第1章 王位継承の資格 王弟の娘の想い人 2
イライザが部屋から出たあと、扉が壊されていたので、アーサーの魔法で中を見えないようにした。侍女を呼び、着替える準備をさせた。
「申し訳ないが、私はここで護衛をさせてもらう。後ろを向いているので、何かあったら呼びかけてください」
「私は王様に会わなくては駄目ですか?元のいた場所に帰りたいのですが」
「ここが貴女のいる場所です。帰ることはできません」
リンネは下を向いた。考えてもこの状況から脱失することはできないと思った。取りあえず王の説明を聞き状況を把握しないといけないと思ったのだ。
侍女はプラチナブロンドの髪を整えられた。それから青みがかったドレスを持って来た。銀色の刺繍が美しいドレスだった。下着やコルセット、ペチコートなど下に着こんでドレスを着せてくれた。
これないが美しいドレスを着ると嬉しくなる。女子はお洒落をすると前向きになる。リンネもそう思えた。悪いようには、ならないのではないかと。
「お待たせしました。アーサー様」
侍女がアーサーに声をかけて部屋から出た。アーサーはゆっくりとリンネの方に振り向いた。
「凄く美しい」
「ありがとうございます。お聞きしますが、貴方は私のことが好きと言いましたが、あまり接点が無かった。王様に決められたから無理やり婚約したのですか?」
「確かに王が決めたことですが、貴女が行方不明になった時は、私もまだ赤子でした。なので貴女にあったのは、まだ間がない。しかし私たちは魔法でこんなことができるのです」
アーサーが片手を動かすと立体で等身大のリンネが出てきた。赤子から成長している状態が見ることができる。しかも触れることができるのだ。
リンネは(怖い。これ大丈夫。この人、ずっと私の成長をこうして見ていたの。ストーカーまがいだ)と思った。
「私は幼い頃から、こうして貴女に会っていた。だから子供ながら美しい貴女に会え
る日を楽しみにしていました。1日も早く会いたいがため時空を超え、貴女の発する微量の魔法の力を感じながら探したのです」
「そんなことで分かるんですか?」
「魔法を使えることは隠せません。でも自分の意志で魔法を使ったことがないので微量しか発していないので、見つけることに時間が、かかったのです」
「魔法?そうだ。あのバスの事故はどうなったのですか?皆は助かったのですか?」
リンネは行き成りここへ連れて来られて忘れていた。友達は大丈夫だったか、心配になったのだ。
「大丈夫ですよ。貴女の魔法のお陰で、全員、助かりました」
「良かった。え、私の魔法?」
「そうです。魔法が使える貴女こそ、この国の王女です。貴方の容姿だけを見れば王女だと思ったのですが。でも容姿だけでは判断できません。だから、あのバスの事故のお陰で、魔法を使った貴方を見て王女だと確信したのです」
リンネは魔法を使ったとは自覚していなかった。ただ心の中で皆が助かって欲しいと願っただけだった。
よく考えると両親が中学性になって、すぐに話してくれたことがあった。乳児の時に施設から里親として認められた。
子供のいない両親はリンネのことを我が子のように育てたのだ。里子だということを慎重に考え話してくれたことを。
中学性になってから話したのは、多感な思春期の時期に他人から知られるより育ての親として、自ら話す責任を果たしたかったのだ。
リンネは最初こそショックを受けだが、両親の愛情の深さは知っていた。それに感謝していた。
その反面、リンネの本当の両親にも会いたいと思っていた。それがこんなに急に覚悟がないまま会うのが怖かった。でも逃げる訳にはいかないのだ。
「王に会いに行きましょうか」アーサーが言った。
リンネは戸惑い心が騒がしい。だが現実を受け入れようと思った。
「はい、お願いします」
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