第8話 友人の〇〇事情
学校からの帰り道。
隣を歩くルークが欠伸をした。
「なんだ、眠いのか?」
「う〜ん。レナが夜な夜なリコーダーを吹いててね。うるさくて眠れてないんだよー」
「なんだあいつ。リコーダーが趣味なのか?」
「最近はそうらしいよ」
意外な趣味だ。
「でもなんていうか絶望的に音痴なんだよね。ただ吹いてるだけにしか聞こえないっていうか」
「へぇー、あいつリコーダー下手くそなのか。今度煽ってやろ」
そんな会話をしながら歩いていると、やがてオレの家が見えてきた。今日もルークと部屋でゲームをする予定である。
しかし、家の前でタイミング悪くバッティングしてしまった。
──我が妹と。
妹はルークがいるのにも関わらず、オレに冷ややかな視線を向けると──
「死ね」
そう言って、玄関のドアを開けて家の中に入ってしまった。
ドアノブを握ると、当然のことながら鍵がかかって開かない。
……いつまでも慣れないな。
「夜の妹って、なんかいいよね……」
「──は?」
自分の耳を疑った。
ルークが恍惚とした表情で、訳の分からないことを口走ったからだ。
気のせいだと思いたいオレは、冷静にルークに言う。
「あんな侮蔑の目を向けて人に死ねとか言ってくる奴のどこがいいんだよ」
「そこがいいんじゃないか‼︎」
「……お前、頭大丈夫か」
どうやら、友人の性癖事情は少々深刻なようだ。
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