五 宮殿へ!
寺の
「ワクワクするなぁ~! 早く合格発表してくれないかなぁ~!」
「
秋虫も「うち、なんでママゴトなんか……」とまだブツブツ言っています。
これはもしかしたら、三人とも
「お待たせしました。合格者の発表をします」
試験官の梅香がそう
でろでろでろでろ~~~チーン!
「合格者は…………この場にいる全員です!」
「えええーーーっ⁉」
合格者はだいたい三分の一ぐらいだろうと勝手に思っていた女の子たちは、いっせいにおどろき、何人かはのけぞって
「やったー! これで、都で働きながらあの子を探すことができるぅ~!」
「い……いやいやいや! 試験をやった意味はあったのですかニャン⁉」
「うち、なんでママゴトなんか……」
喜ぶ子、
「みなさん、お静かに! あなたがたは、たった今から『宮廷を
梅香がいくぶん大きめの声でそう言うと、瑞穂が真っ先に「はーい!」と
「うち、なんでママゴトなんか……」
落ちこみモードの秋虫が正気をとりもどし、自分の合格に気づいたのは、それから一時間後のことです。
一時間後――。
瑞穂と如虎、秋虫は、宮廷内にある彩女のための
「えええーーー⁉ うち、試験に合格したの⁉ ていうか、ここどこ⁉」
「落ち着くですニャン。ここは彩女の宿舎ですニャン。あたしと瑞穂さんが、意識が別の世界にぶっ飛んでいたあなたをここまで運んであげたのですニャン。あたしたち三人は、今日からこの部屋で寝起きしますニャン」
「そ……それはご迷惑をおかけしました……」
「他の人たちは四人で一部屋なんだけど、人数の
瑞穂は、行儀悪くピョンピョン飛びはね、はしゃいでいます。
「瑞穂さん、遊んでいないで早く彩女の服を
「尚侍ってだれだっけ?」
「試験官だった梅香さまのことですニャン! ちょっと前に教えたはずですニャン! いい
「あっ、そういえばさ~。如虎ちゃんに聞きたいことがあるんだけど」
「は……話を聞きなさいですニャン」
ゴーイングマイウェイな瑞穂は、如虎の
「この札はなーに? わたしの名前が書いてあって、その下には『
「それは、尚侍さまがさっき説明してくれたはずですニャン。あなた、本当にヒトの話を聞かない子ですニャンね……。この札はあたしたちの
「わたしがわたしであることは、わたしが証明できるよ?」
「それは顔見知り同士だから
「ふぅ~ん……。じゃあ、この『御門の司』っていうのがわたしの身分? 御門の司って何?」
「たぶん、瑞穂さんが
「御門の司がわたしの部署かぁ~。どんなお仕事するんだろ?」
「それは明日の朝になったら、説明してもらえるはずですニャン。ちなみに、あたしは『
「みんなバラバラなんですね……。うちは、『
秋虫がちょっとさびしそうに言いました。試験で手を貸してくれた瑞穂と如虎に、特別な親しみを覚えているようです。
「秋虫さんは、ヒト族なのに、あたしたち妖怪族を
「あっ、はい。うちは
その狸たちって本当に友達だったのですかニャン……と如虎は危うく言いかけましたが、秋虫が気の毒なのでやめておきました。
「ねえ、如虎ちゃん。都の人たちは、わたしたち動物の妖怪のことが嫌いなの?」
如虎の言葉が引っかかった瑞穂が、キョトンとした顔でそうたずねます。
「……瑞穂さんは、たしか
「ほええ~。わかったぁ~」
(このアホっぽい顔、絶対にわかっていないですニャン)
如虎も、瑞穂の性格をだんだん理解してきたようですね……。
その日の夜。
「尚侍。彩女の採用試験の
帳の向こう側にいるのは、お休み前の帝。
「ねぎらいのお言葉、無上の喜びにございます」
梅香は、深々と頭をさげました。相変わらずの無表情ですが、帝とお話している時はいくぶん声がやわらかくなっているようです。
「鬼に
「妖怪最強と伝わる妖狐の娘と、
「『君たちは魔物を退治できるか』とはっきり聞いちゃったら、恐がって逃げちゃうかもしれませんからねぇ」
なるほど。あの面接試験は、都に
「でも、できるだけ早く、今日採用した彩女の中から、鬼と戦える子たちを見つけてください。『彼』一人ではそろそろ
「
「さて……と。明日からは、モフモフな女の子たちと楽しい宮廷生活が送れるのですね♡ わっくわくしちゃいます♪」
帝は、急に
すると、梅香が
「新人の彩女たちは、
「ええーーーっ⁉ そ、そんなぁ~! モフモフで可愛い女の子たちにかこまれてキャッキャッウフフがしたかったのにぃ~! ぶー! ぶー! ぶー!」
実は、帝は動物大好きっ子なのです。モフモフ宮廷生活をすぐに送れないと知ると、
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