書くことが好きだ。

卯崎瑛珠@角川ビーンズ『見た目幼女』発売

書くことが好きな私の、独りよがりな独り言。


『私に推せる好きなこと』というカクヨムの自主企画に何かエッセイを出してみよう。

 軽い気持ちで色々うーんと考えてみたけれど、やっぱり『書くこと』かなぁと思い至った。


 2022年、例のウイルスで在宅勤務が続き。ストレスでどうにもならない時、軽い気持ちで書き始めたラノベ。

 2023年にお声がけいただいて、2024年に商業デビュー。2025年10月にも1冊出ますし、そのあとも電子書籍が控えています。

 順調に見えますよね。――でも苦しみもがき、のたうち回る毎日です。

 

 私という人間は本当に自己肯定感というやつが銀河系の彼方にあるような人間で。

 なかなか地球、さらには小さな島国である日本にだなんて戻ってきてはくれません。今もどこを旅しているのやら。一生出会えない気もするけど、焦がれてもいる。

 いつか、自分を肯定してあげられる日が来るかもしれないよね。


 とまぁ私のメンタル事情はさておき。


 書くこと、好きですか?

 カクヨムに作品を投稿している方なら、好きだと答えるでしょう。

 

 ――でもそれ、本当?


 核心を突かれた、と思いましたか。

 

 名声が欲しい。働かなくても収入が欲しい。受賞したい。絵は描けないけどコミカライズしたい。アニメ化したい。

 ラノベってとっても夢がある。昨日までただの人だったのに、いきなり大先生になれる世界がすぐそこにある。


 私はどうだろう? と考えた時に、本屋さんに自分の本が並んで欲しい、とは思った。けれど、名声や収入は別にいらない。コミカライズやアニメ化は、できたらして欲しいけれど主目的じゃない。


 小説が、書きたい。


 本をめくって、読者さんと共に違う世界へ行きたい。

 私の考えたキャラたちが、私の作った世界で動いて喋っているのを読んで、何かを感じて欲しい。想像の翼を生やして。遥か遠くまで飛ぶ。そしてそれを、共有したい。


 月に十万字以上書き続けた私は、今までに何本長編書いたかな、と適当に数えてみたら17本以上ありました(ボツ含めたらもっと)。短編は数え切れず。

 ジャンルも異世界ファンタジー、異世界恋愛、ライト文芸(現代ドラマ・青春)、キャラ文芸。見事にバラバラ。

 何が得意か? と聞かれるとやはりキャラ文芸かなと思う。物語が終わっても、いつまでも生き続けるキャラクターたち、が私の持ち味だ。ちなみに番外編書けと言われたらいつでもどれだけでも書ける。キリがないので書かないけど。


 世間一般的な異世界ファンタジーや異世界恋愛、ラブコメは、すでに確固とした世界観や道筋ができていて、個性的なキャラを考えさえすればある程度成り立つ。

(書くのが簡単だと言っている訳ではないので、どうか誤解なきよう)

 その辺りがラノベを書く敷居の低さだし、読者へ余計な説明をしなくてもいいという最大のメリットだと思う。だからこそ世間に浸透したしニーズも多い。


 その中でも、私は私の世界を構築したい。

 そして滅亡させ、再生させ、必ずハッピーエンドにする。

 これはもうヘキだ。


 なぜだろうと考えると、やはり私は書くことが好きなのだ。


 人も、世界も、政治も宗教も文化も経済も。

 気候や地形があって、そこに住む人々がいて、信じるものがあって。

 主人公たるキャラクターはじゃあ、何を考えて何の目的を持って行動するのだろう? と寄り添う。


 大変だ。とっても大変だ。


 ゴリゴリと精神力が削られる。そりゃあ政治的駆け引きとか陰謀とか。書くのは慣れている(仕事柄?)けれども、簡単に構築できるものでもない。

 矛盾なく伏線を置き、誰が読んでも納得できるようにと注意しながら自分の書きたいように書く。


 ストーリーをドライブする。


 苦しい。とっても苦しいけど楽しいのだ。

 

 もちろんWEBに発表しているから、読まれたいし評価されたいし、あわよくば受賞したいし本になって欲しい。

 周りにはすごい人ばっかりだし、みんな活躍しているし、焦る気持ちも多少はある。

 

 さすがに疲れて、一週間ぐらい書くのを止めた時があった。

 アンチコメントをもらったり。SNSで変なリプもらったり。なぜか私個人を作品内で攻撃してきたり。

 創作活動以外で心を削られて、休もうと思った時。パソコンの画面を見ることなく、投稿サイトにログインすることもなく。

 

 ――休んだっていいじゃん。


 もちろんだ。だって言い方は悪いけど、はっきり言って趣味だもの。(商業作品を除く)

 けれども、休んだ方が辛かった。

 私の脳内に、言葉がまるでベルトコンベアに乗ってゴンゴン送られてきているみたいに在庫が溜まりまくって(社畜脳)。


 これはいかん、消化せねばと、またパソコンを開く。


 そこには、私だけの世界がある。

 たくさんの言葉を使って画面を埋め尽くして、伝えたいのは「楽しい」というシンプルなこと。

 シンプルな「面白い」を追求して、どこまでもどこまでも、複雑な文字の迷路を行く。ああ苦しい。ああ楽しい。

 


 ああ。私は、書くことが、――大好きだ。

 

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書くことが好きだ。 卯崎瑛珠@角川ビーンズ『見た目幼女』発売 @Ei_ju

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