ニヴルヤ民話集
烏丸啓
カラスの羽はなぜ黒い
昔、カラスの羽は真っ白で、それはそれは美しかったのです。
その美しさといったら、あらゆる鳥がこぞってカラスに求婚し、うわさは天にも届くほどでした。
ある時、カラスの家におおかみぼしがやってきて、言いました。
「カラスさん、カラスさん、僕のお嫁さんになってはくれないか」
「いやよ、貴方の目はギラギラしていて怖いもの」
おおかみぼしは肩を落として自分の屋敷へと引き返していきました。
次の日、カラスの家にお月様がやってきて、言いました。
「カラスさん、カラスさん、僕のお嫁さんになってはくれないか」
「いやよ、貴方の顔は青白くってめいるもの」
お月様もやっぱり、肩を落として自分の屋敷へと引き返していきました。
その次の日は、お日様の番でした。
「カラスさん、カラスさん、僕のお嫁さんになってはくれないか」
「もちろんよ、あなたは暖かくって明るいもの」
それで、お日様がカラスのお婿さんに決まりました。
そして、結婚式の日にお日様とカラスは並んで六番目の天にある、お日様の屋敷までパレードを行うことにしました。
天の道筋をお日様が進みます。
カラスも一生懸命進みます。
一番目の天を抜けたとき、お日様はじゃらじゃらうるさい耳飾りを捨てました。
カラスがそれを拾います。
二番目の天を抜けたとき、お日様は足に合わない靴を捨てました。
カラスがそれを拾います。
三番目の天を抜けたとき、お日様は重いだけの上着を捨てました。
カラスがそれを拾います。
四番目の天を抜けたとき、お日様は首を締め付けるスカーフを捨てました。
カラスがそれを拾います。
五番目の天を抜けたとき、お日様は光をさえぎる帽子を捨てました。
カラスがそれを拾います。
六番目の天に着いたとき、カラスは天のガラスに自分の姿を映してみたくなりました。お日様の飾りでさぞかし美しくなっただろう、と思ったのです。
でも、そこにはお日様の熱で真っ黒こげになった自分の姿が映っていたのでした。
それ以来、カラスの羽は黒いのです。
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