異常域で僕らは壊れていく

20XX年――。
人類はついに、動物の遺伝子を人間に組み込むことに成功した。
「異種混合族」と呼ばれる存在は、人類の進化の象徴であると同時に、制御不能な“脅威”ともなった。

その対策として設立されたのが H.A.R.M.（異種ハイブリッド規制機構）。
治療と管理を掲げたこの機構で、新米研究員・**友結（ゆうゆ）**は、ひとりの被検体を担当することになる。

番号で呼ばれる彼の名は――No.053。
鋭い眼を持つ狼耳の少年は、人間だった頃の名を呼ばれることを拒絶し、檻の中で牙を隠していた。

しかし、気弱ながらも真っ直ぐに向き合う友結の姿に、No.053の心は少しずつ揺らいでいく。
やがてそれは、互いの弱さを補い合う“絆”へと変わり――
番号の奥に眠る名前「麗」が、二人の運命を照らし出す。
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