第36話 お泊まり会 その1
「お泊まり会しようよ」
昼休みに3人で食事をしていると、善光寺さんがそんな提案をした。
それに対して天峰さんが訝しげな視線を向ける。
「……どうしたの急に」
「わたしシュナイツさんともっと仲良くなりたいの。だから親睦を兼ねて、ね」
そう言って、善光寺さんは私にウインクする。
……お泊まり会。私はそんな楽しそうなイベントを経験した事がない。
「3日後から夏休みだから、明後日の終業式の日にどうかな?」
私は全力で首を縦に振った。
それを見た天峰さんはため息をつく。
「したかないわね」
明後日のお泊まり会。
とっても楽しみ。
「それでお泊まり会の場所なんだけど、朝ちゃ──」
「私の家はダメよ」
「ま、まだ言い切ってないんだけど……」
「私の家には愚兄がいるから」
愚兄。
夜さんのことだ。
「わたしは気にしないんだけど……」
「あの色欲魔と二人を同じ屋根の下で寝食を共にさせるわけにはいかないわ」
そ、そこまで嫌わなくても……。
けど、できれば私も天峰さんの家には行きたくない。……夜さんとは、会いたくない。
「そっか。じゃあわたしの家で……って言いたいところだけど、その日わたしの家、来客がくるから難しいんだよね」
自分からお泊まり会提案したのにごめん、と善光寺さんは謝る。
「じゃ、じゃあ──私の家なんて、どう、かな?」
私がそう提案すると、天峰さんが言う。
「いいの?」
「う、うん。私の家、兄と姉がいるんだけど……」
「わたしは大丈夫ですよ。ルークさんとレナさんとは面識ありますし」
「私も問題ないわ」
「じゃあ決定ね!」
……私の家で友達とお泊まり会。
部屋、念入りに掃除しておかなないと!
***
お泊まり会当日。
終業式を終えた私達3人は、一緒に私の家に向かった。
「やぁ、いらっしゃい」
帰ると、家にはルキにぃがいた。
……あれ、なんでルキにぃがいるの? 学校終わりは、いつも夜さんの家に遊びにいっているのに。
「お久しぶりです。ルークさん」
「……お久しぶりです」
善光寺さんと天峰さんはそう挨拶する。
2人はルキにぃと面識があるって話だけど、どの程度の関係性かは分からない。
……まかさルキにぃ、2人に手を出したりしてないよね。
念のため、ルキにぃには警戒しておかないと。
ルキにぃは笑顔で2人に言う。
「ゆっくりしていってね」
それから、じっと天峰さんを見つめた。
流石にそれを不快に思ったのか、天峰さんは口を開く。
「なにか?」
「え、あぁ、何でもないよ」
「……そうですか」
「じゃ、私の部屋行こっか」
私はルキにぃと2人を引き剥がすためにそう言って、2人を自分の部屋に案内した。
***
それから、部屋で3人でおしゃべりをした。
……あれ、私もしかして物凄く青春してない?
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