第4話 スキルの検証

皿片づけを終え、使用人たちの目をかいくぐって外に出たユウトは、屋敷の裏手へと足を運んだ。


そこは薪を積むだけの狭い裏庭で、普段は誰も来ない。ユウトは深く息を吐き、胸の奥で淡く光るボードを呼び出す。


【身体強化・初級】――獲得済。


その文字を目で確認した瞬間、体内に確かな熱が流れ出すのを感じた。


「……魔力、か」


頭の中に自然と使用方法が浮かんでくる。


足先から頭のてっぺんまで、全身の血管をめぐるようにして流れる力。それを筋肉へ、骨へ、神経へと行き渡らせるイメージ。


ユウトは掌を握りしめた。


――ぶわっ、と。

これまでにない熱が腕に集まり、皮膚が内側から張り裂けそうな圧力で満ちる。


薪を一本手に取る。

乾き切ったそれは、普段なら大人でも力を込めてようやく折れるほどの硬さだ。

だが――。


「はぁッ!」


ユウトは叫びとともに両手で薪を押し折った。

バキリ、と鋭い音を立てて木が砕ける。


呼吸が荒い。だが確かに、折れた。

十歳の細腕で道具を使わずに、薪をだ。


「……すげぇ」


唇が震えた。

これまで鞭打たれ、石を投げられ、蹴られても何もできなかった自分が――今は、抗う手段を持っている。


再び魔力を通してみる。

今度は脚だ。


軽く地面を蹴ると、体が羽のように浮いた。

ほんの一歩で普段の三歩分を駆け抜け、足裏の石畳をぱきんと割った。


「スキルのあるなしでこれほど差があるとは。」


力を解けば、体は再び普通の少年に戻る。


魔力の流れが消えると同時に、どっと疲労が押し寄せ、膝に手をついて荒く息を吐いた。


――使いすぎれば危険、か。だが、これだけでも十分だ。


ユウトは夜空を見上げた。


青い空に溶けていく煙のように、これまでの無力な日々が薄れていく気がした。


もう、ただ殴られるだけの奴隷じゃない。


俺はユウト――ギフト【怪盗】を持つ者だ。


静かに拳を握り直すと、心の奥に強い決意が芽生えていた。


---

名前:ユウト

年齢:10歳

種族:人間

職業:奴隷→怪盗(NEW)

称号:駆け出し怪盗(NEW)

Lv:1

HP:42 / 42

MP:18 / 18


力 :6

体力:7

魔力:5

精神:5

敏捷:8

幸運:12


スキル

【身体強化・初級】(NEW)

短時間、筋力と身体能力を向上させる初歩的スキル。消費MP:3


ギフト(固有能力)

【怪盗】

対象の「所有物」や「ステータス」を盗むことができる。

 発動条件:

 ①予告状を送付する(自動)

 ②指定期間内に対象へ接触

 ③盗むモノに応じて指定期間が短くなる


装備

・ボロ布の服

・革紐のサンダル

・干し肉(小片)×1




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