後編 言霊 短歌15首

言霊にむしろもてあそばれているわたしだろうか 月光薫る



揺らめいているオーロラはこの星のうつくしい煩悶なのかしら



(永遠にわたし光っていたいのに)LEDが切れて真っ暗



秋の陽は祝福のごと降りそそぎ死神と死神の結婚



みずからの存在理由を光らせて今日も弾丸ホームラン打つ



わたしから出てきた蒼い生霊が探しゆく徳川埋蔵金



疲れたる逢魔が時をエアコンのクリーニングランプ点滅しており



消えながら光るどこかの海岸に流れ着きたる人魚のむくろ



「ただいま」とつぶやくように言っていた亡き父の声ときどき光る



拉致されて大人の横田めぐみさん写真の中の陽の中に立つ



映像の中東の夜の空を行くミサイルの放ち続ける光



星月夜 ひそかにひそかに桃太朗一派をほうむる完全犯罪



「ふるさとは青くかがやく星だったのに滅んだの」末裔の君



僕なんて闇の渦巻なのですがアマテラスオオミカミのくちづけ



螺旋なる蒼い光と螺旋なる紅い光が重なってゆく



逢魔おうまとき

夕暮れのこと。

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秋のアンソロジー カクヨム短歌賞1首部門#9 滝口アルファ @971475

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