第3章 『真実の罪 ー 月闇の光』
「ここ最近、アタシ泣きすぎ…」
「目真っ赤じゃん」
「メイクも落ちたし…」
「めっちゃ化け物」
「え!?まじ!?」
「さあ、どうだかな〜」
あの後、おじいちゃんのお墓を綺麗にして、
アタシは手を合わせた。
今までのことを謝り、
そしていつまでも見守ってくださいと伝えた。
「あー、あとルナもうひとつ行くぞ」
ノクタは、
アタシの手を引いてまた森の奥へと行く。
「ちょっと、ノクタ!足速い!」
「もう着いた」
「へぶっ!いったーい!急に止まら…な……」
ここは……
「ジジイの家だ」
「ジジイっておじいちゃんの?」
見覚えはあるけど、こんなだったっけ?
「お邪魔しまーす」
「ちょ、ノクタ待って!」
「あ、ノクタ!」
アタシは目を疑った。
声も変わり、背丈も
ノクタと変わらないくらいになっているのに、
顔はあの頃とあまり変わってなかった。
「……エ…ル?」
アタシの初彼だ。
「え、えーっ!ルナ!!」
「待って待って!エルって……!?」
「ああ、お前が殺しかけた奴だ」
「なんで生きてるの!?」
「きゃーっ!待って!
ルナめっちゃ可愛くなってるじゃん!」
「か、かわいいかな?えへへ
…じゃなくてどうして!?」
「あの後、ジジイのとこ連れてって
治してもらったんだよ」
「で、そのまま弟子入り。
ノクタの弟弟子だね!」
「ノクタ……友達いたの!?」
「え、そこ!?
それよりルナ、
めちゃくちゃかわいくなってるじゃーん!
ねえ今彼氏いる?いない?」
いないって答えようとしたら、
ノクタがいきなりアタシを抱きしめた。
え?え?どういうこと???
なんかノクタめっちゃ睨んでるし……
「あー、はーん……そういうことねぇ…」
ふたりの間に火花が散ってる気がする――!
「まあ、いいや。
一応、これ。気が向いたらメールして」
「う、うん……」
「ところで、ふたりは何しに来たの?」
アタシの両親を探す旅をしていること。
そして討伐依頼で立ち寄った場所に、
偶然おじいちゃんのお墓があったこと。
で、そのついでに……
「はー、ついでかぁ……」
なんかガッカリしてる…
「そういえば、花咲いてたね」
「ああ。そうだな」
「あの花ルナちゃんが師匠にあげた…
ごめんごめん!思い出しちゃった!?」
「おじいちゃん、会いたいよー!」
これ当分引きずりそう……
その後、ノクタと一緒に宿へ戻った。
連絡先を握りしめたまま。
「ってアタシ、エルに謝ってない!」
「また会った時でいいだろ」
「ダメ!今すぐメールしてみる!」
紙を広げたその時、
ノクタがアタシの手を抑える。
「オレので電話しろ。それでいいだろ?」
ノクタは時々、よくわからないことをする。
なんでこういうことするんだろ。
「う、うん…いいけど……」
『んだよ…今忙し……』
「もしもし、ルナだけど」
『え!?ルナ!?
でもなんでノクタの電話から!?』
「えっと…ちょっと伝えたいことがあって」
『なになに?告白?それならいくらでも…』
「違くて……」
ごめん、エル。
あの時、辛い思いをさせちゃってごめん。
おじいちゃんも、ごめんね。
会いたかったよ……本当に、会いたかったのに。
そして、ノクタも……
ずっとそばにいてくれたのに、
気づかず辛い思いさせてしまってごめん。
『ルナ…
「ごめん」より「ありがとう」のがいいな。
それなら「生きててありがとう」のが
嬉しいわ!』
「!…うわーーん!ありがとう!
生きててくれてありがとう!」
『うわ!ちょ、ちょっとノクタと代わって!』
ありがとう、エル。
ありがとう、おじいちゃん。
――そして、ノクタありがとう。
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