「すずめ」と呼ばれ虐げられて育った令嬢の涼音が、消息不明の婚約者の行方を気にかけながらも、軍医の朔夜の元に嫁ぐ運命をたどる和風あやかし契約結婚ストーリーです。こなれた文体と、所々で意外な展開があって、最後まで読者を飽きさせないシナリオでしたね。
生まれながらのお嬢様の涼音が、自分の気持ちをきちんと出せるようになるシーンがすごく好きでした。凛としてて、落ち着いた気品がありました。
元々魅力的なお嬢様を描くのに長けている作者様なので、衣装や食事の描写もオシャレでうっとりしましたし、お相手の朔夜様があやかし使いのクールな軍医設定というのにも萌えました! 軍医ですよ軍医!
そして朔夜様のあやかし管狐、周ちゃんがすごくかわいくて所々で読者を癒してくれます。
「すずめ」こと涼音ちゃんが、籠から出て羽ばたく姿、とても美しかったです。
ありがとうございました!
朝霧伯爵家の長女の涼音。
しかし華族のお嬢様にも関わらず、彼女の生活は『華やか』からかけ離れていた。
旅先の異国で父が亡くなり、婚約者が行方知れずになり、残った家族は後妻として迎えられた義理の母と連れ子の妹だけ。
父と婚約者という後ろ盾がなくなった彼女は下女の立場にまで落とされ、『すずめ』と馬鹿にされながら、休む間もなく働かされる毎日。
彼女にも味方はいた。
涼音をお嬢様と呼び慕う、下働きのすず。唯一の心の支えになっていた彼女にも不幸は降り注ぐ。
ある日、誤って壺を割ってしまい、その責任として、すずに身売りをしろと義母たちが言い出す。
すずを慌てて庇うが、今度は涼音が遊郭へ売り飛ばされそうになる。
その時、婚約者の従弟を名乗る男性が現れて……
絶望から始まる、大正ロマン風物語。
当時の情景もそうですが、涼音の服や立場が丁寧に表現されているからこそ、彼女の地獄が鮮明に伝わってきました。
ただ甘いだけじゃなくて、予測不能な展開や、主人公の成長が感じられて。
ドキドキする展開の連続で、ページを捲る手が止まりませんでした!
大正ロマン×シンデレラストーリー×契約結婚×ファンタジー。
これだけの要素を余すことなく詰め込んだ素敵な物語。
最上級の「キュン」を是非ご覧ください!
主人公である涼音は、父を失い、女主人となった義母と義妹から下女扱いされて、すずめと蔑まれ、虐げられて生きていた。しかも、婚約者は行方不明に。
父と婚約者を同時に失った影響か、笑えなくなってしまった涼音。下女の扱いに、日々辛くあたる義母と義妹。
不幸のどん底とすら思える環境で、涼音の心は酷く弱々しく見えた。
そんな時に現れたのが、婚約者の従弟を名乗る、朔夜だった。
涼音を地獄のような日々から救い出す姿は、まさにシンデレラの王子様のよう。
しかし、あくまでも朔夜は婚約者の代わりに涼音の前に現れたのすぎない。朔夜は涼音を守るために、婚約者が戻るまでの間のナイト。
婚約者が戻るまで、仮初の結婚を二人は結ぶ。
それでも、二人の距離はそれまでの辛い日々を払拭してしまうほどに愛おしく、甘い――それこそ、契約結婚とは思えないような……。
作者様は、どれもときめきが各所に散りばめられた恋愛を得意とされ、此度もまた甘い!と、ニマニマが止まりません!
二人の結末も見どころ、オススメです。
父と婚約者を失ったショックで笑えなくなってしまい、さらには義母と義妹によって虐げられている涼音。
唯一慕ってくれている幼いすずを庇い、娼館へ売り飛ばされそうになった涼音のもとへ、婚約者の従弟である朔夜が突然駆けつけた。
そして涼音を剣持家の屋敷で保護し、彼女の身の安全を守るために契約結婚を申し出る。異国で行方知れずになった婚約者が見つかるまでの、期限付きで――。
まさに「和風シンデレラ」な一作です。
その辺を飛んでいる雀のように地味だと嘲られた涼音が、管狐を連れた軍医の朔夜と出会い、虐げられていた時間を凌駕するほどの幸せを掴み取っていく。
飴と鞭の分量も見事で、序盤の苦しいパートは必要な分だけ濃く短く洗練されていて、残りはひたすらご褒美です。パーラーに並ぶごスイーツのように甘い読書時間を味わえます。
大翔時代という架空の時代設定ですが、異国情緒薫る大正ロマンを想像させてくれるルビ振りや街の様子、ドレスアップの描写もわくわくしました。
和風ファンタジーの鉄板である異能部隊の活躍も必見です!
3万字強で完結済みですが、物語の奥行きを感じられる豊富なキャラ設定や世界観なので、長編化された時の期待感も◎!
徐々に惹かれ合う涼音と朔夜の関係にきゅんきゅんしながら、条件付きの契約結婚がどのような結末を迎えるのか、ぜひお楽しみください!
父を失い、義母と義妹から虐げられていた涼音の境遇は、本当に辛い。
それだけでなく、お手伝いさんにまでこき使われ。
挙句の果てに遊郭へ売り飛ばされそうになるだなんて大ピンチでしかなかったが――軍医の朔夜と使い魔の管狐、周に助けられた。
幼い頃に定められた涼音の婚約者・春義は朔夜の従兄であり、行方不明。その従兄が見つかるまでという約束で、契約結婚をする――
大日本帝国の大翔時代というオリジナルの世界観ですが、大正ロマン風。
レトロな喫茶店など、そこかしこに漂うアールヌーボーな情景を楽しみつつ、
異能隊の活躍に目が釘付けになり、
最後は文句なしのハッピーエンド!
管狐は当然可愛い。だけどもそれより、「ちゅん!」が、かっわいいいいいい。
はて一体何のことやら?と思った貴方。今すぐ読みましょう!!
恋やバトル、そして痛快劇を、ご堪能あれ。オススメです!