中編 罠 短歌12首

今日どんな罠が待ち構えているか 蜘蛛の巣の濃きところをくぐる



どこまでも青いパラレルワールドで濃姫のうひめのクローンと密会



月の夜に貴方のいない淋しさが啜る濃厚豚骨スープ



体からグリーンの毛が生えてきてマリモのようになった妖精 



紅葉狩りなんかしながら歩きゆく君の濃紺スキニーデニム



濃い髭を触らせてって同棲を始めた魔女が笑うあけぼの



世の中と自己に対する濃き愛憎たとえばムンクたとえばゴッホ 



埃まみれの油まみれの換気扇 生きてゆくって執着かもね 



ドラえもんみたいな秋の空ですね 濃くも淡くもない日曜日



ひっそりと光りが発芽するだろうこの王国は暗黒だから



死神の死体を埋めた紅葉山ふと駆けてゆく銀色の鹿



濃厚なチーズのように幸福の薫る時間が「さよなら」だった



濃姫は

織田信長の

正妻。


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