和風な異世界に転移した王子は、仲間と共に世界を救う!【アクアドア・エムブレム(AQUA DOOR EMBLEM) 】〜ヤマタノオロチと天叢雲剣〜

徒然書

第一章 王子は異世界に転移する

〜プロローグ〜 見知らぬ大地に一人

(ここはどこだ…?さっきまで僕は王宮のベッドで眠っていたはず––––)


 マリウスは視界を凝らすが、真っ暗で何も見えない。日が出ていない事から夜だと言う事だけは分かる。


 まだ覚醒しきっていない頭で事態を把握しようとするも、理解が追いつかない。ただ一つ言える事は…ここは元居た場所とはまるで様子が違うという事だ。


 マリウスは身体を起こそうと地面に手を付くと、辺り一面が草むらである事に気付いた。更に立ち上がって辺りを見回すと…真っ暗闇の中で遠くにうっすらとした灯りが見えた。


「あれは…町か?こうしていても仕方ない、行ってみよう」


 今の彼は寝巻きで裸足…ベッドで眠っていたのだから当然だ。だが何故か腰には愛剣のレイピアが携えてあった。


 暗い夜道を歩いていると、何やら争うような声が聞こえてくる。物音を立てないように声のする方へと近付き、様子を窺う。


「や、やめて!ここを通してください…」

「へへへ、嬢ちゃん。まずは出す物を全部出しな?」

「そうそう、大人しくしてりゃ命までは取らねぇさ。まぁたっぷりと楽しませてもらうがな?」

「い、いやぁっ…誰か助けてっ!」

「この時間、この辺りに誰も通りかかりゃしねぇよ。さぁ観念するんだな」


 どうやら若い娘が盗賊に襲われているようだ––––。下卑た二人組の男、他には…気配は無いようだ。


(相手は…盗賊の癖に馬に乗っているのか。このレイピアであればむしろ好都合だ)


 シュッ––––ドスッ


 相手がこちらに気付かぬうちに背後に回り…心の臓を一突き。グラリと馬上から崩れ落ちる男を見て、ようやくもう一人の男は奇襲を受けた事に気付く。


「く、くそっ!何が起こってやがる⁈」


 引き抜いたレイピアをすぐにもう一人の男に向けて放つ。不意をつかれた男はなす術も無く、細剣に急所を貫かれる。


「ぐ、ぐはぁっ…誰だか知らねぇが、俺たちに手を出すなんざ––––」


 スッ––––ドサッ


 レイピアを引き抜くと男は言い終わる前に力尽き、馬から落ちた。どうにか片付ける事が出来たか…。まずは娘に声を掛けてみようか。


「君、大丈夫?怪我はない?」


 突然の出来事に呆然としていた娘だったが、声を掛けられた事でようやくこちらに意識を向けた。


「あ、ありがとうございます!お陰様で助かりました…貴方様が通りかからなければ、身ぐるみ剥がされてお嫁に行けない身体にされていたと思います…」

「若い女性が暗い夜道を一人で歩くのは感心しないな。良かったら町まで同行しようか?」

「よろしいのですか?貴方のような方が居てくれるのであれば心強いです!あっ、申し遅れました。私、フォーダと申します。よろしくお願い致します!」

「僕はマリウス。こちらこそよろしく」


 盗賊達の馬は二匹とも逃げずにその場に留まっていた。折角だから利用させてもらおう。馬を優しく撫でるとヒヒーン!とマリウスに擦り寄って来る。


 マリウスが馬に跨っても大人しくしており、どうやら新しい主人として認めたようだ。手綱を引くと、ゆっくりと歩き始める。


 こうして見知らぬ土地で助けた少女を道連れに、町へと向かう事になった––––。



[今回の成長]

・マリウス→器用さが1上がった!

------------------------------------------------------

[あとがき]

 ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


 紹介文に主人公・マリウスの紹介と簡単な注意事項を記載していますので、まだお読みでない方は目を通してみてくださいませ。


 もし物語が面白かった・続きが気になるという方は♡や⭐︎と作品・作者のフォロー、また感想をいただけるとありがたいです( *・ω・)*_ _))

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