカートを履いているとは思えないほど大胆に大きく駆ける足は、一切の躊躇なくまっすぐに男との距離を詰めていく。
> 勢いに乗ったまま上体を前に倒しつつ背負った長刀を右手ですっと抜刀。超硬化スチールの刀身に磨き抜かれたチタンブレードを持つムラサメ重工製の機械刀が、体の動きに合わせて流れるように風を切る。
丁寧な戦闘描写。
腰を抜かしたやられ役の男が弁解を口にして制止しますが止まりません。
> 眼前に迫りくる恐怖に目を奪われたままの男は、なおも何かを抗弁しようとするが、腰が抜けてへたり込みうまく言葉が出ない。
> 逃げようと手足をバタバタともがくが、溜まった雨水に滑り、力の入らない腰を浮かせることすら叶わなかった。
止まり……
> 瞬く間にタタタタとアップテンポで足音を響かせて容赦なく男に駆け寄る少女は、右手に持った機械刀を体の前面に移動させると、柄に左手を添え、なおも馳せる。
> 抵抗する様子のない男に対して、少女は最後のステップを力強く踏み込み、そのまま程よい位置、涙目で口をパクパクさせながら絶望の涙を浮かべる男の首を薙ぐように一閃。
ませんでしたね。
> 振り抜いた機械刀の先に赤い血が伝い、雨がそれを洗い流していく。
> 少女がようやく足を止めたのは男の横を二十歩あまり通り過ぎた後だったが、その頃になって男の首は胴体を離れ、カッと目を見開いたままゴミで溢れた側溝まで転がっていき、そのままゴミになった。
無事、首チョンパされました。
丁寧で情報量の多い描写でしたね。
でしたが……ゴミ扱いのやられ役に、ちょっと大袈裟な感じがしました。
主人公の描写のこだわりを伝えたいのだとは思いますが冗長に思えます。
苦戦する相手とか、因縁のある相手なら良いんですけどね。
>「ボクに向かって『眼鏡をはずせば』なんて言うからいけないんだよ」
おお、タイトル回収です!
話が始まってから回収までのスピード感がすごいです!
> かつて自分を救ってくれた「あの人」が褒めてくれた眼鏡をはずせなど、少女には問題外で、命よりも大事だと言っても過言ではなかった。
眼鏡を外せない理由が出てきましたね。
> いつ「あの人」が見つかるかわからないのだから ……
> …… 眼鏡をはずせという言葉は、少女のあこがれの「あの人」との再会の僅かな機会を放棄しろというに同義 ……
つらつらと綴られるその理由。
ごめんなさい、ちょっと長すぎ感が……。
というのも、まだこちらは主人公について何も知らない状態です(外見以外)。
良い人、悪い人。
応援したいとか、死んでしまえとか、そういう感情をまだ抱いていません。
むしろ男を斬り捨てた時点で、無慈悲な「ヤベぇ奴」的なイメージです。
この段階で「眼鏡」について、しかも愛情っぽいことに基づく狂気じみたレベルで語られるとヤンデレ以上に怖さが先立ちます。
例えば、やられ役がとても悪い奴で、それを依頼で倒して、正義はこちらにあるとか。
そういう「殺って当たり前」な背景が語られていたら少しは違ったかも?
>「このまま寄ってくるウザい男たちの相手をしていたら、ボクはいつか『あの人』に会えるだろうか」
> ……「あの人」が褒めてくれた“この眼鏡”をかけた自分のことを見つけてくれる日まで、あるいは見つける日まで、これを続けなければならないと少女は改めて無言のまま誓った。
そんな状況で、さらに“「眼鏡」を馬鹿にする「男」を斬り捨てる”と誓う姿。
いや、邪魔者を斬り捨てるのは分かります。
その邪魔者=“「眼鏡」を馬鹿にする「男」”。
どれだけこの属性の男が多いのですか(笑)
むしろそれしかやる事が無いのかと言うくらいに語りが重なります。
あ、副タイトルにもなってました。主題なんですね?
> ……ぬくもりの消えた胴に最後にもう一度強く蹴りを入れてから……
> 踵を返してスラムの街路を去る少女。名をアリソンと言った。
そして第1話が終了です。
主人公? アリソンの名前が知れました。
はい、とても強い拘りを感じる第1話でしたね。
メイド服と武装。
眼鏡。
(外せと言ってくる)ウザ男を斬り捨てる。
それだけで語られる、むしろタイトル回収に全力の冒頭でした。(もう全部回収)
この要素が好きな人にはたまらない仕上がりでしょう。
が、この時点での率直な感想は……『ヤベぇメイドの殺戮一人語り』。
タイトルで語られる要素のみで、世界観もあまり登場せず。
次のお話への引きもなく……。
ごめんなさい、正直、次の話を読みたいと思えない状況です。
次話から主人公が何者か、等の話が出てきます。
が、ここまででもう少しアリソンの内面――眼鏡と「あの人」以外――を知る何かが欲しかったです。
そうでないとこの物語は「ヤベぇメイドが、ただひたすら男を斬る話なのか」と思ってしまいます。
タイトル回収をして、コンセプトは十二分に語られました。
ぜひ、ストーリーの流れが見える要素や、世界観を入れて彼女が何者であるかなど、物語上の、この冒頭シーンの意味を与える方法を考えてみてください。
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