第28話:革命的な合コン
ラスボスと主人公の前にロリが並ぶという終わりすぎた合コン。
それでもクイナは変に真面目なところがあるためか飲み物を注文して料理を注文してとテキパキ動いていく。
クイナは着替える時間がなかったからか制服のままだが、彼女の友達はミニスカートにカーディガンという可愛い格好をしていて、宇宙の落書きの子供は丈の短い……というか、もう小さくなってしまったワンピースを着てきたようだ。
いつもスプレー塗れの服ばかりだから汚れてない服がなかったのだろう。
……かなりふとももとか見えちゃってるな。いや、子供に興味なんてないが。
そして最後に五天一刃の柳キリだ。
そこら辺を歩いていたところをクイナが拾ったということだが、まぁ自警団に用があったところを捕まったのだろう。
いつも和服なのだろうが、なんか合コンに気合を入れすぎて和服を着てきたみたいになっていてちょっと可哀想である。
そしてまだあわわってる。
「……とりあえず、しますか。乾杯を」
「……ああ、そうだな」
死んでいる平林を起こしてから絶妙な空気感の中で合コンが開始される。
少しするとクイナはおしぼりを不自然に縦に向けて、他の女子陣もみんなおしぼりを動かしていた。
ああ、これ男の方も咳払いの回数で狙う相手を伝えるという作戦をしていたが、クイナ達もしているのか。
たぶんおしぼりを向けるのを合図にしてるんだな……分かりやすい。
クイナのおしぼりは当然俺の方を向いていて、クイナの友達もクイナにイタズラっぽく焚き付けるような表情で俺の方に向けていて……柳と宇宙の子も俺に向いていた。
……全員が……俺狙い……!
今だけはそんなには嬉しくないモテ期……!
いや、まぁ……クイナは恋人だ。
クイナの友達は悪ふざけなのは見てたら分かる。
宇宙の子は知り合いが俺だけ。
柳は愛知とも知り合いではあるが触手のイメージが強いだろうから消去法で俺。
となると、まぁそりゃ当然の帰結としてみんな俺になるのか……。
幸い、深見クノウや平林は気がついていないようだ。
愛知は……たぶん気づいているのか頭を抱えていた。
「よし、では飲み物もきましたし、自己紹介していきましょうか。私はこの会の幹事をさせていただく師走川クイナです。そこの厄神さんは私の恋人なんで狙っちゃダメですよー」
深見クノウは素でめちゃくちゃ驚いた表情で俺とクイナを交互に見る。
ラスボスなのに素に返るな、深見クノウ。
「あ、クイナの友達の山田アリスだよー。今日はなんだか面白そうな予感がしたのできたら、バリバリの国際指名手配犯がきてワクワクしてるよ」
「大物だな……」
「あ、えっと、次、僕……だよね。えっと、西川ソラです。お絵描きが好き……」
ああ、そんな名前だったんだ。
何故かめちゃくちゃ落ち込んでいる宇宙の子を気にした様子の柳がぺこりと頭を下げる。
「あ、えっと、柳キリです。あの、えっと五天一刃の一刃をしてます。今日は出稽古に来ようと思ってました」
ああ……そういや愛知が誘ってたな。
そこをクイナに捕獲されてこの地獄みたいな合コンに連れてこられたのか……運悪いなこの子……。
クイナは「五天一刃!?」と驚く。
本当になんか見つけたから連れてきたのか……。
男達も名乗りはじめ、俺はそれを聞きながら考える。
どうする……合コンの知識すらないのにラスボスと主人公がいる上に相手が子供ばかり……!
今は運ばれてきたポテトに夢中になってくれているが、このままだと不味い。
一番乗り気だった平林はもう悲しそうな表情をしているし、愛知も俺と同様にこの場をこなそうとしているが正解は見つかっていないようだ。
「ふむ……とりあえず」
深見が口を開く。コイツ……男性陣の中で一番乗り気だぞ!?
「異性のときめくポイントでも発表していくか。俺はこう……起きたときに寝癖で髪がクシャクシャになっているところを見るとちょっとグッとくる」
っ……! ちょっと分かる……!
けど、ラスボスが待っていていい性癖でもいいだろ。
「あっ、分かります。寝癖可愛いですよね」
クイナも乗るなよ……!
ソラちゃんは指名手配犯のおっさんが性癖を語る姿を見て目を白黒させている。
この空気を変えるためには……。
「愛知」
「えっ、俺も言うのか? ……まぁ、やっぱり笑顔とか?」
つまんねえやつだな、お前はよ。
クイナの目が俺の方を向く。……これ、自動的にクイナのどこにグッとくるかを告白するみたいなことになるんじゃないだろうか。
「俺は……料理してるところ好きかな。真剣な横顔が綺麗で」
「ふへへ……。平林さんは死んでるので飛ばしてこっちもいきますか?」
クイナが振ると、女の子達はちょっともじもじとする。
……かわいいな。
「私はヤクさんが考え事してるところ結構好きですね。かっこいいなって思います」
ふへへと笑うクイナにソラちゃんが落ち込んだ様子を見せる。
……えっ、この子もしかして本当に俺が好きなのか? そう言えば朝もちょっと止めてほしそうにしていたような……。
胃痛の材料が増えてしまったことを悲しむ……のは失礼か……。
「えっ、私も発表するんですか? あわわ」
といつも通りの柳の話を聞いたあと、平林はバッと顔を上げて俺たちに目配せをする。
「ちょっとトイレに行ってくる」
「あ、俺も」
と四人でゾロゾロと動いて平林に着いていく。
先程まで落ち込んでいた平林は俺達に言う。
「……あのな、俺は気がついたんだ。今は子供かもしれないが、5年後10年後には立派な大人だ……! 今は子供だけど、みんなかなりの美人ではあるわけだから、未来の恋人と考えたら……!」
「……そうか」
おしぼりのことは……まぁ黙っておくか……。
「で、狙いはどうする」
「俺と厄神は言わなくていいな。深見は……」
「あえてあげるなら山田ちゃんかな」
「コイツ常に全力で生きてるの腹立ってきたな……。平林は?」
「うーん、俺も正直山田ちゃんが一番年齢的に……いや、しかし……くっ、俺の良心が「将来を期待して仲良くするのはなんか違くね?」と言っている!」
「そのまま良心が勝ってほしい」
まぁもう作戦会議はどうでもいいか……。と思って俺が帰ろうとしたとき、深見に肩を掴まれる。
「なんだ。やる気か?」
「いや……子供と何を話せばいいのか分からないから、教えてほしい」
「コイツ本当にいつだって全力で生きてるな?」
「まぁ革命家なんて前向きなポジティブマンでもなければならないよな……」
俺と愛知は目を合わせて、ふたりで深見の肩を叩く。
「……一発ギャグで、場を盛り上げるんだ」
俺達は無茶振りをした。
深見クノウは滑った。
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