追放された聖女は隣国王子に溺愛される
白金/元素番号78
第1話 光の始原石板
『
- 第一聖録「始めの聖女の覚醒」-
初めに、光ありき。
神はその御手より黄金の息吹を降ろし、
『エリア・クリスタニア』を創りたまえり。
彼女こそ最初の聖女、
全ての癒しと浄化の源である。
その髪は黄金の如く踊り、
瞳は契約の空を映し、
その声は涙を露に変えし。
彼女の歩む大地には百合咲き、
触れる傷は瞬時に癒えた。
されど聖女は人の子
その心に悲しみの影ありき。
神より賜いし永遠の命は、
永遠の孤独と背中合わせなりき。
さればエリア・クリスタニアは天の庭に独り佇み、『我が命の果てまで、幾千を癒さん』と誓いし。神はこれを聞き入れ、其の右手より七つの秘儀を授けたまいき。
第一の秘儀『生命の息吹』
朽ちたるものに再び命を吹き込み、 枯れた大地を緑溢れる園と為す。
第二の秘儀『罪の浄化』
人の魂に纏わりし穢れを 月の涙にて洗い清む。
第三の秘儀『光の裁き』
偽りし者には灼熱の炎を、 正しき者には慈雨を降らす。
以下第四の秘儀より第七の秘儀までは 聖女の末裔のみ知り得る
エリアは地上に降り立ち、 三つの聖都を築き、 七十七人の弟子を育てき。 その中にただ一人、 真の後継者『ミリアム・オル・クレセント』ありし。
聖女の眠りにつきたもう前に、 其の記憶は十二の『記憶石』に分かたれ、 石板の守護者たる『セラフィム』に託されき。 『いつか真の継承者現るる時、 十二の真実は一つとなる』と。
聖女の金髪は徐々に白銀へと変わり、 その最後の言葉は風と共に消え去りき。 『愛すべき人々よ、 私は永遠にあなた方と共にありましょう。 この光は決して消え失せず、 新たなる聖女の胸に宿るのだから』
此の石板を見る者へ 真の聖女は必ず涙を知る者なり。 力は負い目のごとく、愛は十字架のごとく。
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