02:珀
聞かされていた話とは違い、
「どちらにしても」
と言った。
「そこに座っていたら二、三日のうちには死ぬ。入りたければ、勝手に入れ」
それで、
日が落ち、風が吹き、強い雨が降った。
だからきっと死なないだろう。どうせこんなことでは、すぐには死ねないのだろう。
そう思っていたのに、やがて住居を出た男が冷たい雨の中を走ってきて、罪人か死体を引きずるように
予想外のことに
「わ、我を、」
「何だ」
「我を喰らえば死ぬるぞ。我が血肉は猛毒じゃ」
「こんな骨と皮ばかりの子どもを誰が喰うか。食べ物には不自由していない。つまらん嘘をつくな」
「噓ではない!」
「毒を盛られた。何度も何度も。繰り返し死にかけた。大の男が死ぬる毒でも我は生き延びる。そのたびこの顔も、身体も、醜さを増しながら生き延びる。母上とて我を
生まれた時から老婆のように髪が白く、何の呪いか顔の半面は紫の醜い
女王は考えた。これはまことに化け物である。
ならば、化け物は化け物に喰わせればよい。
そうして共倒れしてくれたなら、討伐の手間のかからぬことである――と。
「俺を殺す者だと?」
男は嘲笑うように言う。
「お前には俺を殺せない。妖怪でもない痩せぎすの子どもに何ができる」
「このように醜い者は喰えぬと申すか。第一、我は
すると男は黙って
「俺の名は
俺は自ら死ぬためにここに引きこもっているからだ。
そのあと姫君は一人でここに暮らすことになるぞ。
そう言って
そうして、山中で二人きりの暮らしが始まった。
半年後、禁軍が攻め込んでくる最後の日まで。
*
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