第11話 氷の女王の癒し
「よし、チームの親睦会は終わりだ」観覧車がゆっくりと下降を始めた時、俺はそう告げた。「自由に遊びに行っていい。六時に入口で待ち合わせだ」
茜は即座に焔の手を掴んだ。「行くよ、焔ちゃん! 退屈な親睦会は終わったし、デスドロップに行くんだから!」
そして二人は走り出した。ゴンドラのドアが開いた瞬間、赤と灰色の残像と化し、スリル満点の乗り物へと向かった。
しかし、美姫と蒼は動かなかった。二人は俺と共に座ったままだ。
美姫が向き直り、アイドルのような甘い表情から、何かを心配するような表情へと変わった。「マスター…蒼ちゃんはまだ顔色が悪いようですわ。もしかして、特別な注意が必要なのでは?」
彼女は身を乗り出し、その声は優しかったが、底には何かを仄めかすような含みがあった。「個室になっていて、空の上…平和ですわね? 癒やしには、うってつけの場所ですわ」
蒼は何も言わなかったが、その行動は雄弁だった。彼女は手を伸ばし、冷静にゴンドラのドアを再びスライドさせて閉めた。観覧車が新たな回転を始めるのと同時に、ラッチがカチリと音を立てて閉まる。彼女は俺の方を向き直った。その落ち着き払った表情が、わずかに揺らいでいた。
「昨日の戦いで、みんなを守ろうとして無理しすぎたな…」俺は優しく言った。「まだ痛むんだろ?」俺は美姫を見た。「お前も手伝ってくれるか。今、この子には俺たち二人が必要だ」
美姫の表情が和らぎ、嫉妬の痕跡は消え、純粋な心配へと変わっていた。「もちろんですわ、マスター。蒼ちゃんは昨日、とても勇敢でしたもの。私たちが与えられる全てのケアを受けるに値しますわ」
蒼は美姫と俺を交互に見た。その冷静さを装う仮面は、ついに剥がれ落ちていた。彼女の瞳には、今まで隠してきた痛みが滲んでいた。俺は彼女を優しくゴンドラの床へ座らせた。
「見てるだけでもいい」俺は美姫に言った。「それとも、この小さな氷の女王の包みを解くのを手伝ってくれるか」俺は身をかがめ、蒼のブラウスを引き裂いた。彼女の魔力の核がある胸元に、昨日の焔の攻撃によるものなのか、淡い紫色の痣ができていた。
俺は優しくそこを擦り、黒の宝玉を彼女の光る魔力の核に押し当てた。
蒼の落ち着きが粉々に砕け散った。鋭く、息が詰まるような苦痛と快楽の叫びが、彼女の喉から絞り出される。その背中は激しく反り、こめかみから涙が流れ落ちる。「マ、マスター…痛い…」
美姫は、興味津々といった様子で顎を手に乗せ、身を乗り出した。彼女の声は、甘く、からかうような、喉を鳴らすような声だった。「蒼ちゃんですの? あなたがそんな声を出しているなんて、初めて聞きましたわ。ほとんど可愛いですわね。偉大で強力なダークサファイアも、ついに冷静さを失ったのかしら?」
美姫のからかうような言葉と、宝玉の力がもたらす圧倒的な感覚が、あまりにも強すぎた。蒼は嗚咽のような声を漏らす。暗い藍色のオーラが、荒々しく、制御不能に彼女の周りで燃え上がった。
「どんな気分だ、蒼?」俺は尋ねた。空いている手で、彼女の胸を愛撫しながら。
彼女は頭を左右に激しく振り、荒い息を繰り返した。「いっ…痛いです…でも…ああっ! マスター…気持ちい…いです。わからない! もう…無理です!」
美姫はくすくすと笑った。サディスティックな喜びに満ちた、軽やかで音楽のような音だ。「気持ちいい? 無理? ちょうどいい感じだと思いますわ。顔が紅潮して、乱れている蒼ちゃん、とても素敵ですわよ」
「クールでミステリアスな演技は、もうやめた方がいいわ。この方がずっと似合っていますわ」
蒼は低く、すすり泣くような声を漏らした。純粋で、混じり気のない快楽の音。
「抗うな」俺は囁き、宝玉を彼女の核に強く押し当てた。「楽しめ。受け入れろ!」
蒼は絶叫した。生の、本能的な叫び声が、闇のエネルギーと共に最後の一度脈打つ。彼女の身体は痙攣し、そして床に崩れ落ちた。息を切らし、震えながら、完全に消耗していた。その顔には、ぼうぜんとした、至福の驚きが浮かんでいた。
観覧車が最後の回転を完了する。俺たちは急いで蒼に服を着せた。
彼女はまだぼうぜんとしており、足元がおぼつかないため、俺は彼女を腕の中に抱き上げた。完璧に落ち着き、得意げな表情の美姫が、俺たちの後について観覧車を降りた。
「…刺激的だったな、おい」俺は言った。
俺は人目のつかないベンチを見つけ、優しく蒼を座らせた。彼女は俺にもたれかかり、その頭を俺の肩にもたせかけた。「はい、マスター…とても心地よくて、刺激的でした…」彼女は囁いた。
美姫がくすくす笑った。「パークで最高の乗り物でしたわ! では、私、巨大なユニコーンのぬいぐるみを獲りに行ってきますわ。いい子へのご褒美です!」彼女は俺に茶目っ気たっぷりのウィンクをして、スキップするように走り去った。
蒼はゆっくりと我に返り始めた。彼女は背筋を伸ばしたが、俺から離れようとはしなかった。小さな、本物の笑みが彼女の唇に浮かんだ。「マスター、今日はありがとうございます」
俺は彼女の頭を俺の胸にもたせかけた。「贔屓はしないようにしているが…蒼、お前が一番心配なんだ。茜に対する恨み…もう消えたか?」
蒼は一瞬身体を硬くしたが、ゆっくりとリラックスし、俺の胸に溶け込むように寄りかかった。「恨み…茜に対してではありませんでした。正確には。自分自身に対してでした。私が守るべき光に、嫉妬していたから。それは醜く、私の弱さでした」
彼女は俺を見上げた。そのダークサファイアの瞳は澄んでおり、揺るぎない。「でもあなたは…その醜さ、その嫉妬心を受け入れて、それを力に変える方法を教えてくださいました。私に、私だけの輝く舞台を与えてくださいました」
「もう恨みなど残っておりません、マスター。あなたが焼き払ってくださいました。残っているのは、忠誠心だけです」
「そうか」俺は満足げにため息をついた。「だが、覚えておけ。お前たち全員が、俺にとって大切だ。下僕や道具としてではなく、相棒としてな。みんなにもそう伝えてやってくれ」
俺の言葉は、彼女に優しく、予期せぬ衝撃を与えた。一筋の完璧な涙が、彼女の目尻からこぼれ落ちる。「相棒…」彼女は囁いた。「はい、マスター。理解いたしました」
ちょうどその時、俺のスマホが震えた。響子からのテキストだ。
From: 響子(電話するな)
契約書はサインしたわ。最初のトレーニングは月曜日の午前7時。遅刻させないようにね。あの子たちは今や私のスターよ。
P.S. 契約金の前金はアンタの口座に振り込んでおいたわ。何もしてないなんて言わせないわよ。
添付されていた銀行振込の通知には、目が潤むほどの、莫大な金額が記されていた。
夕日が沈み始める頃、他の少女たちが戻ってきた。美姫は得意げに巨大な、ふわふわのユニコーンを抱えている。茜は、顔色を悪くした焔を半ば引きずりながら、「ゲロ吐き彗星」のGフォースについて楽しそうにしゃべっていた。
「帰るぞ」彼女たちが再集結した時、俺は言った。「月曜日から、お前たちはとても忙しくなる」
俺は茜と焔に目を向けた。「二人とも、楽しかったか?」
「最高だったよ!」茜が叫んだ。
全員の視線が、焔に集まる。彼女は、俺が前に渡した水のボトルを、命綱のように握りしめていた。
小さく、ほとんど気づかないほどの微笑みが、彼女の唇に浮かんだ。「うるさくて。速かったです。でも…」彼女は、励ますように笑いかける茜を見た。「一人ではありませんでした。だから、はい。マスター、今日は楽しみました」
それは、記念碑的な告白だった。親睦を深めるための訓練は、その混沌とした、砂糖にまみれた栄光の中で、成功を収めたのだ。
『分析完了』ゲムちゃんの声が、俺の心の中で唸った。『部隊の結束が確立された。素晴らしい成果だ。さあ…奴らを家に連れて帰れ。奴らの新しい人生が、月曜日に始まる』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます