3日目、ハウステンボス
「うわ〜」
「マジ外国来たみたいだな」
感動するのは駐車場までしか知らない男子2人。
でもホントに?
ホントに来たことないの?
「デートで来なかったの?」
「別に妬かないから言いなよ」
「デートでこんなとこ来るか」
「観光バスに会うところは
避ける習性できてるから」
ある意味の職業病。
「ユイどこ行く?」
「とりあえずテディベア行きたいです!」
「クマ買うの?」
初めてチーフを任された同期だけの修学旅行。
生徒たちにもらったちいさなテディベアは、飾るとこがないからとりあえず綺麗に包んでしまってあった。
今回テディベアショップに行きたいのは、お母さんがクマ飾りたいって言ってたから。
やっぱあのクマは女の子の憧れ。
ボーイッシュだったカスミちゃんは、クマのぬいぐるみよりも、お兄ちゃんたちとお庭を探検する方が好きだったとか。
うちはヒロキがおままごとに参加してた。
「俺チーズ食いてえ」
「悠二、チーズフォンデュの店ある」
「うわ美味そう!」
パンフをガン見な2人。
龍子さんは撮影ポイントへ。
「お客様〜記念撮影いたします!
こちらにお願いしまーす!」
パンフからハッと顔を上げた2人は笑ってガイドさんの元へ。
「ここで撮ってんのか」
「そうだよ〜
撮ってから解散なの」
「「ふーん」」
「お前らの写った写真が
全国津々浦々にあるんだろうな」
4人で写真を撮った。
自撮りじゃなくてちゃんと通行人にお願いして。
写真立てを買おうと思った。
こんなに楽しい新婚旅行、2人きりよりもきっと楽しかった。
「スミマセンお願いしていいですか?」
話しかけて来たのは赤ちゃんを連れた夫婦。
初めての家族旅行なのかもしれない。
大きくなって写真を見てこの子は笑うのかな。
大事な思い出
「カメラお預かりします!あちらにどうぞ!」
「え」
カメラを受け取り、3人家族、ハウステンボスを背景に
「お撮りしまーーす」
カシャ
「もう一枚撮りますね〜
奥様もう少し旦那様の方に!」
カシャ
「あ…ありがとうございました」
「いえ、順路はあちらでございます
お気をつけて〜」
「ど…どうも」
うんうん
楽しいだろうな。
思い出になる写真、うまく撮れてよかった。
「ガイドさん」
「はい!」
あ
「なんかテンション間違った」
「恥ずかしい」
「完全に引いてたぞ今の家族」
入国ゲートからすぐのテディベアミュージアム。
そこにある大きなテディベアはいつ見ても可愛い。
「でっけーなおい」
気持ちが高まったとこでショップへ。
このショップが実にヤバい。
「やばーいかわいーー」
「ユイちゃんそれ大きすぎない?」
「やっぱり?」
「どこに置くんだよそんなデカいの」
どこに置いても邪魔な気がする。
しかも3万円也
チーーン…
買わない方がいい気がする。
「ったくしゃあねえな」
え?
「どっち?
薄いのと茶のやつとあるじゃん」
「買っていいの?」
「マンションは広いだろ
どこでも置けるだろ
玄関でも便所でも風呂場でも」
「いいの!?」
「ソファーに座らせて枕にするって手もあるな」
「それはダメだけど!」
嬉しい!
そんなとこが好きなの!
「じゃあ私も欲しい〜」
「え…りゅうぴょんも?!」
「何よその驚き方、ダメなの?」
「や、いいけど」
「怖えな」
「うるさいわね」
「なんだろう
ユイちゃんがマタギに見える」
ゆるっとサルエルパンツ
フードと袖口がファーのジャンバー
サコッシュはモコモコプードル
そして大きなクマを実家の分も2頭担いで。
「狩ったの?」
「漢字が違う」
結局、龍子さんもワンサイズ小さな子熊を狩り、2人で子熊を抱っこした。
「こっち向いて2人とも」
「え、何?」
「ハイチーズ」
カメラ小僧越智さんが、ヨーロピアンを背景にマタギの2人を撮る。
「2人とも可愛いな」
カメラの画面を見て笑う越智さん。
チラリ見たら一之瀬さんも笑ってた。
今夜はハウステンボスの中にあるホテルに贅沢ゴージャスにお泊り。
そりゃもう部屋は豪華なヨーロピアン。
景色も豪華にヨーロピアン。
でも遠くに見える山がなんか日本。
絶対杉だと思う。
「そこは見るな」
「ねぇどこ行く?VRでもしに行く?」
「そうだな、運動でもするか
夕飯までに腹も減らしたいし」
ま…まさかご飯の前にいかがわしい運動?!
で、やって来たのは
「えーーー!ここ渡るの?!
無理無理無理無理!」
なんか高いところをロープつけてよじ登ったりするアスレチックみたいなとこアスレチックなんて可愛いもんじゃない命綱つけられるやつ足ガクブルのやつターザンロープの高さおかしいって
「だ……だって一之瀬さん高いの嫌いじゃん!
海行った時飛び込み台は嫌だって…!」
「あれは高いのが嫌なんじゃなくて
ドボンと水に落ちるのが嫌なんだ
高さじゃなくて水が嫌い」
「高いとこ好きじゃないって言ったよ!」
「口説き落とそうとしてる女に
水が怖いから飛び込めませんなんて
ダッセーこと言えるわけねえだろ」
高いところ怖いのはダサくないのかな。
「ユイ行くぞ!」
無邪気に駆け出すスナイパー
うんうん
来てよかった。
「ギャーーー!嫌だーー!」
「うっせえな早よ行け!」
ドンッ!
「あぁ!お客さん押さないで!」
「ギャーーーー!」
ありえないターザンロープ
終了
「あー楽しかった」
「ウソつけ」
「終わってみたら楽しかった〜」
ほどよくお腹も減ってあたりは夕暮れ。
龍子さんたち何してるだろ。
お散歩でもしてるかな。
「ユイ、ビール買おうぜ」
アレアレって指差す方、オープンカフェバーみたいなオシャレなお店があった。
「いいね〜!」
フレンチディナーの前に軽く一杯。
異国の地に陽が落ちる
寒い2月に外で飲むビールも美味しかった。
一之瀬さんがいちいち微笑むからかな。
愛おしそうに私に微笑みかけるから。
「一之瀬さん、楽しいね」
「そうだな」
フフッ
「お前の顔が」
はぁ?
そして憧れの豪華フレンチディナー。
大きなお皿にちょこんと乗ったアレ
三角グラスにオカズ入れるの?ってアレ
お皿にソースがピヨ〜って書かれてるアレ
一品ずつ持って来てくれるアレ
美味しかった。
本当に美味しかったんだけどね
食べた気がしないのは私だけでしょうか?
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