ゾハルの徽(未完)

スロ男

序章(そして、ここが終着点)



 あるところにとても仲の良い姉弟がいました。姉の名は紗里依サリイ、弟の名は正太郎。ちょっと仲睦まじすぎるところを除けば、ごく普通の姉弟でした。でも、ただひとつ違っていたのは、弟はロボ使いだったのです。



 紗里依は鼻歌を歌いながらキッチンで菓子作りをしていた。今日のおやつはミルフィーユである。できるだけ薄くクレープ生地を作った方が美味しいのだが、面倒でもある。面倒さを楽しんでこそお菓子作りの醍醐味だと親友の佳子よしこはいうが、紗里依はお菓子を作りたいのではなく、弟の喜ぶ顔が見たいだけなのである。

 弟の正太郎はミルフィーユのことを「千葉だ、千葉だ!」といいながら喜んで貪り食う。その顔が見たい一心で、さして薄くもないクレープ生地を何枚も作っていた。

(ところで何で千葉なんだろ……?)

 たまに、いやわりと頻繁に正太郎はわけのわからないことをいう。先日などはロボットを拾ったなどといっていた。

『生き物を飼うのには覚悟がいるって父様もいってたでしょ、ほんとに面倒みられる?』

『生き物じゃないやい、ロボットだよ! 姉さんのスカポンタン!』

 スカポンタンとはディズニーの映画か何かだったかしら、と思い出しながら、怒った弟の顔もまた愛らしいと含み笑いを漏らした。

「ただいま!」

 玄関のドアを開けるなり、靴を脱ぎ散らしてキッチンの紗里依のもとへ走り寄ってきたのは、弟の正太郎だった。

「姉ちゃん姉ちゃん、甘い香りがする」

「いま千葉を作ってるからね」

「えぇ……千葉を……作る?」

 怪訝な顔をする弟へ、紗里依は笑いながら「ミルフィーユよ」と言い直した。

「ミルフィーユ……?」

「えぇ……。まあ、いいけど。手を洗ってうがいをしてきなさいな。もうちょっと時間かかるからね」

「はーい!」

「あ、正太郎!」

 洗面所へ向かおうとする弟へ向かって、紗里依は声をかけた。

鉄人てつじんは、元気にしてる?」

 一瞬、キョトンとした正太郎だったが、すぐににっこりと笑って大きな声でウンとうなずいた。そう、と楽しそうな姉の顔を一瞥して、洗面所へ。手を洗い、顔を洗い、うがいをしながら、

(姉ちゃんはたまに、ううん、ちょこちょこ変なことをいうよな……)

 ぺっ、と口の中のものを吐き出し、タオルで顔を拭った。

(あいつにはガイアーって名前がちゃんとあるのに……)



 などとこの姉弟がカクヨムに怒られるかどうかのギリギリの塩梅でずんどこべろんちょする予定だったのですが(なぜなら元々ショタコンを書く企画だったので)、なんか異様に長くなりそうなのでぶん投げました。

 ちゃんと書きたいような気もしないのではないのですが、当時(半年前)の自分の頭がハッピーセットすぎないかい? ということで、ここに更科そば。

 ちなみに「ゾハルの書」とはカバラの著名な書物の名で、漢字で書くと「光輝の書」となります。あっ……(察

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