第2話 スマホは顔に落ちるもの

布団に横たわったまま、由香はスマホを掲げていた。

 SNSをスクロールする指先は、すでに半分夢の中。

「明日こそ早起きしよ……」そう思いながらも、画面の光に吸い寄せられる。


 まぶたが重くなり、意識が途切れた――その瞬間。


 ゴンッ!

「いったぁぁ!」


 スマホは容赦なく彼女の額に直撃した。

 涙目で額をさすりながら、由香は思わず天井に向かってつぶやいた。

「なんで寝落ちすると、スマホって必ず顔に落ちてくるの……」


 答える者はいない。

 ただ暗闇の中で、スマホの充電残量5%を知らせる通知が静かに光っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る