第5章 『黒百合の罪』


ふたりの口から、

『セリオス=アトリオン』の名前が出てきて、

晴れた空が一気に雲がかかった。



「どうしてその名前を……?」


「ルナとノクタがいた、

あの孤児院に行ったのです」



アタシ、そしてノクタも、

体が凍えるような感覚に襲われた。



思い出したくもないあの地獄。



「そこで、ミミの魔法を使って色々聞いたの…」



その内容に、

アタシは体から血が溢れ出しそうな怒りで

震えた。



「そして、その人は自分の欲の為だけに

ルナ…きみを利用しようとしている」



ミミは手を震わせながら、

アタシの手を握った。



「このまま行けばルナは殺される…けど――」



きっと、

アタシがあいつに会いに行かなければ同じ目

…いや、それ以上に

酷い目に遭う子どもたちが出てきてしまう。



「ありがとう、ミミ。

でも、アタシは行くよ。

なんとしてでも、あいつを倒すよ」


「ただ…

セリオス、噂では相当手強い相手だと

お聞きしてます」


「これだけの権力があれば、

想像以上に強いかもしれねぇ…」



今まで倒してきたどの魔獣よりも

強いかもしれない。


 

だからと言って、アタシは逃げない。

必ず、お母さんのことを伝えなきゃならない……


そんな気がした。



「死なないように頑張るけど、

みんなサポートしてくれる?」



その言葉に3人は目を見開く。



「し、死なせるわけないじゃん!!」



ミミが勢いよく抱き着く。



「…ていうか、オレらのサポート舐めすぎ」


「今までだって、

ルナのサポートばっかしてたと思いますよ」


「ミミたちが必ず守るから…っ」



ありがとう。

ノクタ、ミミ、テミ。



「…よし!それなら4人で出陣だ――!!」


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愛の月 – A Light for Each of Them 玲月 ちゅみ @akizuki_chumi

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