第3章 『真実の罪 ー 鱗の心』


「はい。報酬はこれな」

 

「ありがとうございます」

 

「いえいえ。こちらこそ助かったよ。

ところで、魚人のお前さん。」

 

「ん?」

 

「エイドラスの弟子だろ?」

 

「はー、まあそうですが…」

 

「あいつ、弟子ができて本当に喜んでたわ。

優秀な弟子が育つのを楽しみにしてみたいだ。

これからもあいつのためにも頑張っておくれ」


 

ノクタもまた師匠に『愛』されていたんだね――


 

「では、達者でー」

 

「ばいばーい」


 

いや、ミミ町長さんにばいばいって……

まあアタシも人の事言えないけど。




「先程、町長さんにお話を聞きましたら、

ここから2、30km先に

目的地があるみたいですね」


 

グラヴィムス……アタシの親の故郷。


 

「その前に!温泉!温泉行きたいーー!」

 

「わかった!寄って行くから黙れ!」

 

「やった!」

 

「ミミはほんと温泉好きだねー」




――――――



 

「あれ?ノクタは入らないの?」

 

「いや…オレは……」

 

「うーん…もう、見せてもいいんじゃない?

テミとミミとも長くなるし。

それにアタシも一緒に入りたいな」


 

ノクタにはまばらな鱗がある。


それを見せたくない気持ちも分かるが、

そんなことテミもミミも気にする人じゃない。



「わー!ノクタと温泉!嬉しいね、ルナ!」

 

「ノクタ!来てくれたんだね!」

 

「まあ…」

 

「はーん…なるほどねぇ……ズバリ!

ノクタが今まで一緒に入らなかったのは

その身体!」


 

一瞬身構えるノクタ。


 

「そりゃあ、

ルナの胸をデブ乳って言うわけだよ…」

 

「はあ!?」

 

「え!?あ、そっち!?

まあ…たしかにノクタのは貧相だけど……」

 

「……」


 

うわ。絶対怒ってる。


 

「と、とりあえずお風呂入ろ?」


 

無言でアタシの横に座るノクタ。

アタシはそんなノクタの鱗に触れる。



まばらな鱗。

だけどキラキラ宝石のような鱗。


 

「アタシはそんなノクタが好きだよ…」


 

勢いよく手を引くノクタ。

あれ?顔赤くない?


 

「もうのぼせたの?」

 

「さ、先出るわ」

 

「あ、じゃあ私も…」


 

ノクタとテミはそそくさと出ていっちゃった。


 

「なんか…アタシ怒らせたかな……!?」


 

「はー…ルナは鈍感だな……」


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