第13話 Birthday Present for My Sister その4
天峰家の風呂順は明確に定められている訳ではないが、なんとなく決まっている。
まず初めに妹が入り、その後オレ、父親、母親の順になっている。
母親は洗濯ものを回す都合上、最後にまわり、父親は食後にコーヒーブレイクを入れるため3番目。オレと妹の順番は特に意味はなく、自然とこの順番になっていた。
そのため、時々こんな事故が起こる。
いつもオレが風呂に入る時間帯。
脱衣所の扉を開けると、妹とでくわした。
脱衣所なので当然のことだが、妹は衣類を脱いでいた。身につけているものは黒いブラジャーとショーツのみで、ショーツには手をかけて、今まさに脱ぐ寸前のところだった。
そんな状態の妹と目が合う。
妹は紗世ちゃんと比べると細身であり、それに比例して胸も小ぶりである。
オレと違って妹は色白なので、腰までかかる長い黒髪はより濃く見える。同じ理屈で、黒色の下着もとても際立っていた。
……別に妹の下着姿を見たからといってどうという事はないのだが、気まずいことには変わりない。
「……あー、すまん、もう(風呂に)入ったと思って」
「……」
妹は恥ずかしがる訳でも、悲鳴をあげる訳でもなく、ただオレに鋭い視線を向ける。
耐えきれず扉を閉めようとすると、妹は嫌悪を乗せて口にした。
「……死ね」
いつもより感情のこもった死ね。
それはとても妥当な死ねだった。
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