03:凍雨
矢の雨が古い
戸の破れからは火の手が見え、油のにおいがした。禁軍は
土壁に
「
「だめだ、
「俺はもう歩けない。奥の抜け道も、先年崩れて潰れている。ここまでということだ」
「嫌じゃ、
それでも楽しかった。
「許してくれ。早く遠くに逃がすべきだったのに、お前を手放せなかった。どうしても」
ああ、と
どんどん意識が遠のいていく。その向こうに
「我の不遇、我の苦しみなど、もうどうでもよい。我を押し付けられたがために
本当にこれは一国の姫君だな、と
そのありようは、この世に失望し切っていたはずの
だからまだ一緒にいたかった。
死ぬのをやめて、ずっと。
だがここまでだ。
その身体に取り
巫術により代々女王に治められる国であったから、醜く愚鈍な出来損ないであれ魍魎の姫にも巫術の力は受け継がれていた。これまでは生存にしか使われずにきたその力が、広い世界で唯一共に暮らした者を失った瞬間、ついに火を噴いて暴走を始めた。
荒れ狂う力が暴れ回るままに、もはや声にもならぬ悲鳴を上げながら人ならぬ者を呼ぶ。
女王と王族の巫術は天霊地霊の声を聞くものである。それは王宮を中心とした国全体に漂う
人は、その存在を神仙と呼ぶ。
『魍魎の姫よ、何を望む』
天から降りるその声は重く遠い。
『命助けよと申すか、恨みを晴らせと申すか』
姿の見えぬ神仙を見据えるように天を仰いで、
「
炎が迫ってくる。
*
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