明日の昨日

眞辺りあ

序章

11月23日

0歳

眩しい。それが最初に感じたことだった。


「おぎゃあ!おぎゃあ!」


と、けたたましい泣き声が聞こえる。

その泣き声の主が、私だと気づくのに、さほど時間は要らなかった。


助産師であろう女性に抱えられ、およそ今とは似つかわしくない、若かりし頃の母の胸の中へ抱かされた時、私は『ついにこの日が来た』のだと確信した。


優しく名前を呼ぶ母の声など知る由もなく、これほどまでになく私は絶望していた。



私の寿命はあと『0日』。

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