第2話 冥界の法則
アリサの鋭い眼差しに、鬼たちは思わずひるんだ。彼らの心には、ある確信が芽生えていた。
<あの目は、この冥界で何かを成し遂げる者の目だ!>
リーダー格の鬼が、遠慮がちに言葉を発した。
「……わ、わかった……通るがいい」
たくましい体つきの鬼が他に4、5人いたが、誰一人としてアリサを止める勇気を持たなかった。
鬼たちに一瞥もくれることなく、アリサはその場を後にし、さらに奥へと進んでいった。
やがて広間へたどり着くと、荘厳な空気が辺りを包んでいた。どこからか低く響く声が聞こえる。 アリサは高鳴る胸の鼓動を抑えながら、その声の主へ向かって一歩一歩近づいていった。その声の持ち主が持つ答えが、未来を決するものであることを、
――この冥界には、奇妙な法則がある。
強く思い描いたことは、形となって現れる。
アリサはかつて、圧倒的なカリスマ性で暴走族の頂点に立った人物だった。その経験が彼女に絶対的な自信を与えていたのだ。そして、水上バイクで三途の川を越え、女神たちを振り切る大胆な行動も、この自信に支えられていたのである。 何度も繰り返したイメージトレーニングが功を奏し、ついにアリサは閻魔さまの宮殿に忍び込むという偉業を成し遂げたのだった。
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