青い鳥に導かれて!

里見歩

はじまりの輪廻

昔昔、このコンティネンス大陸では15柱神と呼ばれる神様達が、それぞれの地域を護っていました。しかしある日、闇の王テネブラエが現れ、神様達を動物の姿に変えてしまいました。神様達は、心を闇に染めあげられ、元の神様ではなくなり、守護獣となり大陸全体で暴れ、コンティネンス大陸は荒れてしまいました。ですがただ1人、守護獣となってもなお、理性を保っていた神様が居ました。その名前は星神アステル。彼はテネブラエによって星の文様が散らばった青色の美しい鳥の姿に変えられましたが、テネブラエの精神攻撃を跳ね返し、自らの理性を保ちました。そしてこれ以上大陸を荒らさせない為に、アステルは自らの手で暴走していた昔の仲間達を大陸各地に封印し、大陸の平和は戻りました。





これが大陸に伝わる伝説のお話。今では、まるで御伽噺のようになっています。ですが封印の効果は切れ、また各地で守護獣達が暴れ出し、大陸の平和が今にでも終わろうとしています。そして今、星神アステラ─星鳥エステレラは一人の少女に守護獣達を鎮める使命を与えようとするところから、

物語は始まるのです。




「星空ってどこまで続いてるんだろう…永遠に続いていれば、父さんと母さんに届くのかなぁ…」

夜の草原に寝っ転がって、孤児院の孤児のリリィはそんな事を言っていた。幼なじみのロゼも「どうせ死んでるだろ」なんて言ってきた。首に下がったロケットペンダントには両親の写真が入っている。それを頼りにこのコンティネンス大陸全体を探せば、きっと見つかる。それにリリィはもう15歳。孤児院のルールだと15歳になれば自分の好きな日に孤児院を出る事になっている。

「…ィ、リリィ…!」

「…?えっ…!?」

突如、満天の星空から1羽の美しい青い鳥が飛んできた。そしてその鳥は、リリィの腕に止まった。

「貴方…は!?」

「我が名は星神アステル。汝に使命を与えに来た。」

「え?星神…?!しかも使命って…!」

リリィは腰を抜かして驚愕した。

(私ただの孤児なのに!?)

「汝には我と共に行く素質がある。この大陸を、昔は我々15柱神が治めていた事は知っているな?だが闇の王テネブラエが現れ我々は獣の姿に変えられ、我を除く他の全員は心を闇に染めあげられ、理性を失い守護獣となり大陸中で暴れだし、我が各地に封印したのは知っているな?だがその封印が解け、各地でまた彼らが暴れ出し、今にも平穏は崩れさろうとしている。」

「おーい!リリィ!さっきはごめんな……って何だよその鳥!」

向こうから赤髪の少年が走ってきたが、その少年はアステルを見た瞬間驚愕のあまりリリィと同じく腰を抜かした。

「ロゼ…!ちょっと今よく分かんないことになってて…」

「おや、汝の仲間か。ちょうどいい。仲間は居れば居るほどいいからな。仲間というものは頼りになるものだ。明日には出発するから今日は早く寝なさい。」

「でも星神様、本当に私でいいんですか?私孤児だし、大した力も無いですし…それにもっと適任が他にいるのでは?」

リリィはアステルに問いただした。

「アステルで良い。それに、汝だからこそだ」

「え?」

「とにかく行くぞ」

「え!?あっ…はい!」

アステルはリリィとロゼの孤児院に飛び立つ。

「おいリリィ何が何だか分からないぞ!」

「私だってわかんないよ!」

2人は困惑しながらもアステルを追いかけて行った。



「……ってわけなんだけれど…」

リリィは事の全てをロゼに話した。

「マジかよ!?あの鳥が伝説に出てくる星神!?それで、リリィが何故だか分かんねぇけどあの鳥に選ばれて明日から俺と旅に出るって事か…まぁいいぜ?お前はずっと一緒だった幼なじみと一緒にいる方が心強いだろ?」

ロゼは自分のベッドに座り笑いかける。

「まぁそうね。じゃあ、おやすみなさい。」

「あぁ、おやすみ。」

そう言ってリリィは眠りについた。






「あれ……?ここは?」

気がつくとリリィは見たことがない場所に

居た。

暗く、冷たく、地面には水が張っている。

「あれは…?」

リリィの視線の先には人影があった。

その人影をちゃんと見ようと、リリィは走っていった。

そしてどんどんその人影はハッキリしていった。

その人物は地面に座り込んで、腕に顔を伏せて静かに泣いていた。

「あの…大丈夫ですか?」

リリィは恐る恐る声を掛ける。

「…!」

その人物────ある青年は顔を上げた。

その髪は美しいアッズーロパーリド色で、水色の紐で結い上げられた髪は右肩に流され、目はサファイアのように輝いていた。

「君は早くここから立ち去りなさい。ここは君みたいな生者が入っていい場所じゃない。」

青年は立ち上がりリリィにそう言った。

「でも、私寝てたらいつの間にかここに居て…あの…その…帰り方が分からないっていうか…」

リリィはしどろもどろしながらも答えた。

「そうか…なら君が帰れるまで私が話を聞いてあげよう。私はシュイネロ。君、名前は?」

「…リリィです。」

「リリィか…いい名前だな。それに…君の満天の星空の様な瞳は、あいつ…スチェルネにそっくりだ。」

そう言ってシュイネロはリリィの顎に手を添え軽く引き上げた。

「え?」

「私が旅してた時の仲間でリーダー格だった。でもちょっとドジなところがあってな。焚き火をやろうと思って木を集めてたら丸太を持ってきたことがあった笑」

シュイネロは腕を組んで笑いながら言った。

「あはは!面白い人ですね!」

「後、ちょっと変わった能力があったんだ。」

「どういう能力ですか?」

「いや、何でもない。あいつの能力は使い勝手が良すぎるが故に制御が難しかったんだ。だから使えば睡眠不足になる。」

「そうですか…それでシュイネロさん。ここは一体何なんです?」

「あぁ…言ってなかったな。ここは…」

その時だった。

「うぐっ…!あっ…!はぁはぁ…!」

突如としてシュイネロは水面に胸を抑えながら倒れた。

「シュイネロさん!?」

「あはっ…!ここ最近はあいつの魔法も…!抑えることが出来てたのにっ…!」

シュイネロは歯を食いしばりながら言う。

「どういうことですか…?」

「私は…コンティネンス大陸15柱神が1柱、

"水神ヒュードル"。そして…この世界は私の精神世界だ…!」

「えっ…!?」

リリィは驚きのあまりふらついた。

「シュイネロさんが、水神!?それに精神世界って…」

「どうやら君は…ぐはっ…!夢心入界イフォリオスを持っているみたいだな…」

「イフォ…リオ…ス?何ですか…?それ」

リリィは聞いたことの無い言葉を聞き呆然とした。

「…あぁ、もうお別れの時間みたいだな…君は早く行きなさい。」

「でも…!」

「早く行くんだ…!」

「…っ!」

リリィは光のある方へ走っていった。

「あはっ…!もうダメか…克服したと思ってたのにな…」

シュイネロは自分の手を見つめながら言った。もうシュイネロの手や頬には鱗が現れていた。

「スチェルネ…お前の…!うぐっ…………!

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

もうシュイネロはシュイネロでは無くなり、元通り、"水龍ハイドロ"に変貌した──


「シュイネロさん!」

リリィはベッドから起き上がった。

でもそこは15年ずっと見てきた孤児院の自室だった。自室と言っても、ロゼや下の子達合わせて10人部屋で、ロゼを除く他の子供達はまだ眠っていた。お別れ会は等の昨日の夜にやったので、もう早朝に出ても大丈夫だ。

「はぁ…はぁ…夢?」

リリィの頬には涙が伝っていた。

「起きたか…」

「リリィ…何故あいつ─シュイネロの名前を叫んだんだ?」

「夢に出てきたんです。しかもその人、水神らしくて…それになんか自分が"夢心入界"《イフォリオス》の持ち主だって言われて…」

「そうか…"夢心入界”《イフォリオス》は特殊能力の一種で、自分の夢を介して相手の精神世界に入ることが出来るんだ。言ったであろう?汝には我と共に行く素質があると。」

「でも私…!」

「大丈夫だ。汝なら出来る…この我が見越したんだ。」

「…はい!」

リリィは決意を持って力強く答えた。

「おいリリィ!早く行くぞ!早く行かないと置いてくからな!」

ロゼは走って部屋から出て行った。

「分かったよロゼ!」

それをリリィは追いかけて行った。


これは物語の始まりであり、

輪廻の始まりである。

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