次々と畳みかけられてくる名詞。そして名詞と名詞の間から滲み出る叙情性。もちろん動詞も効果的に使われていて、美しい言葉の迷宮を彷徨うような陶酔感がありました。内容は厭世的なのですが、そこにこそ、世界に対峙する作者の覚悟のようなものが感じられて、爆発力のあるものになっています。独特の世界観が冴える短歌集。推し短歌1首。悪を待つ心に梅雨空沁み渡る天国滅んだ感ぜよ来世