第8話 冬の布団トラップ

 冬の朝。

 由紀は目覚ましを止めたあと、布団のぬくもりに再び吸い込まれていた。

「あと5分……」

 そうつぶやいたのが運の尽きだった。


 5分後、再び目覚ましが鳴る。止める。

 また5分。止める。

 繰り返すうちに、時計の針は容赦なく進む。


 気づけば出勤時刻の10分前。

「やばい!!!」

 飛び起きて着替えたものの、外は凍てつく空気。


 駅まで猛ダッシュした由紀は、ホームに着いた瞬間、ため息をついた。

「……マフラー、布団の上に置きっぱなしだ」


 冷たい風が首筋を刺し、彼女は小さく震えた。

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