第3章 『真実の罪』
お城の中は想像より古く、
石の壁や柱には長い歴史の跡を感じた。
優しい風とは裏腹に、胸の奥が小さくざわつく。
「この扉の先に王が居る。
絶対、無礼な真似はするなよ」
綺麗な髪色の男に念を押され中へ向かう。
握っているノクタの手に、自然と力が入る。
重い扉を開けると、
中には見た目は若い夫婦が静かに座っていた。
若さとは裏腹に、
ふたりの気配は今まで感じたことがない存在感で
思わず息を呑んだ。
椅子に座るよう促され、
アタシは女性の前に座った。
ふたりの顔を見るとどことなく、
アタシと似ている気がした。
「本日はお邪魔させていただき、
ありがとうございます。
それで、本題なのですが…」
テミが一から丁寧に説明し、
夫婦がアタシの顔を見る。
女性は一瞬目を見開いたかと思えば、
下を向いてしまった。
口を抑え肩が震えてる気がした。
男性は、険しい顔をし
女性の反応を見て
アタシの目を真っ直ぐ見てきた。
「……我が娘、
『リシェル』の子で間違いないだろう」
娘の子?
ってことは、このふたりはアタシの――
「えぇ!?
お、おじいちゃんとおばあちゃんってこと!?
わ、若すぎない!?」
「だが、お前は『混血』だ!!!」
その声と覇気に皮膚が割れそうになった。
「お前の母親は…!
ここの姫になり、村を支える予定だった!
なのによくわからない男と駆け落ちして
この村を捨てた!
それがどんなに罪深く、冷酷なことか…!」
悔しさと虚しさ、怒りが混じった表情と声。
それが、槍のようにアタシの胸に突き刺さる。
「…それに、近年稀にみる良血。
魔力も絶大だった」
女性の手からは、涙が零れていた。
「お前は儂らの血筋かもしれぬ。
だが、この村は純血しか受け付けぬ!
『混血』は穢れの象徴!帰ってくれ!!!」
母はなんてことをしたんだろう…
この村を捨て、アタシのことも捨てた。
怒りと憎しみで涙が溢れる。
許さない――
絶対、見つけ出して罪を償ってもらう。
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