第4章 『カモミールの想い ー ヒマワリの覚悟』
村の白うさぎとして産まれた自分は、
特別な存在として周りから愛されて育った。
何不自由なく、甘い世界で生きていた。
そんな時、テミと出会った。
この世界には色んな種族がいて、
色んな景色があるのだと知った。
そこで初めて、
自分の目で世界を見たいと思った。
それが自分、ミミの旅の始まりだった。
お父さんもお母さんも、
初めは不安そうにしてたけど、
テミが一緒に行くってなって
笑顔で見送ってくれた。
世界は思った以上に綺麗で、温かかった。
――そう思っていたのは、
上辺を見てたからと知った。
「ミミにはわからない!」
「急にどうしたんですか?」
ノクタの親戚のお見舞いのあと、
ミミはテミとカフェに来てた。
甘くて美味しいケーキと紅茶を嗜みながら、
ルナのおじいちゃんのこと、
さっきのノクタのことを考えていた。
「…どうしてみんな、自分の子供や孫に
そんな冷たくできるんだろう」
血は繋がっているはずなのに…
「そうですね…」
カモミールの香りが漂う中、
テミがゆっくりまつ毛を上げた。
「…世界は、そんなに
甘くはないってことですかね」
「だとしても、血が繋がっていたら
『愛』せるはずじゃないの…!?」
テミのその困った顔。
こまりは、それが嫌い。
まるで、世界の全てを知ってるみたいで……
「『愛』が全てではないんですよ」
「それなら、なんで…」
なんで、彼女たちを産もうと思ったの…
「ミミ…いえ、こまり。あなたは奇跡なんです」
ルナとノクタの仕打ち。
それを思うと涙が止まらなかった。
「優しい子ですね。
私はそんなあなたが好きですよ」
まるで母のように撫でるテミ。
その温もりに触れ、覚悟を決めた。
「こま…ミミ、決めたよ。
もっと世界を見に行く――」
――――――
「という訳で、こんな時にごめんなんだけど
ミミたち別行動させて欲しい…!」
正直、アタシは戸惑った。
このまま4人で行動すると思ってたから。
けど、ミミ本人の意思で決めたなら
アタシたちはなにも言わない。
「…いいよ。でも、必ずまた会おうね」
「ありがとう!ルナ!」
「私も『監視役』として、
ミミと共に行きますね」
ノクタを心配そうに見つめるテミ。
あんなことがあった後だから、尚更だよね…
「…大丈夫だよ、テミ。あとはアタシに任せて」
小声でアタシはそう伝えると、
テミは少し安心した顔をした。
「お願いしますね」
「じゃあ、また会おうね!」
「うん!ミミ、テミいってらっしゃい!」
10年振りの2人きり。
けれど、今回は違う。
ちゃんとふたりが戻ってきてくれる。
この先、どんなことが待ち受けているか、
不安と恐怖はあるけれど、
必ずアタシは母に会う――
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